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下位世界の『超』召喚獣  作者: 五月蓬
謀略の魔王オロバス篇
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光の勇者様



 ミリーが目を覚ますと、仲間達が不安げに顔を覗き込んでいた。

 次には全員の顔が明るく変わる。

 

『あれ? みんな……おはよう』

「おはようじゃないだろ! 心配掛けて……無事で良かった」


 レイが言うと、ミリーはくたびれた笑顔を浮かべて、『ごめんね』と呟いた。

 やはり最も付き合いの長い二人、思うところがあったのだろう。

 続いて泣きながらアリアがミリーに覆い被さった。


「ミリーちゃん! 良かったです~!」

『ありがとうアリアちゃん』


 身体をすり抜け、ベッドに埋もれる形になったが、アリアの頭をそっと撫でて、ミリーは苦笑する。

 ゼブブが少し不安そうにミリーの顔を覗き込んだ。


「…………何もされなかった?」

『大丈夫。ありがとうゼブブちゃん』


 タカシが赤い目で覗き込む。

 泣き腫らしたような目を見て、ミリーは苦笑した。


『タカシくんも泣いてくれたんだ。ごめんね』

「無事で良かった」

「タカシが泣いたのは、嘘のラブレターを送られていた事に気付いたからだけどな、むきゅ」


 むくちゃんの容赦無い暴露にタカシが顔をひくつかせる。

 バレた事に対する恥じらいか、はたまた思い出してまた泣きたくなったのか、顔を伏せてミリーと仲間達からタカシが距離を取った。

 少し疲れたミリーは、苦笑しながら『オロバスは酷い奴だね』とタカシを慰めるように言った。

 そして最後に、小動物が枕元にぽふっと降り立つ。


「本当にお前は心配ばかり掛けて。お前はただでさえ不便な身体なんだ。もう二度と暴走するな、むきゅ」

「ちょっとむくちゃん! そういう言い方はないんじゃないですか~!」

『ううんアリアちゃん。むくちゃんの言う通りだから。ごめんね』


 珍しく素直なミリーにむくちゃんはきょとんとした。


『心配はしてくれたんだね。ありがとう』

「お、おう……」


 更にむくちゃんが目を丸くする。

 ここらで噛み付いてくるのがミリーの筈だ。

 

『本当に、オロバスは怖い魔王だった。むくちゃんの言った通りだったよ。私が勝手な事したせいで、みんなを心配させて……本当にごめんなさい』


 ここまで反省されると、むくちゃんも流石にばつが悪くなる。

 もご、と言い淀むように、むくちゃんは視線を逸らした。


「……い、いや。俺もお前を怖がらせすぎた。お前が魔王を嫌ってる事は知っていたのに、余計な事を言いすぎた。悪かった」

『嫌いじゃないよ。ゼブブちゃんも、むくちゃんも』


 む、とむくちゃんが少し赤くなる。

 嫌に素直だ。これは本当にミリーだろうか。オロバスに何かされて、おかしくなってしまったのではないか(言い過ぎ)。本気で心配になるむくちゃん。それは周りの仲間達も同じだったらしい。


「…………やっぱり、ミリー、オロバスに何かされたんじゃ」


 割と無神経なゼブブが全員の言葉を代弁した。

 おいおい、と引く一方で、良く言ったと全員が思う。

 ミリーは苦笑を浮かべたまま、『うん』と短く呟き、諦めたように白状した。


『私、契約印なんだって。それで、オロバスが私を書き換えようとして……私、多分消されかけたんだと思う』

「おい、本当に何処も悪くないか!?」


 レイが凄い剣幕で迫るのを、手で制して、ミリーは微笑んだ。


『……でも、助けて貰ったんだ』


 ぽっとミリーの頬が朱に染まる。

 思い出すように細めた目は、今までに彼女が見せた事も無い表情だった。

 

『光の勇者様に』

「光の……勇者様?」


 ほぼ全員が頭の上に?マークを浮かべた。

 一人、ぎくりと、身体を弾ませて、小動物が「まさか」と心中で呟いた。

 ミリーはぼんやりとした表情で、ぽつり、ぽつりと呟き始める。


『光の勇者様。とっても暖かい光を持ってて、とっても暖かい手を持ってて、誰にも触れられない私にも触れてくれる、とっても、とっても暖かいひと。眠ってて覚えてないけど、きっと、その勇者様が私をオロバスから助けてくれたんだよ』


 ミリーの頬の朱が次第に色濃くなっていく。

 そして最後にぽつりと呟いた。


『……かっこよかったなぁ』


 やっちまった、とむくちゃんが真っ赤にゆであがったタコのようになって、ベッドから飛び降り身を隠した。

 光の勇者様。何を隠そうその正体は、今まさに隠れた小動物。

 そして、余計な事を聞いちゃうアリア。


「も、もしかして、ミリーちゃん……恋しちゃったんですか!」


 ミリーが『恋』と、ぽつりと呟き、少し困ったように眉を下げた。

 しかし、満更でもないような苦笑を浮かべて、頬を一層赤く染めた。


『……わかんない』


 イエス、と言われるよりも困る反応に、むくちゃんは完全に行き場を無くした。

 ――この技、もうこいつらの前じゃ使えないじゃないか……!

 折角リベルの元で習得した必殺技だが、使った瞬間真実がバレる。

 そうなれば、魔王云々抜きにして、パーティーに居づらくなる。


 レイやゼブブが「それって本当に勇者なのか?」と不思議そうに話している。騒ぎを回避する為に、こっそりとミリーをベッドに戻した為、誰も光の勇者様がむくちゃんの操る魔力人形だと気付いていない。

 思わぬ誤算に、完全勝利した筈のむくちゃんは、一人恐怖していた。


『また……会えるかな?』


 果たして再び光の勇者様はミリーの前に現れるのか。

 色々な意味でそのような事が二度と無いことを願いつつ、むくちゃんはそろりと部屋を抜け出した。 




   ----




「クソ……! クソ……!」


 『元』魔王オロバスは床を叩き、歯を鳴らす。

 ガチガチガチと屈辱に身体と歯を振るわせ、らしからぬ叫びを上げた。


「あと一歩……! あと一歩だったのだッ!」


 確実に、王へと至る道は見えていた。

 オロバスの予想は外れていなかったのだ。

 ミリーこそが召喚獣の力を握る鍵。彼女自身が契約印である事は正しかった。


「あの魔人……あいつさえいなければ……!」

「おーおー、荒れてるねぇ。オロバスよぉ」


 ぞっとオロバスの背筋を冷たい風が撫でた。

 聞き覚えのある声は、決して良い印象の声ではない。

 オロバスは引き攣った笑みを浮かべながら、白い男の方に振り向いた。


「こ、これはこれはパズズ氏。いつからいらしていたのですか?」

「こっ酷くやられたなぁ? しかし、あれは傑作だったぜ! 召喚獣にラブレター渡したとこ! あいつ、騙されたと知ったら泣いたんだぜ!? マジで笑えるなぁ、あいつ!」


 見ず知らずの魔人に負けた。

 そんな汚点をパズズは許さないと思ったが、意外にご機嫌な様子を見て、オロバスはほっと胸を撫で下ろす。誰よりも魔王のメンツを重んじる魔王、オロバスとは違う正当派な『魔王らしい魔王』。オロバスが上位の存在と認め、畏れ敬う数少ない魔王の一人だ。

 これはチャンスだ。

 元々パズズもオロバスの今回の策に興味を持っていた。パズズの力が借りられれば、ワンフーやダルタニャンの比ではない。

 あの光る魔人でさえも、パズズであれば何も問題なく片付けられるだろう。

 そんな甘い考えが、通じる相手ではないとオロバスも知っていた筈だった。それ程に、オロバスは追い詰められていたのだ。


「まぁ、面白かったのはそこまでだ。お前は俺の期待を裏切ってくれた訳だ」


 パズズがにたりと笑う。

 やはり、怒っている。

 

「ち、違うんです! あの魔人が……」

「あの光ってる奴か? 強そうだったなぁ。面白そうだった。何処のどいつか知らないが、いずれ殺り合いたいもんだ。お前には確かに荷が重い相手だったかもなぁ?」

「そ、それは……」

「怯えるなよオロバス。策士策に溺れる、っていうのか? 腕を磨けよ魔王なら。肝心なところが抜けてるから、最後の最後にヘマをする」


 で、とパズズが意地悪く笑う。


「で、誰に世界を渡すって?」


 聞かれていた。光る魔人への命乞い。

 世界を丸ごと独り占めするつもりであったという、腹の底を知られてしまった。

 こうなれば、オロバスにできる事はただひとつ。


「も、もう一度チャンスを頂けませんか……? 後一歩だったのです……! まだやり直しはききます! そう、あの魔人さえ邪魔しなければ……! そうだ、パズズ氏! あなたならば、あの魔人も……」

「へぇ。諦めてねぇのか。魔王の座も失ったのに。チャンスねぇ……どうすっかな」


 激昂はしていない。意外にも考える素振りを見せるパズズ。


「どう思うよ、ヨル子」


 ヨル子。オロバスはその仇名を知っている。

 

「えー? 私に聞くぅ~?」


 あどけない少女の声。その声も知っている。

 ぐるりとオロバスの周囲を黒い影が取り囲む。影は蛇。蛇が馬に巻き付くように這い、床に開いた目がぎろりと馬を睨み付けた。


「ヨ、ヨルムンガンド……!? ど、どうして……此処にッ……!?」


 ぬるん、と蛇の影が人の形を成す。

 何故か赤いジャージ姿の、小柄な少女が体育座りで姿を現す。

 尻尾のような蛇が、ちろちろと舌を出して、オロバスに顔を寄せた。


「どうしてとは随分なご挨拶じゃないさオロバス。知ってる? パズズがあんたの命運を託したのは、このあたしなんだよ?」


 魔王パズズよりも、オロバスにとっては数段厄介な魔王。

 魔王ヨルムンガンド。

 気紛れでデタラメ。策を弄する魔王にとっては、扱いづらいことこの上ない相手だ。


「こ、これは失礼……まさか貴女が外を出歩く事があるなどとは思いもしなかったもので」

「言えてるー。まぁ、普段は引き籠もりなあたしでもぉ、たまには散歩のひとつくらいはするさね。百年に一度くらい?」


 けたけたと笑い、膝を抱えた足をぱたぱたさせる。


「んでんで? 何の話をしてたんだっけ?」

「オロバスをどうするかって話だろ。その位覚えとけよ。お前は本当に馬鹿だな」

「馬鹿は目の前の馬野郎でしょー」


 パズズがいやに落ち着いていたのは、ヨルムンガンドが居たからだと、オロバスは妙に納得した。

 普段は気性が荒く話の通じないパズズでさえ、溜め息交じりに突っ込み役に回る。その位にこの蛇女は適当で掴み所が無い。


「んー? もう一度チャンスをくれ、ってゆってんだっけ? で、チャンスをやるかどうかをあたしが決めると。オロバス、あんたツイてるよ。何のチャンスをあげればいいのか分からないけど、懐の深い私に判断が委ねられたんだぜぇ?」


 ヨルムンガンドがオロバスを指差す。


「一度と言わず、無限にやるよ」


 次の瞬間、オロバスの意識が遠くに飛ばされた。




 光る魔人が現れる。

 光る魔人に吹き飛ばされる。


 ――あれ? この光景は?


 身体中を駆け巡る激痛と、吹っ飛ぶ意識。

 意識はすぐに引き戻される。

 再び光る魔人が現れる。

 光る魔人に吹き飛ばされる。


 ――何か、見た事があるような?


 身体中を駆け巡る激痛と、吹っ飛ぶ意識。

 意識はすぐに引き戻される。

 再び光る魔人が現れる。

 光る魔人に吹き飛ばされる。


 ――痛い。やめてくれ。


 身体中を駆け巡る激痛と、吹っ飛ぶ意識。

 意識はすぐに引き戻される。

 再び光る魔人が現れる。

 光る魔人に吹き飛ばされる。


 ――痛い。痛い。痛い! 痛い!


 身体中を駆け巡る激痛と、吹っ飛ぶ意識。

 意識はすぐに引き戻される。

 再び光る魔人が現れる。

 光る魔人に吹き飛ばされる。


 ――痛い痛い痛い痛い


 身体中を駆け巡る激痛と、吹っ飛ぶ意識。

 意識はすぐに引き戻される。

 再び光る魔人が現れる。

 光る魔人に吹き飛ばされる。


 


 倒れたいのに倒れられない。

 眠りたいのに眠れない。

 永遠に訪れ続ける、『あの時』。

 永遠に繰り返す激痛。

 

「ほらほら。チャンスは無限にあるよ。切り抜けてみなよ」


 少女の無邪気な笑い声が響く。


「あんたほんとにツイてるよ。人間だって、魔王だって、失敗は一度きり。それを取り戻す事なんてできないのに、あんたは何度もやり直せてる」


 いっそ殺してくれ。そんな言葉を発する暇もない。


「言ったっしょ? 無限にチャンスをやるってさ」


 永遠に続く敗北。永遠に続く悪夢。


 オロバスは永遠の中に閉じ込められた。




   ----




「相変わらずむごいなぁ。お前の能力は」

「そう? 魔王の中でもかなり優しい方だよあたし」

「それを本気で言ってるなら、多分お前が一番酷い魔王だぜ?」

「そうと知っててあたしに投げたあんたの方が酷い魔王っしょ」


 最早この世界に、この時間にいなくなったオロバスには興味がない様子の魔王二人が、退屈そうに雑談を始めた。

 最弱といえども魔王を赤子扱いする規格外の魔王二人。

 パズズがヨルムンガンドの相手は疲れると言わんばかりに溜め息をつき、後ろを向いた。


「にしてもご苦労ダルタニャン。馬鹿のお守りは疲れたか?」

「いえいえ。頂いた報酬の分だけ働く。ビジネスマンとしては当然の事だよ」


 影に光る金色の瞳。影に溶け込むような黒い毛並み。

 浮かび上がるように現れた白いシルクハット。

 魔王ダルタニャンは「にゃり」と笑った。


「この度はご利用ありがとう。Mr.パズズ」


 ざっ、と玉座に続く赤絨毯の脇に、無数のスーツの男達が並ぶ。

 全員が人ならぬパーツをひとつは持ち合わせる、人型魔族、通称『魔人』。

 ずらりと並んだ魔人は、全員同時に、一糸乱れぬ礼をした。


「魔人材派遣会社『猫の手』。報酬さえ頂ければ、『格下魔王に利用される馬鹿の演技』も喜んで熟しましょう」


 名刺を取り出しぴっと投げる猫男、魔王ダルタニャン。

 

 魔人材派遣会社『猫の手』

 代表 ダルタニャン


 知る人ぞ知る、魔人を派遣する異質の魔王。

 列に並ぶ魔人全てが彼の配下であり、社員。

 中には坊主頭に角を生やした魔人も、兎耳を生やしたチンピラ魔人もいる。

 そして、一際目立つ魔人が一人、列から躍り出た。


「ではではパズズ様。ご依頼頂いていた今回のビデオをお渡ししますね」

「待ってましたっと! メフィスト、しっかり取れただろうな?」

「当然で御座いますとも。傷心で膝を突く召喚獣を、八つのアングルから取る事に成功しております」

「マジか! お前は本当に気が利くな!」

「当然で御座います。私は全ての魔王様の配下……」


 魔人メフィストフェレスは、にこりと胡散臭い笑みを浮かべた。


「そして、魔王ダルタニャンの所有物であります」


 へぇ、と興味なさげに呟き、パズズはヨルムンガンドと再び話し始める。


「ヨル子。早速帰って見るぞ。マジ傑作だからな。絶対お前笑うぞ」

「まじでじま? んじゃさ、ジジイんちいかない? 超大画面で見たいんだけど」

「ナイスアイディア。それじゃあご苦労ダルタニャンと愉快な仲間達。報酬は後で振り込んでやる」

「毎度有り難う御座います。またのご利用を」


 シルクハットを抜ぎ、魔王ダルタニャンが恭しく頭を垂れる。

 多くの魔人を支配する彼もまた、魔王らしい魔王と言えるだろう。

 姿を一瞬で消すパズズとヨルムンガンドを見送り、ダルタニャンはふふふ、と笑った。


「オロバス君。実に残念だよ。割と嫌いじゃなかったよ。君のことは」


 列を成す魔人達が手品のように手に花を咲かせる。赤い絨毯に沿うように並んだ白い花のアーチを潜るようにダルタニャンは赤い絨毯を歩く。

 そして玉座に差し掛かり、ダルタニャンは腕を大きく広げた。

 魔神達が花を投げる。舞い散る花吹雪。

 まるでオロバスの手向けであるかのような花吹雪に飲まれて、魔王ダルタニャンと魔人達は忽然と姿を消した。




   ----




「本当に、申し訳ありませんでした!」


 隠す事無く狸の尻尾を露わにした少女が、タカシ達と、豚舎に閉じ込めていた本来の町の住人達に頭を下げた。

 少女と町の人々の正体は、森の動物達だった。

 魔王オロバスに脅され、自分達の住処を餌にされ、魔王に協力していたものの、魔族という訳ではないらしい。

 タカシ達もまんまと騙したまさしく狸な少女と仲間達だが、本当に反省しているようなので……というより今にも泣き出しそうな顔で土下座する少女を見ていると心が痛むので、町の人々も許しても良いんじゃないかという空気になったのか、お咎めなしで動物達は見逃すことになる。

 魔王オロバスを倒してくれたお礼に、と森の動物達の代表、狸の少女が思わぬ情報をタカシ達にもたらした。


「実は私達の森を抜けた先、ずっとずっと進んだ先に、人間の国があるんです。そこは魔王の支配から解放された国で、そこの王女様が魔王討伐に意欲的なんだとか。自分達に危害を加える魔王だけでなく、他所で悪さをする魔王も討伐しようとしてるみたいです。とっても強い勇者がいて、オロバスも危険視していたくらいすごいみたいです!」


 でも、と少女が困った顔をする。


「少し離れた国なので、途中でオロバスとは別の魔王の支配地を通らなきゃいけないんです。そのせいで私達は、オロバスの監視もあって、その国まで行けませんでした」


 でもでも、と今度は忽ち明るい顔になる。


「皆さんでしたらきっと辿り着けるでしょう! 世界中の魔王を倒すための、大きな助けになってくれるはずです!」


 魔王と戦う国。とても強い勇者。

 少し期待した様子を見せるミリーと、目を逸らすむくちゃん。

 果たしてとても強い勇者とはどんな人間とは。そして、魔王討伐に意欲的な王女とは。


「じゃあ、取り敢えずそっち行くか」


 割と適当に行き先を決めて、タカシ達は再び歩き出す。

 その背中を見送る町の人々の中に紛れて、少女がにこにこしながら手を振った。










「やっぱちょろいわー」


 ぼそっと呟いた少女が、にしし、と笑う。

 まんまと森の傍の残りの魔王の居る方向に、魔王狩りの勇者一行を案内しつつ、ちゃっかりオロバスの支配からも逃れた少女は平和が訪れた森へと帰っていく。


 何だかんだで化かしたのは馬でも猫でも蛇でもなく、狸だったとか。




魔王オロバス篇完結。

徐々に迫る怪しい魔王達。

出番は割とすぐなのかも?

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