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下位世界の『超』召喚獣  作者: 五月蓬
殺戮の魔王バアルベリト篇
3/55

『超』魔神




 ―――解散する。


「クソッ!やっぱり駄目でしたか……!」

「まだだ」




 上がる黒煙を前に、レイはその目を鋭く光らせた。


「まだ、俺が生きてる」


 ミリーの命を、どうして無駄に出来ようか?


「まだ負けてない」


 結果的にレイ達は生き残った。ミリーの喚んだ召喚獣がベルペスのターゲットになったお陰で。


「無駄にするものか!失敗だったと笑わせるものか!」


 レイは吠える。ミリーのために。

 冷淡に笑うベルペスを鋭く睨みつけて。


 仲間もそれに呼応する。


「当然です」

「負けるかよ!勇者がこんな小悪党に!」




 最後の足掻きが始まる。


「うおおおおッ!俺のナイトブレード(攻撃力1)を食らいやがれぇぇぇ!」

「ふははは!そんなチンケな攻撃が私に通用するものか!」


 内藤が重い鎧をガチャガチャ引きずりながら攻撃!




 しかし攻撃は届かなかった!




 ガシャーン!




 内藤は何かにぶつかった!




 黒煙の中に何かあるぞ!




 内藤は調べてみた!








「…………おいこらァ……俺はやめろって言ったよなァ……?」

「お前……まさか!」

「こ、この声……まさか我が最強魔法を受けて……!?」



 徐々に晴れる黒煙の中から、最初に白煙から姿を顕した時のように現れたのは……




「カップ麺と卓袱台が消し炭になっただろうがッ!!」




 オーゥ……


 産まれたままの姿のタカシが……




「タカシ……服」

「ん?……ぎゃああああ!」




 見せられないよ!



 ……っていうか、誰得?




 一糸纏わぬタカシをじっと見るベルペス。


「それがマグナム……?」

「やめて!ごめんなさい!見栄張ってました!せいぜいゴム鉄砲ですよね!だからまじまじと見ないで!」




 股の辺りのゴム鉄砲を隠すタカシ。規制確実である。




 ベルペスは頬を赤らめつつも、空気を読んで視線をタカシの目に合わせた。


「貴様……何故生きている!?我が魔神の業火を受けて……無傷だと!?」

「社会的には死んだがな。あ、前からか」

「こっちが気を遣っているのにそっちに話を戻すのはやめろォ!」




 これがベルペスが初めて見せたマジギレだった。


「な、なんすか……キレないで下さいよ……」

「……あ、ああすまない。取り乱した。服を燃やしたのは私だったのにな」

「お、おお……急に謝られても……此方こそお気遣いに気付けず申し訳ない……」




 気まずくなってきたタカシとベルペスは取り敢えず一礼。




 -仕切り直し-




「何故耐えれる!?」

「いや、まあ髪の毛は多少焦げたぞ?」

「何故生きている!?」




 タカシはにやりと不敵に笑んだ(だが裸)。まるでベルペスを見下すように(見下されても仕方ないような格好で)。


「魔法……ねぇ。どんなものかとビビってみりゃあ……ただ『神力ジンリキ』の上澄みを吐き出してるだけじゃねぇか」




 ベルペスと勇者達は怪訝な表情を浮かべる。


「『神力』……?」

「ん?ああ……この世界じゃそう呼ばないのか。成る程ねぇ……何で弱っちい神力を垂れ流してるのかと思いきや……ただ扱えてねえだけか」

「貴様……何を言って……」





 ゴウ!




 風。ベルペスがたじろぐ程の風。勇者達が軽く後退させられる程の風。




 いや、実際は風など吹いていない。


 それは威圧。全てを押しのけるような威圧的な圧倒的質量。




「な、な、な……!?魔力が跳ね上がった……!?」

「そりゃ水道の蛇口緩めっぱなしじゃ水道代が勿体無いだろ。何?驚くことか?」

「魔力を抑える……!?そんなことが……」


 驚愕するベルペスを嘲るようにタカシは笑う。


「ちょwお前、もしかして神力制御も組み込んでない原始人?wうはwwウケるww」


 ゴウ、ゴウ、ゴウ!


 留まる事を知らないタカシの魔力増幅。


 完全に規格外。


「お前さっきさ、俺のこと『下位世界の人間』って、言ったよな?」


 止まらない。


 魔神の力を持つベルペスの魔力をタカシは当に上回っている。しかしまだ止まらない。




 その見るも明らかな事実を、タカシは叩きつける。


「『下位世界』はこっちみたいだったな?まさか神力制御も出来てない……魔法なんて信じてる原始世界に喚ばれちまうとは……」




「ヌルゲー乙!www」




 別次元の異物が腕を広げて笑う。


 タカシは完全に『上位世界』の存在だったのだ。


 彼等からすれば、謂わば『神』。


 素っ裸で残念だが、不可侵な絶対的存在なのだ。




「さっきの炎……温い!温いぜ!秋穂さんの根性焼きの方が千倍熱いわ!」


 筋肉皆無の胸を指差すタカシ。其処には七つの火傷の跡。

「……ああ、良い世界だ。まるで人がゴミのようだ!」


 恍惚の表情。


「ブサメンだと罵られ、軟弱だとイジメられ、早く働けと叱られる……そんな社会の底辺とはもうオサラバだ!」




 ここから、タカシのターンが始まる。


「ニートの俺が異世界で神になってしまった件」




「ば……ばかな……ありえない……私の魔神の力が……足元にも及ばないほどの……魔力だと……」




 震え後退りしだしたベルペスをタカシは指差す。


 そして爆笑した。


「がはははは!お前が魔神?だったら俺は……」







「『超』魔神だwwwwww」




 タカシは飛翔する(全裸で)。





タカシがじつは上位世界の住人だったという件。

ちなみに向こうでは底辺。


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