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【第4章連載中】『元・食品開発研究員ですが、異世界の食材を「科学」で極上ディナーに変えたら、王国中から美食家が押し寄せてきました』  作者: チョコ大福
第2章:小人族の隠れ里ピクシーズ編

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25/62

第25話:「地底湖のエビの殻は、『アスタキサンチン抽出・出汁の勾配』で【濃厚エビのパスタ風ヌードル】に変わる」

登場人物紹介

エドワード:主人公。元・大手食品メーカーの食品開発研究員。気品ある紳士的な物腰で、科学ロジックを駆使して食材のポテンシャルを解放する。

レイラ:エドワードの相棒となった商人見習いの少女。勝気な性格(「~よ・~わ」口調)。流通の視野を持ちつつ、最高の食レポで読者のヨダレを誘う。

ティル:小人族の若き代表・族長代理。小さな体で里の食糧難を救おうと奔走する。

ノエル:外部の人間を強く警戒する、真面目で頑固な若き小人族の衛士。

前書き

第25話をご覧いただきありがとうございます!

小人族の隠れ里ピクシーズ編、今回は地底湖で採れる「エビの殻」と「地底の細麺」がテーマです。

「身の部分だけ食べて、硬い殻は生ゴミとして捨ててしまっていた」というエビの残渣ざんさを、エドワードが「脂溶性色素・旨味成分のオイル抽出」と「麺への乳化ソースの吸着科学」で鮮やかに極上のヌードルへと変貌させます。

地底の食材に新たな価値を吹き込む、芳醇な海の香りと旨味が詰まったひとときを、どうぞお楽しみください!

それでは第25話、どうぞ。

「エドワードさん、今日の集落の仕込みで出たこの『地底湖のエビの殻』なんだけど……いつもはゴミとして捨てるか、せいぜい水に放り込んで薄いスープにするくらいで、どうも旨味が出し切れなくて困っているんだよ」

小人族の隠れ里ピクシーズの調理場に、若い衛士のノエルが大きな木桶を抱えてやってきた。その中には、地底湖の冷たい水で育った硬い殻を持つエビから剥ぎ取られた、大量の頭や殻が無造作に入れられていた。

普段は外部の人間を強く警戒しているノエルだったが、これまでのエドワードの鮮やかな手並みを目の当たりにして以来、すっかりその科学的アプローチに一目置くようになっていた。傍らでティルやレイラも興味津々といった様子で覗き込んでいる。

エドワードは穏やかな笑みをたたえ、そのエビの殻を一つ手にとってじっくりと観察した。

ふむ、と静かに頷く。

「ふふ、ノエル君。素晴らしい着眼点です。エビの身ではなく『殻』にこそ、強烈な旨味成分(グリシンやグルタミン酸などのアミノ酸)と、鮮やかな赤色を形作る『アスタキサンチン』という脂溶性の色素がたっぷりと詰まっています。ただ水で茹でるだけでは、これらは水に溶けにくく外に出てきませんが、『脂溶性成分のオイル抽出』と、デンプン質の麺にソースを完璧に絡める『乳化の科学』を応用すれば、この廃棄されるはずの殻から極上のパスタ風ヌードルを作り出すことができますよ」

「殻に、そんな宝物が眠っているのか……? しかもパスタ風の麺に絡めるって、いったいどうやって……?」

ノエルが驚きに目を丸くし、レイラも「エビの旨味を余すところなく引き出すなんて、さすがエドワードね!」と腕を組んで胸を張る。

エドワードは静かに眼鏡のブリッジを押し上げ、手際よく調理の準備を始めた。

① 脂溶性色素・旨味成分のオイル抽出と麺への乳化ソース吸着の理論

エドワードはまず、集めたエビの殻を石臼でしっかりと細かく砕き、熱した鍋に上質な地底油と共に投入した。

「エビの殻に含まれる旨味や香りの成分、そして美しい赤色のアスタキサンチンは、『油に溶けやすい(脂溶性)』性質を持っています。細かく砕いた殻を油でしっかりと炒め上げることで、油の中にエビの旨味と芳香成分がダイレクトに移行し、濃厚な『エビアロマオイル』が抽出されるのです。さらに、そこに茹で汁と麺のデンプン質を加えることで、水分と油分が一体となった『乳化ソース』へと昇華させ、地底の細麺に隙間なく吸着させます」

エドワードの手際よい動きに合わせて、鍋の中から香ばしい海の匂いが一気に広がり始めた。

② 五感と化学変化の実況(芳醇なアロマとスープの激変)

鍋に火が通るにつれて、調理場の空気は劇的な変化を遂げた。

**「ジュワァァッ……! パチパチッ……!」**という力強い揚げ焼きの音が響き渡り、くすんだ灰色だったエビの殻が、熱と油の作用によって見るるうちに鮮やかな「夕焼けのような朱紅色あかいろ」へと変化していく。

それと同時に、香ばしい甲殻類特有の芳醇なロースト香が立ち上り、地底の暗い洞窟にいることを忘れさせるほどの強烈な食欲をそそるアロマが空間を支配した。

抽出された真っ赤なオイルに少量の茹で汁が加えられると、乳化が急速に進み、スープは瞬く間に濃厚でクリーミーな「黄金色のエビソース」へと姿を変えた。そこに、絶妙な茹で加減に仕上げられた地底の細麺が投入される。

「おや……!? さっきまでただのゴミだと思っていたエビの殻が、ものすごく贅沢で、鼻腔をくすぐるような高級なスープに化けたぞ……!」

隣で見ていたノエルが驚愕の声を上げ、あまりのいい匂いにゴクリと喉を鳴らす。

③ 絶品! 濃厚エビのパスタ風ヌードルの完成

エドワードは手早く麺とソースを絡め合わせ、彩りよく皿へと盛り付けた。

そこにあったのは、かつての生ゴミの面影など微塵もない、極上の【濃厚エビのパスタ風ヌードル】だった。

④ 価値観の崩壊と、至福の食レポ

「お待たせいたしました。熱いうちに、どうぞお召し上がりください」

エドワードに促され、ノエル、ティル、そして商人見習いのレイラが、それぞれのフォークで麺をすくい上げ、口へと運んだ。

「…………っ!!!?」

ノエルとティルの目が驚愕に見開かれ、その場で息を呑んだ。

『濃厚……、旨味が麺に絡みついて離れない……っ!』

口に入れた瞬間、エビの凝縮された濃厚な旨味と香ばしいオイルのコクが、細麺のデンプン質と共に爆発的なまでの広がりを見せる。パサついていた細麺はソースを完璧に吸着しており、噛むたびにジュワリと芳醇なエビの風味が口いっぱいに溢れ返った。

「うまっ……!! なにこれ、ものすごく濃厚で、口の中がエビの旨味でいっぱいになる……! 捨てようとしていた殻から、どうしてこんなに本格的なパスタが作れちゃうの!?」

レイラは両手で頬を押さえ、あまりの美味しさに感嘆の声を漏らす。

衛士のノエルも、自分の手元の皿を見つめ、そして震える声で呟いた。

「ば、馬鹿な……。わしたちが『どうせ食べられない残りカス』と捨てていたものが……こんなにも芳醇で、とびきり美味いご馳走に生まれ変わるなんて……!」

ノエルは夢中でフォークを動かし、周囲で見守っていた小人族の仲間たちも次々と集まってきて歓声を上げ、地底の里は温かな笑顔と活気に包まれていった。

その光景を見ながら、エドワードは満足そうに微笑み、眼鏡のブリッジを押し上げた。

ふふ、と上品に息をつく。

「ふふ、お気に召していただけたようで何よりです。どんなに価値がないと思われている食材の残渣であっても、科学のロジックで成分の居場所を見極めれば、いつでも極上の美食へと昇華させることができるのですよ」

小人族の隠れ里ピクシーズでの日々を、頼もしい仲間たちと共に、今日も科学のチートを武器に人々の常識を優しく、そして美味しく塗り替えていくのだった。

後書き

第25話をお読みいただきありがとうございました!

今回の科学のポイントは、

エビの殻に眠る脂溶性成分(アスタキサンチンや旨味アミノ酸)を油に溶け込ませるオイル抽出の技術。

抽出された濃厚なエビ油と茹で汁を一体化させ、デンプン質の麺にしっかりと絡みつかせる**乳化エマルション**の科学。

廃棄されるはずの食材の残渣から、圧倒的な風味とコクを持つソースを構築するフードサイエンスの技法。

でした。ご家庭でエビやカニを調理する際、殻を捨てる前にスープやオイルにする際にも役立つ実用的なロジックですので、もしよろしければご参考になさってください!

次回からも続々と美味しいエピソードをお届けいたしますので、どうぞお楽しみに!

「おもしろかった」「お腹が空いた」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ぜひ【ブックマーク登録】や【評価(☆☆☆☆☆)】で応援をよろしくお願いいたします!皆様の応援が執筆の大きなエネルギーになります。

それでは、また次話でお会いしましょう!

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