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ハズレ職業【フリーター】を授かった少年アルト、王都で騙されて多額の借金を背負う。しかし、修復スキルでガラクタを綺麗にして売りさばいて最下層の泥底から成り上がる!  作者: 月曜日の憂鬱
ファビアン編

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逃亡

 白のドレスを着た美しい女性、ルーナに手を引かれ、アルトが案内された個室は、まさにホテルのスイートルームのようだった。部屋の広さは尋常ではなく、壁は淡い金色を基調とした上質な布で覆われ、柔らかな照明が全体を包み込んでいる。

 部屋の中央には、キングサイズの豪華なベッドが置かれていた。その寝台は天蓋付きで、薄いシルクのカーテンが優雅に垂れ下がり、分厚いクッションと純白のリネンが、王族の寝室のような贅沢さを演出している。その傍らには、大きな二人掛けのソフーァと、天板が光沢を放つ豪華なテーブルが据えられていた。さらに、部屋の奥には、黒い扉に隠された広々としたお風呂場があることが窺えた。


 アルトと一緒に部屋に入ったルーナは、雪のように白い肌と、茶髪のショートヘアがよく似合う18歳くらいの小顔の女性だった。ドレスは胸元が大胆に強調されており、その可憐な容姿とセクシーな装いのギャップが、アルトの心臓をさらに高鳴らせた。


 ルーナが手を離した瞬間、アルトは彼女の柔らかくて暖かい温もりが消えたことに気づき、心臓がバクバクと激しく打ち鳴るのを感じた。


 「お客様、緊張しているの?」


 ルーナは、鈴を転がすようなとても可愛らしい声で尋ねた。アルトは顔を真っ赤にしてしまい、何も言葉が出てこない。ルーナはその様子を見て、恥ずかしそうに頬を染め、いたずらっぽく笑った。


 「ふふ、私も今日が初めてなので、とても緊張しています」


 その女性の可愛らしい笑顔に、アルトは思わずキュンと胸がときめくのを感じた。ルーナは可愛らしく両手を合わせて、アルトに促した。


 「さあ、まずはこちらのソファーにお座りください」


 アルトは「うん」と小さく頷き、緊張しながらソファーの端に座った。


 「お名前を教えてもらってもよろしいでしょうか」


 ルーナは優しく微笑みながら尋ねた。


 「ぼ・僕はアルトです」

 「素敵な名前ですね。アルトさんとお呼びしてもよろしいでしょうか?」


 「うん」


 アルトは恥ずかしそうに頷く。


 「私はルーナです。今日はご指名ありがとうございます」

 「ご指名?」


 アルトには「ご指名」の意味が全く理解できない。アルトのキョトンとした表情を見てルーナは理解する。


 「あ! お連れの方が私をご指名してくれたのだと思います」

 「そ、そですね」


 アルトは慌てて答える。一方、ルーナはにこやかに会話を続けた。


 「アルトさんはお酒は飲まれますか?」


 この世界では15歳から飲酒が認められているが、アルトはお酒を飲んだ経験がない。アルトは「僕は飲めません」と断った。


 「それならジュースをお持ちしますね」


 ルーナはそう言って部屋の冷蔵庫から瓶を取り出し、グラスにオレンジジュースを注いでアルトに手渡した。


 「これを飲んで少し待っていてくださいね」


 ルーナはそう述べると、可愛らしく一礼し、一旦部屋から出て行った。ルーナが居なくなると、アルトの頭の中で警報が鳴り響いた。


 (なんで料理店にベットがあるの? お風呂まである! こんなのおかしいよ!)


 豪華な食事をする場所だと思っていたのに、ここは完全に高級な宿泊施設だ。アルトは状況が理解できなくてパニックになった。


 (逃げよう!)


 アルトは勢いよく扉を開けて部屋から逃げ出そうとした。しかし、扉を開いた、その瞬間に。トレイに料理を乗せたルームサービス用の台を押したルーナが、廊下から現れた。台の上には、銀のカバーに覆われた高級そうな料理が乗っている。


 「あらアルトさん、どうしたのでしょうか」


 ルーナは、天使のような可愛い笑みを浮かべたまま、不思議そうに尋ねた。アルトは言葉に詰まり、とっさの嘘をついた。


 「ちょ、ちょっと、トイレに」

 「ふふ、こちらは出口になります。おトイレなら部屋の奥の黒い扉ですよ」


 ルーナは笑いをこらえながら、部屋の奥を指さした。


 「あ、ありがとう」


 アルトはぎこちない返事をし、混乱したまま部屋の奥の黒い扉へと急いで入っていった。



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