決戦!影の魔王!
ようやくドッペルゲンガー戦決着!
全身黒、まるで某探偵漫画の犯人のような容姿のドッペルゲンガーは、ゆらりとその腕を横に広げる。
「まずは……お返しだ」
ぎょろりとドッペルゲンガーの目玉が回転する!それにびくりと反応するタカシ達。
しかしふとタカシは何かに気がついたように後ろに下がる!
「タカシさん!どうし……」
ドスッ……
後ろを振り向いたアリアの視界に飛び込んだもの……それは……
「タカシさん!」
自分を庇って、黒い槍に突かれるタカシの姿……
ドッペルゲンガーの黒い槍!
バックアタックだ!
タカシにダメージ!
「タカシさん!大丈夫ですか!?そんな……私を庇って……!」
「いてて……大丈夫だってアリアちゃん。ただ地味に痛いんだよあいつの攻撃」
槍に突かれた腹をさするタカシ。血が出ている様子もなく、致命傷からは程遠いようではある。
「バックアタックだから、お前の高い防御力が無視されてるんだろむきゅ。持ち前のスタミナが致命傷には至らせないようだがむきゅ」
「バックアタックってそういう効果があるのか?ってか可愛い声の癖に口調荒いな!」
ふよふよと浮かぶむくちゃんは、突っ込むタカシを一喝する!
「言ってる場合か!奴から目を離すな!……むきゅ」
もうお前キャラ作ってんじゃねぇよ!……とは突っ込むまい。タカシはむくちゃんの指示通り、今までとは一味違う魔王に意識を向ける。
だが、その注意さえ無に帰すドッペルゲンガーの能力。
「少々……実力を見せて貰ったよ。霧の泉で」
黒い影がゆらりと揺れる。
「厄介…………だが、それは……私もだ」
ドッペルゲンガーが溶けるように地面に沈み込んでいく……
魔王ドッペルゲンガーの影隠れ!
タカシ達は魔王ドッペルゲンガーを見失った!
「消えた!」
「魔王の二回行動はやっぱりあるかむきゅ……しかもそれで攻撃と防御を両立するとは」
幻惑の魔王、ドッペルゲンガーの異名の由来はこの狡猾な戦い方にある。
姿を隠し、攻撃は意識外からの不意打ち……幻のように掴みどころがなく、防ぎようがない。
「あああ!面倒くせえ!」
「焦れば奴の思う壺むきゅ。実際に地面に溶け込んでるから、真理眼も無意味……ここは出てきた所を無理矢理仕留めるか……引きずり出すしかないむきゅ」
引きずり出す……しかし、どうやって?
その時、タカシに妙案!
「よし!館をぶち壊そう!」
「…………なんで!?」
タカシのターン!
「いや、地面に潜ってるなら、地面ごと、館ごと壊せばいいんじゃね?」
「やめて!」
ドッペルゲンガーが思わず飛び出した!
「釣れた!」
「しまっ……」
飛び出したドッペルゲンガーをタカシの拳が捉える!
タカシの攻撃!
「ぐぎい!?」
ドッペルゲンガーにダメージ!
「また逃げられても面倒だ!一気に潰す!」
顔をひしゃげさせ、吹き飛ぶドッペルゲンガーにタカシが飛びつく!
タカシの攻撃!
「がはへッ!?」
ドッペルゲンガーにダメージ!
タカシの攻撃!
「ぐえッ!?」
ドッペルゲンガーにダメージ!
「トドメだああ!」
タカシの攻撃!
その右ストレートがドッペルゲンガーに悲鳴を上げる間も与えずに、顔面を捉える!
ガッシャァァン!
吹き飛んだドッペルゲンガーが館の壁に激突し、壁が崩落する!
ドッペルゲンガーに大ダメージ!
「やったか!?」
崩落した壁、立ち上がる埃、流石にあれを受けて生き残る筈がない。
タカシ達は息を呑み、徐々に晴れる埃を見つめ祈る。
倒れていろ、と……
「や、やめろおおお!おおおあう!」
「お?お?ここがええのんか?お?」
穴の開いた壁の向こう……其処には、逆さ吊りにされたレイと、その体を指でつんつんとつつく、角の生えた眼鏡のおかっぱ女……
「あ!師匠!すみませんでした!うっかり捕まってしまって……」
「お楽しみのところ失礼しました」
タカシ達は冷めた目で踵を返す。
「ち、ちがっ……誤解だ!待って!助けて!」
「何をしている私!?」
ガラガラと瓦礫を掻き分け、ドッペルゲンガーが立ち上がる!そしてレイをツンツンしてる女に詰め寄り怒りを露わにする。
「え?いや好みの男やったし遊んでた。……って何壁壊しとんの!?そっちこそ何してた私!?」
「敵襲だ私!」
「でじま!?」
エセ関西弁の女は、タカシの方をまじまじと見る。
「…………5点!」
「ひでぇ!」
タカシに精神的ダメージ!
眼鏡女はレイいじりを止め、タカシ達を睨んでにやりと笑う。
「いんやー、一部始終は『影』を通して見とったわ。ああ、レイ君つれてくるまでやけども」
「私!それじゃ意味ないだろ!仮にもお前は私の本体なんだぞ!?真面目にやれ!」
「もうドッペルゲンガーゆうたらお前みたいなもんやて。私はお前がさらってきた男で遊ぶ…それだけや!」
女はスカートの端を持ち上げ、頭を下げる。そしてタカシ達に改めて名乗る。
「どうもよろしゅう……私は魔王、ドッペルゲンガーや」
「……お前が本当のドッペルゲンガー……?」
「ちゃうちゃう!私は『本体』、こっちは『影』!どっちも私やないの」
けらけらと笑うドッペルゲンガー本体。不気味な影とは打って変わって、軽そうなキャラである。
「君達、ずっと私の影殴っとったみたいやけど……あかんあかん!体はこっちや!影殴られたって痛くも痒くもないで?」
「それをバラすなんて……随分と余裕むきゅね?」
むくちゃんの挑発。
それに返ってくるのは魔王らしい不敵な笑み。
「そりゃそうや。だって、そこのイマイチイカサマボーイのターンは凌いだしな?」
「イ、イマイチイカサマボーイ?」
ドッペルゲンガー本体は親指を自らに向ける。
「次は私のターンや」
ドッペルゲンガー影が本体に吸収されていく!
「完全体になった私に……触れられるかいな?」
影を纏い、ドッペルゲンガーの角がぐんと伸びる!
魔王ドッペルゲンガー完全体が現れた!
「さあ、疑心暗鬼に埋もれて逝ねや!」
ドッペルゲンガーから闇が吹き出す!
ドッペルゲンガーのイミテーション!
ボウンッ!
軽い爆発音と共に黒煙。それに視界を一瞬奪われたタカシ達は慌てて魔法、真理眼を起動させる。
しかしその一瞬でドッペルゲンガーは行動を完了させていた。
「また……!」
「アリアちゃんが二人……!」
黒煙の中にはまたも瓜二つのアリアが二人……真理眼でも見抜けない、幻でも目くらましでもない、純粋で完璧な『変身能力』。
「「な、何で私にばっかり化けるんですか~!」」
「んな!?」
泣き言を言うアリアの声がシンクロする!まるで双子ギャグのように!
驚く一同をけらけらとからかうように、地面からぬるりと二つの影が這い出す。
「完全体の私は対象を完全に模倣する!」
「ほれほれ、本当の仲間を見抜いてみい!」
動作も何もかも瓜二つ……声を発するタイミングも一緒……これを見抜く方法はあるのか?
「もういっそアリアちゃんが二人になったと思って喜ぶしか……!」
「ポジティブすぎます師匠!」
「駄目むきゅ。放って置いたら後ろから刺されるむきゅ」
「冗談だよ!マジレスすんな!」
手詰まり……今まさに「魔王は力だけでは倒せない」という言葉を思い知るタカシ達。
「さあさあ!早よせんと!まずは不意打ちで一人いてまうぞ!」
「ちなみに我々は影。こちらへの攻撃は無駄だ!」
ドッペルゲンガー影の煽りが焦りを促す。
「「いっそ私同士で殴り合いますか……?力なら自信がありますし……」」
「駄目むきゅ。いくら魔王より腕力強いゴリラみたいなアリアでも、魔王に一人では勝てないむきゅ」
「「そんな……」」
どうしようもない……一同が諦めかけ、偽アリアがこっそり影のナイフを構えだしたその時……
『そうだ!アリアちゃんが、タカシ君をぶん殴ればいいんだよ!』
「な、何でだよ!?」
ミリーの頭に電球が浮かぶ。
『アリアちゃんの方が力は強いんでしょ?だったらパンチ一発でタカシ君の受けたダメージ量で判断すればいいんだよ!』
「……それで行こう!」
何故か顔を赤くして身構えるタカシ!
「よろしくお願いします!」
タカシは興奮している!
しかし、当のアリアはあわあわと慌てて……
「む、無理ですよう!タカシさんを殴るなんて~!」
「あれ?」
『アリアちゃん、声シンクロしてないよ?』
「あ、本当ですね」
言葉を発した一人のアリアが不思議そうに首を傾げる。一方のアリアは引きつった笑顔で一同を見渡す。
「……」
「……なんですか?みなさん、さっきから何を話して……」
其処でむくちゃんがピンと来たようにミリーに尋ねる。
「ミリーは存在を知ってる相手にしか見えないむきゅ?」
『そうだよ?』
「声も聞こえないむきゅ?」
『そうだ……あ』
「あ」
「あ」
「あ……ってなんですか?なんで私を見てるんですか?」
慌てて尋ねるアリア。
タカシはミリーを指差し、アリアに教える。
「ここに、幽霊がいます」
「え?あはは、やめてくださいよ~!幽霊なんているわけ……」
『幽霊じゃないよ!精霊のような何かだよ!』
アリア、顔面蒼白。
「い、い、い、い……」
透き通った姿、ない足……見るからにそれは
「いやああああああああああああああああああああっ!?お、おおおおおおおおお化けぇぇッ!?いやああああああああああああああッ!!!」
「ど、どんだけビビってんだ!?」
「とにかく分かったむきゅ」
「ああ」
タカシ達は発狂したアリアを指差して、宣言する。
「魔王はお前だ!」
「「「来るな来るな来るなぁぁぁッ!!」」」
影も一緒に泣き喚く。既に変身も解けて泣きながら逃げようとするドッペルゲンガー。
「俺は女は殴りたくないぞ」
「じゃあ私がやっつけますか?」
『ふっふ!今回は私に任せてー!』
ドッペルゲンガーが本気で怯えている幽霊、ミリーがビュン!とドッペルゲンガー目掛けて飛来する!
「「「いやああああああああああああああ!」」」
そして……
『……ベロベロバ~!お化けだぞ~!食べちゃうぞ~!』
ミリーの驚かす攻撃!
「子供かっ!!」
タカシが突っ込みを入れる。
すると、走って逃げていたドッペルゲンガーはゴロゴロと転がり、床に倒れ伏した。
「あれ?」
タカシ達はドッペルゲンガーに歩み寄る。
動かないドッペルゲンガーはブクブクと泡を吹いて、虚ろな目をして失神してしまっている……
つんつんつついても反応なし。完全に失神確定である。
『そ、そこまで怖がらなくても……』
「……魔王のくせに幽霊にビビるなよ」
「ま、倒せたのは事実むきゅ」
「良かったです~」
魔王ドッペルゲンガー完全体を倒した!
思いの外厄介だった幻惑の魔王、ドッペルゲンガー……彼女を思わぬ伏兵、幽霊(?)ミリーの力で撃破したタカシ達!
「はあ~、もう二度とこんな面倒な魔王は御免だぜ……」
『私、大分頑張ったよね?誉めて!』
「ただ居ただけだろうが」
「むきゅきゅー!」
「幻惑の魔王……強敵でしたね~……」
タカシ達は気を取り直し、新たな魔王の元を目指す……
次なる魔王はどんな相手か?
そして、ドッペルゲンガーを撃破したタカシ達を見下ろす怪しい影……
「噂以上に面白い方々だ……これは世界が荒れますよ……!」
パシャッ!
タカシはふと振り返る。
「今何か……?」
しかしそこには何もない。
「気のせいか……?」
タカシは再び歩き出す。
新たな魔王を目指して……
レイ「ま、待ってくれ!俺まだ吊されっぱなし……た、助けて!」
レイは残念でかわいそうな子。
ドッペルゲンガー、性別♀。
本体はエロいこと大好き。レイで遊んでた人。
影は真面目。でもやっぱりエロいことは好きなむっつりスケベ。
共通点はBLでもGLでも何でもごされの雑食性。
とうふさんとは高校時代に漫研で同人誌を描いてた仲。
幽霊とか駄目。
影を操り、他人の姿を真似る能力を持つ。
ド「あんたの姿した影でエロいことしたるわ」
レイ「やめて!」
結局、まともには倒れないという……
後書き裏設定はこれからもエスカレートしていく予定?