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下位世界の『超』召喚獣  作者: 五月蓬
殺戮の魔王バアルベリト篇
5/55

私と契約して、魔王を倒してよ!

序章完結!




 魔王バアルベリト討伐。




 辺境の村、イーチェ出身の勇者レイが成し遂げたその偉業はすぐさま世界中に広まった。




 しかし、バアルベリトが事故に倒れた事、その裏に隠れた犠牲についてまでが語られる事はない……




 イーチェに帰還した勇者一行は大きな声援で祝福される。しかし彼らの表情に光があるはずもなく……




 長老への報告を終えたレイ達は今、レイの実家に居た。


「……クソ!」


 四人以外に誰も居ない部屋で、レイは涙を流す。


 村人達の祝福が、一人の大切な仲間を守れなかった勇者の胸に刺さる。


「何が……よくやっただ!ミリーを……犠牲にして!俺は何もできてないじゃないか!」


 ドリーも内藤もかける言葉もなく、顔を伏せる。


 彼らは勝利の為に、大切なものを失った。その傷跡は皆に等しく残ったのだ。


 自責の念はドリーにも内藤にもある。だから励ます余裕などなかったのだ。




 そんな中、一人険しい表情のタカシが立ち上がる。


 そして這いつくばるレイの胸倉を掴みあげて……




 バキィ!




 思い切り殴り飛ばす。


「な……」

「タカシ……」

「な、何しやがる!」




 ドリーも内藤も気付く。たった一人、レイに言葉を掛けられる存在に。


 タカシの熱い拳に、二人は涙が零れそうになった。




 タカシはレイの胸倉を掴んだまま、険しい表情で口を開く……










「泣きたいのはこっちだよッ!」




 あれ?




「こんな世界に召喚されてッ!帰り方分からんでッ!しかもここに来てアウェイと来た!こんな時、俺はどういう表情をすればいいんだよッ!……ってか、ミリーって誰だよッ!」




 ああ……確かに正論。二人は頷いた。


「なんか……ごめん。正直、こっちの空気に入ってたわ。お前のこと忘れてた」

「おい!……とにかく俺の帰り方は!」


 レイが気まずそうに目をそらす。



「……ミリーが知ってる」

「だからミリーって誰だよッ!」




『私だよ』




 そこに響いた声は、一瞬でレイの表情を作り替える。




「ミリー……?」




 きらきらと光が地面から溢れ出す。光は徐々に人の形に集まり……




 レイ達はその見慣れた姿に目を見開いた。


『もー、めそめそしないでよみんな』

「ミリー!」


 ミリーは再び姿を現した。透き通った、光の集まりとなって。


「ミリー……!生きて……たのか……?」

『えへへ……体はなくなっちゃったけど、魂だけは残せたみたい』


 照れ臭そうに笑ったミリーは、彼らの思い出のままの姿だった。


「……よかった……!」

『よかないよう。体なくなっちゃったんだよ?』


 泣き崩れるレイに、ミリーはくすくす笑いながら言う。


『泣かないでよ……こっちまでつられちゃうよ』

「はは……悪い。ここは笑うとこだよな」

「そ、そうだぜ!体はなくてもミリーが生きてたんだ!喜ばねーと!」

「本当に良かったです……!」


 勇者一行は泣きはらした顔を向け合い、笑った。


 魔王を倒しても湧き上がらなかった感情が、今になって湧き出した。




 大切なものは、形を変えて帰ってきたのだ。


 彼らは今、本当の幸せを見いだしたのだ。




 彼らの幸せな笑い声は、小さなイーチェの村に、ずっと、ずっと、響いて居た…………










「アウェェェェェェェェェェェイッッッ!!!」


 そこでタカシ絶叫。


『びっくりしたぁ……タカシ君急にどうしたの?』

「俺を無視すんな!何ハッピーエンド迎えようとしてんだ!ってか幽霊怖っ!あ、でも意外と可愛い!畜生!訳分からん!」




 タカシははじけた。


『ああごめんねタカシ君。私、あなたの召喚主のミリーだよ!』

「『だよ!』って……可愛いな畜生!怒るに怒れんわ!」

『可愛いなんて……嬉しいな///』

「頬赤くしちゃって!畜生!」




 タカシ:ステータス

 女耐性:-100


 タカシは女に弱いのだ!


「……レイ。俺は今日程お前を憎んだことはないぞ」

「何で!?」

「リア充爆発しろって事だ言わせんな」


 殺意の波動に目覚めたタカシは凄い威圧でレイを睨む。そんなタカシにミリーは少し気まずそうに声をかける。


『あの……タカシ君』

「なんだいミリーちゃん……」


 スカしたタカシ。あまり格好良くない。


『お話したいことが……』

「え?」








 タカシ、察する!


 まさか……告白!?


 ねーよ!


『元の世界の帰り方についてなんだけど……』

「あ、ああ……ですよねー!」




 タカシ、勘違い!

 タカシ、赤面!


 小学生の頃の悪戯告白を思い出す!




 ミリーはおどおどと語り出す。


『召喚術っていうのはね、召喚獣と契約を結ぶ魔法なの。術師は召喚獣に契約を持ちかけ、召喚獣はその契約を遂行する』


 何故、ミリーはやたらと目を逸らすのか?タカシは気になりだした。


『例えば「火を吹いてー」とかお願いして召喚して、召喚獣は火を吹いて契約を遂行する。それで契約終了。召喚獣は元居た世界に戻るの』

「つまり、契約を遂行すれば帰れるのか」




 タカシは内心、「召喚術怖っ!」と思った。だって一方的に呼び出して「契約守らんと帰さん」て……拉致監禁の脅迫じゃないですかー!やだー!

 召喚獣に人権はないのですか!?




「……で、何をすればいいんだ?」


 取り敢えず本題。ミリーは答える。


『私のタカシ君へのお願いは……「魔王を倒すこと」』










 あれ?


「もう倒したぞ?」



 確かにバアルベリトは倒した筈だ。あれか?事故だったからか?もっとスタイリッシュに倒せと?でもだからて、ノーカンとかはないだろ……


『うん。タカシ君は確かに倒したよ』

「なら何故?」




 ミリー、露骨に目を逸らす。




『バアルベリト「は」……』

「……『は』?」




 タカシ、嫌な予感!


『……実は「魔王を倒して」ってお願いしたら……』










『バアルベリトだけじゃなくて、世界中に居る魔王全部倒すって契約になっちゃった♪』


 てへぺろ♪




 あー、成る程。『バアルベリト倒して』じゃなくて『魔王倒して』っていったら、召喚契約の取次の人が、「魔王を絶滅させろ」っていう内容と取った訳ね……ふうん……










「って、えええええええええええええええええええええ!?」

『ごめんね……タカシ君、魔王全部倒さないと帰れない』







 こうして!タカシの異世界魔王討伐の旅は始まるのであった!




教訓:契約の際には、契約内容のご確認を♪





契約内容の確認は重要!


……タカシにとっては一方的な契約だけどな!


序章完結!

次回から本編突入です!


魔王討伐の旅がスタート……最初にタカシが目指した場所は……

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