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下位世界の『超』召喚獣  作者: 五月蓬
放浪の魔王クロード篇
26/55

可愛い魔王様?

新章突入です!むくちゃん章になるかと。そしてあまり長くはならないと思います!





 名前を呼んではいけない魔王がいる。


 一人は枯れ木の森に住む孤独の魔王。恐ろしいその魔王に従う物好きな従者は、名前を呼ばれる事を嫌う主を『デモゴルゴン』と呼ぶ。


 デモゴルゴンは名前を呼ばれるのを嫌うだけ。


 しかしその魔王は名前自体が『禁忌』。口にするだけで世界が震え、星が泣き、神が怒り狂うというその名前。


 存在すら疑わしいその魔王は、ずっと寂しそうに世界を見ていた。




   ----




「魔王…………!?」


 パーティーメンバー、愛玩魔物むくちゃんの正体を、その部下ゼペットに告げられ、タカシ達は驚愕する。


 しかし正体を知られたむくちゃんは、尚も慌てず溜め息一つ。


「ゼペット。誤解を受ける言い方は止めろ。これじゃ其処にいる化け物召喚獣に俺がぶん殴られるだろうが」

「誤解?」


 最早、語尾の「むきゅ」すらつけないむくちゃん(今更だが)。

 その誤解という言葉にゼブブが怪訝な表情を見せる。


「ゼブブが言うような『元』魔王……と言えば分かるか?正確には違うが」

『じゃあむくちゃんはぶっ飛ばさなくていいんだ…………チッ』

「おい悪霊」


 相変わらず仲良し(笑)なミリーとむくちゃんである。


「ボスは『封印』された魔王なのです。だから倒されて魔王から降格した訳ではありませんが……現状態では魔王とは呼べないかも知れませんね」

「『封印』?誰かにやられたの?」

「いえ、自ら。ボスは……」

「ゼペット!余計なお喋りはいい……早く作業に移れ」


 むくちゃんの声にとろんと表情をとろけさせ、ゼペットは「はい///」と一言、話の輪から離脱する。


 部下が離れてふうと一息ついたむくちゃんは、改めてタカシ達に向き直り、すとんと地面に降りる。


「……とまあ、可愛い愛玩魔物だとお前達が思っていた俺は、実は仮の姿の魔王だったのだ」

『「「「「可愛いとは思ってない」」」」』


 それは見事なシンクロだった。


「まあお前が魔王なのは分かったが……問題は其処じゃないだろ」


 レイが難しい表情であげる問題点。


「なんで魔王がそんな姿でギルドに紛れ込み、俺達の魔王討伐の旅に同行しているかって事だ」


 問題は其処。何故魔王があんなギルドに所属していたのか?そして何故この旅についてきているのか?その裏にある意図が問題になる。


「……真実は時として下らなく信じがたいものだ。仮に俺がその目的を告げても、お前達は信じない」


 それは回答の拒否。そして続く言葉は意外なものだった。


「そしてお前達は何も俺を警戒する必要はない。案じずとも……俺が元魔王とバレた時点でお前達にこれ以上同行するつもりはない」

「え……?」


 それは決別の言葉。それに食らいついたのは、同じ元魔王のゼブブ。


「……別に元魔王だからって離れる必要はないと思う。そうしたら私だって……」

「お前は最初から魔王と名乗って仲間に入った。俺はずっと隠してた。そんな奴は信用できないだろう?」

「そんなことない」


 ゼブブは即答する。


「むくちゃんはパンプディングの攻撃から私を庇ってくれた。今魔王と名乗ったのだって、パンプディングの残した苦しんでる人を助けるため。……むくちゃんは悪い魔王じゃない」

「そりゃ『私は悪い魔王だよ!』なんて名乗る魔王はパズズの奴位しか居ないだろうよ。俺は自分が悪だとは思わない。問題は俺がどう思われるかだ」


 むくちゃんはタカシ達に目をやる。答えを求めるかのように。


「別に気になりませんかね~?逆に納得です。これでただの愛玩魔物だったら逆に引きますもん」


 アリアがにこやかに答える。


「俺は別に困らないな。逆に悪さ企む魔王なら、近くに置いといた方が楽で良くね?いつでもぶっ飛ばせるし」


 余裕あるタカシはさらりと答える。


「私も同じ立場だもん。それに、みんなはそんなに細かいこと気にしないと思う。だから隠すことなんて……」


 ゼブブが微笑み言う。ゼブブに至ってはどうやら魔王の立場を隠してたいたことが気になっていたようだ。


「お、俺も別に構わないけどな……たとえ何を企んでいても、師匠がいれば全て無駄だしな」


 ちらちらと三人に見られて、レイが空気を読む。


 しかしむくちゃんはその言葉に大した反応を示さずに浮かび上がる。


「お前達は馬鹿だ。言葉を選んだ方がいい。何も知らないからそんな言葉が選べるんだ」


 むくちゃんの言葉はまるで全てを拒絶するようで……


「だったら隠さないで教えて」


 ゼブブの言葉に返すのは冷たい声。


「知ってはならない事もある。それは言葉のままの意味で、だ」




 意味深な言葉と共にむくちゃんはふわりと飛んでいく。


「分かったらさっさと次に進むことだ。この国の事は責任を持って処理する。案じずとも悪くはしない」


 そうとだけ言い残し、むくちゃんは何やら作業に勤しむゼペットの方に飛んでいく。


「ゼペット。作業が終わり次第、俺は城に戻る」

「おや?ボスの旅は此処までですか?」

「必要なくなった」


 去っていくむくちゃんにタカシ達は何も言えずに立ち尽くす。










   ----




「パンプディング様がヤラレター」

「パンプディング様がヤラレター」

「ドウスルー?」

「ドウスルー?」

「逃げる?」

「逃げる?」

「逃げよー」

「逃げよー」


 無数のお菓子魔物達が、お菓子の城の待機部屋にて集まっている。主を失った彼らは逃げる算段を立てていた。


「近場の魔王、マモンに取り入ろー」

「それがいー」

「それがいー」


 わらわらと群がる魔物達。そんな彼らの部屋の壁が切り裂かれたのは突然の事だった。




 斬!


 一瞬で細切れにされた壁、その前に立つのは、銀色の刀を握る黒衣の男。




「……パンプディングが倒されたのは本当か?」

「誰だ!」

「誰だ!」


 ざわめく魔物達をねじ伏せるように黒衣の男が口を開く。


「黙れ。お前達は素直に答えればいい」

「ふざけるな!」

「何様だ!」




 グシャ……




 一瞬の出来事。男の刀の一振りで、お菓子魔物の半分が崩れ落ちる。バラバラに切り刻まれた仲間を見下ろし、魔物は震える。




「何様?……俺は魔王様だ」




 黒衣の男が刀の刀身をするりと撫でた。するとその瞬間に空間に殺気が走る。




「話が出来る一匹が居れば……あとは殺して問題ないか」










   ----




「……成る程、そいつが。噂は聞いてる。魔王を次々打ち倒す勇者がいると……まさか此処に来ていようとは……」

「ま、まだ奴らはこの国に居るはずですぜ旦那!」


 グシャグシャにお菓子魔物の死骸散らばる部屋の中心で、男は肩に乗る唯一生き残ったチョコレートカラスの声に耳を傾け、笑う。


「面白い……!そいつが噂通りの者ならば、我が好敵手に相応しい……!」

「さ、さっすが旦那!魔王をあれだけ潰してきた相手に余裕の表情だ!格好良い~!」


 必死でゴマをするチョコレートカラス。男はその様子をキッと睨んで笑った。


「役に立て雑魚。そうすれば……長生きさせてやる」

「あ、ありがてえですなあ!勿論なんでもしまさあ!情報収集からサポートまで、なんでも得意ですぜあっしは!」

「そうか。なら死ぬ気で努めろ」




 迫るは黒い影。


 お菓子の国の動乱は終わらない……





ちょっとシリアス風味?


むくちゃん離脱フラグ?


まあ、引っ張っての次回ということでw


そして新たな魔王襲来!お菓子の国が、どんどんカオスな展開になっていく!?


本当に短い章になるかとw パンプさんが長すぎましたw



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