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僕の彼女  作者: 時雨
2/2

スカイツリー編

「おーい。」

  彩花の方から大きく手を振ってくれた。

 上は白で下は紺色のナロースカートを彼女は身にまとっていた。

「遅くなってごめんなさい。」

「ううん。大丈夫。それに十五分前だし。」

  最寄り駅からここまで迷ったという話は心の内にそっと閉まっておくことにしよう。

「早速上りませんか?早く展望回廊まで上ってみたいです!」とにこやかな笑顔を見せる彼女。もう一番高い所まで登る気満々である。

  二人分の出費は痛いが彼女が喜んでくれるならありがたい出費だ。

  彩花に導かれる中建物に入ってチケットの発券機で二人分発券する。

  ……3400円…高いなあ…。

  貧乏な生活には響く値段。でも僕もいつかは上りたいと思っていたし、いい出費だろう。

  まっすぐ入り口に進んで警備員のおじさんの手荷物検査を受けてすぐに来た展望デッキ直通のエレベーターに乗り込む。

  僕達はただの日本人同士の彼氏彼女なのだが詰めに詰め込まれたエレベーターは外国人観光客ばかりで…というか外国人しかいなかったような…。

  もしかしたら東京の有名観光名所だからか日本人よりも外国人の方が多いのではないだろうか。

  天井近くの壁には江戸切子で作られ、金箔で装飾された桜が満開の花を咲かせていた。

  エレベーターの扉が閉まった瞬間一気にスピードを上げてものすごい勢いで上がっていき、たった一分で東京タワーよりも高い展望デッキにたどり着いてしまった。

  周りの装飾にカメラ向けている時間も一瞬であった。

  エレベーターの扉が開いた瞬間前面に晴れた青空と小さな建物が目の前に広がっていた。 窓の近くに行くとその小ささが顕著にわかるほどで…まるで巨大なミニチュアのようで… 「すごい!まるで都心が大きいミニチュアみたい!」 彩花ちゃんと全く同じことを考えていたみたいだ。

  下を歩く人もどこにいるのかわからなかった。かろうじで鉄道の線路と電車が走っているのが分かったぐらいで…これが展望デッキ350の世界なのか。

  僕自身高い建物には年単位で行っていない。

  最後に行ったのは小学生のころだっけ?東京タワーを階段で登った記憶がある。

  ミニチュア東京を黄昏るように眺め彼女がいることを忘れかけつついると「ねえねえ!」と呼ばれて我に返った。

「これやってもいいですか?」

  彩花が指さした先には無数のリボンが結ばれていた。

  リボンの一つに近づいてみると願い事が書かれていた。

  その横にはガチャガチャがあった。ここにリボンが入っているのだろう。

  リボンを購入すると僕は赤いのが出てきた。

  ………さて、なんて書こう…。

  ……ここはとりあえず全人類の希望を書こう。

『一瞬で億万長者になりたい。』

  要するに不労所得という名の欲まみれの内容になってしまったが…まあいいか。

  さてリボンを結ぼう。なのだが結べる場所がない。

  彩花はもう書き終わったらしいがどこに結ぼうかとフラフラしていた。

  結べそうなところがどこにもない。こじ開けようにもこじ開かない。

  見つからないまま三分ぐらいが経過し、もう埒が明かないのでやむを得ないが海外の方が書いたリボンの上に巻かせていただくことにした。

「そこにカフェがあるみたいですよ。ちょうど昼時も過ぎてますから少し軽食いただきませんか?」 そう言われて振り返ってみると左手にこじんまりとした小さなカフェがあった。

  気が付けばもうとっくに正午を過ぎていたようだ。

  入口にあったメニューを見てみると…まあ分かっていたとはいえ結構いいお値段だ。

 彼女は「これにしよ!」と言うと間髪入れずにお店の店員さんに「スカイソフトください。」と笑顔で注文してた。なおお金は僕持ちである。

 お店の人に渡される直前彩花ちゃんは「スプーン二ついただけますか?」と聞いてお店の店員さんからスプーン二つ頂いていた。

  意図を聞くと「シェアしよ!」と笑顔でスプーンを渡してくれた。

  底にコーンフレークが入っていてその上にソフトクリームがたっぷりと盛られて、上にスカイツリーのイラストが描かれたクッキーが刺さっていた。

  二人揃ってアイスをすくってゆっくり口に運ぶ。

  …ああ、ミルクが濃厚で…すぐに溶けて…そして火照った体にとてもいい冷たさ…。

  立席とはいえ都会の景色を見ながら彼女と食べる物はとても美味しい物であった。

  仲良く食べ終わった後グルッと回ってみたものの整った絨毯と窓に張りついて大都会の景色を見る人達で埋まっていたためどうも後は上に上がるか階段で下の階に降りるかの二択であった。

 

 天望回廊のチケットも買ってあるので答えは言わずもながである。

 

 直通エレベーターで一気に上へ。

 このエレベーターは外の景色は見えるらしく、在京テレビのアンテナらしきものもあった。ていうかアンテナはてっぺんじゃないんだ。 エレベーターの扉が開いた瞬間眩しい光が一気に私を包み込んで、窓越しには巨大なミニチュア首都が広がっていた。

 そして左手に向かって順路の坂道を進んで……坂道だと?その…天望回廊というのは坂道になっているのか! …なんか斬新。

  あと下調べもしておくべきだったな。傾斜がついているのは知らなかった。

  とりあえず運動不足な人間としてはいい運動と思い絶景を眺めながら進んでみるがこれ

「結構足に来るね。これ。」

 彩花がまた代弁してくれた。

「これ毎日往復で登り降りしていたら足腰鍛えられるな。」

 そう言いながら何が見えるかをゆっくり確かめながら進む。

 ある程度どこに自分の家があるかわかるが流石にわが家が見えることはなかった。

 最高地点付近で彩花ちゃんが急に一言放った。

「そうだ。これ背景に写真に私を撮ってほしいです。」

「え、それなら二人で自撮りしない?多分それの方が記念には残ると思うんだけど…。」

「私世の中の女の子がやっているような自撮りはとても下手で…外国人がやっているような撮り方しませんか?」 すぐ近くの人を見てみるとペアの外国人が一人ずつ単体で外の景色を背景に写真を撮っていた。

  なので僕たちもそれにならってまずは僕から。

  カメラを前にしての笑顔は苦手だが笑顔ぐらい僕だって作れる。

  最高の笑顔を作った瞬間シャッターが切れる音が聞こえた。

「カメラ交代しましょー。」

  そういわれて僕に彼女からカメラを受け取った。

  彼女が立ってた位置と同じ場所に立ち、カメラを構えた瞬間ばっちりな笑顔を見せてくれた。

  かわいい…尊い…。

  脳内麻薬に溺れかけながらシャッターを切った。 シャッターを切ってすぐ彩花が駆け寄ってきた。

「うん。綺麗に写ってるね。」

  自分の写真を見て納得していた。

  なお一緒に自分の写真も見たが…ほんの少し引きつっていた。最高地点を超えた後は少し下って展望デッキ直通エレベーターだった。

  順路を逆走…もちょっと迷惑なのでそのままエレベーターで降りることにした。

  エレベーターが開いたら展望デッキ1階だった。

  すぐ左には小規模ながらもお土産コーナーがあった。

「中入ってもいいですか?」

  下の階にあるような気がするが…せっかくのデートでお土産なしは防ぎたいので一緒に中に入ってみることにした。

「うわあ!どれも欲しい!」

  入った瞬間目をキラキラさせていた。

  ねえ。これ欲しい!

  彩花ちゃんのすぐそこには江戸切子が置いてあった。

  お値段は一万円とちょっと。

  申し訳ないが流石に首を横に振った。それに対して「ですよねー。伝統工芸品だからしょうがないか」と素直に諦めてくれた。

  そして「んー…」と言いながら一つひとつじっくりと商品を見ていた。

「これいいですか?」

  手にはスカイツリーを模した箸を持っていた。

  値段は千円ちょっと。少し高いが観光地ゆえの高さと考えると安い方だとは思う。

 …僕もマイ箸買お。おそろだおそろ。

  結局千円ちょっと出しました。

  エレベーターを下る。楽しかった時間はあっという間だった。

  僕の隣は人が変わったかのように静かになった。

  そう思っていたらあっという間に5階に着いてしまった。

  どっと一気に人が降りた中、僕は一人ポツンと取り残された。

  あぁそうだった…。僕はきっと、夢を見ていたのだろう。

  元から彼女なんて…いなかった……。


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