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下位世界の『超』召喚獣  作者: 五月蓬
殺戮の魔王バアルベリト篇
1/55

最強の召喚獣

ファンタジーに挑戦してみました!


内容については……見てからのお楽しみです!




「くっ……!」


 勇者一行は魔王に至る道の最後の関門を前に、予想外の苦戦を強いられていた。


「ハハハハ!その程度か、勇者レイよ!」


 魔王の側近、ベルペスは魔王から授けられた魔神の杖を振りかざし、魔王の待つ部屋の扉の前に立つ。


 増幅された魔力、そして魔神の加護により変質した肉体は勇者の剣技も魔術師の高等魔法も召還術師の召還術もいとも容易くはねのける。


 それでも騎士の守りと魔術師の回復魔法で持ちこたえていたが、魔術師もそろそろ限界。引こうにもベルペスはそれを許さない。


「貴様等も此処で終わりだ!右腕のベルペス、遂にお前の仇をとるぞ左腕のバハゴン!」


 ベルペスの杖の一振りで騎士、内藤はは新たな傷を作る。そして防ぎきれない攻撃が背後の勇者達をも傷付ける。


「くっそぉぉ!何とかならないのかよレイ!」


 鈍足な内藤にターンが周り、アイテム係の称号を手に入れるくらいに使い込んだ上薬草のスプレーで、パーティー全体を回復する。


「うるせぇ!肉壁兼アイテム係は黙ってろ!」

「ひでぇ!俺だって防御全振りじゃなかったら、このナイトブレードで……!」

「最初の村で買った初期装備で何ができるというのです!?」

「……よくよく考えたら、俺の扱いおかしいだろうが!」

「コントは済んだか勇者達よ?私の素早さが高ければ貴様等はとっくの昔に死んでいるぞ!」


 ベルペスの言葉に勇者レイは歯を食いしばる。そして雄叫びをあげながらベルペスに斬りかかる!


「うおおお!」


 ガキン!


「効かぬ!」

「ぐわあああ!」


 ベルペスのカウンターにレイは吹っ飛んだ。ゴロゴロと地面に転がり、血を吐く。


「がっ……!」

「レイ!くっ……!仕方ない。これが最後の魔力ですが……!」


 魔術師ドリーが顔をしかめて、回復魔法を唱える。堅実な彼は、残る魔力をベルペスに叩き込まずに、レイの命を繋ぐ。


「……これで僕も魔法を使えません。魔力回復の道具ももうありませんしね」

「アイテムももう空っけつだ」


 内藤が専用のアイテム袋をひっくり返す。


「万事休すか……」


 むくりと起き上がるレイは歯噛みした。


 そんなレイの前にドリーと内藤が立つ。


「……魔法を使えない魔術師はただの人だ。でもそんなのは御免だ。だったら僕も肉壁として君を最期まで守り抜く!」

「俺は最初からそれが役目だ!」

「…………ドリー」


 レイが目に涙を溜めて、唇を噛み締める。




「…………俺の名前も呼べよ!」


 内藤涙目。


「君が倒れなければ希望はある!頼むレイ!次で決めてくれ!」

「ドリー……死ぬなよ」

「お前ぇぇ!俺はぁ!?」

「……お前は肉壁だから、あんまり思い入れが……」

「チクショー!だったら、華々しく壁として散ってやらぁー!!」




 決意を固め、レイを守るドリーと内藤(涙目)。そして剣を構え、次の一撃に全てを賭けるレイ。


 無謀な賭けだった。




「だめだよ」


 その声の主は、肉壁となるドリーと内藤の前に立つ。


「そんなことしても、みんな殺されちゃうだけだよ」

「……ミリー?」


 召還術師ミリーは静かに、ベルペスと対峙する。その小さな後ろ姿に、レイは言い知れぬ不安を覚えた。


「何する気だ……?」




 決意に満ちた声が返る。


「私の全生命力を捧げて……最強の召還獣を呼び出す」

「ば、馬鹿!そんなことしたらお前が……!」

「でも、レイ達は助かるかもしれない」


 長く美しい銀色の髪を靡かせるミリー。風もないのに靡く髪は、彼女の魔力が急速に高まっている事を示していた。


「やめろミリー!やめてくれ!」

「ごめんレイ。それは聞けない」




 淡い光がミリーの体から溢れ出す。それはミリーの魂が徐々に逃げていくようで……レイはドリーと内藤を押しのけてミリーをつなぎ止めようと手を伸ばす。




 それを拒むようなミリーの声。それはレイには向けられない。


「ドリーさん」

「ミリー……」

「レイはちょっとお馬鹿だから……ドリーさんの知恵、これからも貸してあげて下さい」


 ドリーは目を伏せる。


「内藤君。レイは無鉄砲だから……怪我しないように守ってあげて」

「……と、当然だろ!俺は体が丈夫だからな!それが俺の役目だろ!」


 内藤は僅かに震える声を捻り出した。




「待て!そんな遺言みたいな……」


 グイッ


 ミリーに掴みかかろうとするレイが、ドリーと内藤に引き止められる。


「離せ!離せぇ!」

「レイ……これしか方法はないんです。生命を魔力に変えるスキルはミリーにしかない。そして、生き残る方法はそれに縋ることだけ」

「ふざけんな!俺はまだやれる!」

「目ぇ覚ませよレイ!お前の力じゃ……ベルペスに歯が立たないだろうが!」




 内藤の言葉にレイは崩れ落ちる。そして勇者らしからぬ涙を目に浮かべて、弱々しく手を伸ばす。




「ミリー……!」


 地面に情けなく這い蹲るレイ。


 ミリーの姿はもう殆ど淡い光のようになっていた。




「レイ」


 ミリーの声。レイは顔を上げる。


「駄目だよ。レイはもう勇者様なんだから。立って。泣かないで」


 レイは地面をどんと叩く。


「お前一人救えなくて!何が勇者だ!」


 ミリーは顔を向けずに首を振る。


「ううん。レイは勇者様」

「違う!」

「違わない」




「誰が何と言おうと、レイは私の勇者様だよ」




 レイが顔を上げる。


「私を魔物から何度も守ってくれたね。魔法が下手っぴな私を何度も励ましてくれたね。私を仲間にしてくれたね」

「……やめろ」

「召還術に出会えたのも、レイが私の才能を見つけてくれたお陰だね。今の私があるのは、全部レイのお陰なんだよ?」

「やめてくれ……」




 レイはかすれた声で弱々しく呟く。


「今までありがとうレイ」

「やめろぉぉ!ミリィィィ!」







 最後に振り返ったミリーの目には涙が浮かんでいたが、そこには眩いほどの笑顔があった。




「大好きだよ、レイ」







 ゴォォォォォォォォォォォンッ!!


「出でよ我が生命を食らいて」




「召還!」


 轟音、そして暴風!風は光となったミリーを攫う。


「ミリィィィ!」

「な、何だこれは……!」




 余裕の表情さえ浮かべていたベルペスの顔に明らかな焦り。光と闇の渦が周囲を包み込む!


「何を……何を喚んだ!?」







 ボォォォォォンッ!!




 爆音と共に、白煙が周囲を包む。

 そこにいる全員が息を呑む。







 ゴ ゴ ゴ ゴ …







 煙の中に影。




 ベルペスは目を見開く。







 徐々に晴れていく煙……


 そして姿を顕した最強の召還獣は……









「……え?何?」




 シャツにトランクス姿で、箸を乗せたカップ麺を前にした、卓袱台とセットのだらしない青年だった。





よろしければ感想ご意見、ガンガンお寄せ下さい!

ちなみにコメディになる予定です。

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