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第3話 うちの家族

 うちの家族についてまだ紹介してなかったよな。


 家族構成は父さん、母さん、兄ちゃん、俺の4人。


 父さんの名前は『ダンペル』。

 母さんの名前は『メキャッツ』。

 兄ちゃんの名前は『マルス』。

 で、俺が『カイララ』だ。


 改めて考えると兄ちゃん以外変な名前すぎる。


 うちの家系は、俺と母さんを除くと結構な割合で『狩人』のスキルを持っているらしい。


 父さんと兄ちゃん、それに加えて爺ちゃん婆ちゃんも『狩人』だったというから驚きだ。遡ればもっと前まで狩人だらけなんだろうと思う。


 そんな中で生まれてきた『設計図』のスキル持ちの俺。うちの家系の中じゃ異端児だ。


 ちょっと前に聞いた話だと、両親は当然俺が『狩人』のスキルを持っているものと考えて、狩りに必要な道具一式を用意していてくれていたらしい。


 罠とかナイフとか、大きい背負い袋に小さな薬草入れのポーチまで。家計はそんなに余裕ないのに、俺のためにそこまで用意してくれてたとは、なんて有り難い話だろうか。両親の愛情を感じるよ。


 結果として、俺はそれを裏切ってしまった。そのことについては多少思うところはある。けど、正直なことを言えば、俺は自分のスキルが『狩人』じゃなくて良かったとも思っている。


 だって罠やナイフでデカい猪やら熊やらなんて狩れるとは思えないもん。

 たぶん俺が『狩人』のスキル持ちだったら1年も経たないうちに死んでただろうな。


 という事で俺は期待を裏切った事と準備してくれていたことに報いるため、取り敢えず『設計図』で生活を便利にしていくことにした。


 父さん母さんは「別に狩人じゃなくても良いんだよ」なんて言ってくれるけど、『設計図』のスキルで将来何が出来るのか分からないだろうし、穀つぶしを育てるのも大変だ。


 少しでも役立って生活を楽にしてやる。それが俺に出来る家族孝行というものさ。


「さて、今日は細かい作業でスキルレベルを上げるぞ~」


 スキルレベル。そうスキルレベルだ。


 きのう兄ちゃんと母さんから改めてスキルの概要を聞いて、今の俺はやる気に燃えている。

 戦闘機を作るためにかかる途方もない時間と行程の長さも、今の俺には気にならない。


 二人の話からすると、スキルレベルというのはこういう事だった。


 まずスキルを使用できるようになった段階でレベル1。


 そこから2、3、4と上がって行って、最大レベルは100。


 スキルレベルを上げるには、スキルに合わせた適切な行動をとっていく必要があり、10レベルごとに次のレベルに上がる為の試練が出て、課題をクリアできなければ次のレベルに上がることはできない。


 レベルが上がるごとに、スキルで出来ることが増える。


 とまあこんな感じだ。


 ちなみにレベル100になるのは通常なら人生の半分を使うとか言われているらしい。


 レベル100になると上位のスキルに進化することもあるらしいので、そこもワクワクな要素だ。


 俺の場合、今の『設計図』のスキルレベルは2。

 

 おそらく母さんにスコップを作ったときに上がったんだろう。例によって最初は上がりやすりらしいからな。


 ちなみに父さんは『狩人』レベル56。

 母さんが『家庭菜園』レベル48。

 兄ちゃんが『狩人』レベル9だ。


こうしてみるとスキルレベル上げの大変さが分かる。


 父さんも母さんもまだ20代だからかなり頑張ってるほうだと思うけど、それでもレベル100になるのはこのペースだと45歳ぐらいまでかかるだろう。


「うーん、長い。長すぎる。もっと期間短縮できないものか……」


 待てよ。そう言えばきのう母さんがスコップを使ったらレベルが2も上がったって言ってたな。と言うことは俺が何か作って有効に使って貰えばレベルが上がりやすいのでは?


「これは実験が必要だな」


 実験するにあたって一番良い対象だと思うのは、やっぱり母さんだろう。『狩人』よりは『家庭菜園』の方が前世で身近だし。


 じゃあ母さんのスキルレベル上げをするとして、『家庭菜園』で役立つアイテムといえば何だろうか。


 やっぱり『家庭菜園』なのだから、最終目的は美味しい野菜を作ることだ。だから収穫の時が一番レベル上がりやすいはず。


「うちの家庭菜園で育ててるのは、ミニトマトときゅうり。あとは細ネギかな。意外に葉物が無いんだよなぁ」


 農地の狭さもあってそんなに多く作れないのは分かるけど、それにしても種類が少ない。耕せる箇所はまだあるのに、広げてもっと野菜を育てないのは道具の問題か? それとも人手が足りないのかもしれないな。


 そんな風に一人で考えていると、母さんが俺と兄ちゃんの部屋に入ってきた。


「カイララ。お手伝いの時間よ。今日はお隣のマリーちゃんも一緒だから、仲良くお手伝いしてね」


「はーい」


 もうそんな時間だったのか。時計がないからこの村じゃ太陽の位置で時間を測って動くんだけど、結構曖昧なんだよなこれ。いつか時計を作らないと。


 母さんと庭に出ると、そこにはもうお隣のマリーちゃんが居た。マリーちゃんは俺と同い年で、うちの母さんと同じ『家庭菜園』のスキル持ちだ。だからちょうどいいって事でスキルレベル上げのために一緒にうちの庭で作業する事が多くなった。お隣は畑を持ってないからね。


「おはようマリーちゃん」

「うん。おはよカイララ」


 マリーちゃんは眠そうだ。普段からいつもちょっと眠そうだし、ちょっと面倒くさがりな所もある。こういうのをダウナー系女子って言うのかな?


 でも名前だけは略さないでって言ったらカイ呼びからカイララ呼びにしてくれたし、悪い子ではないのは確かだ。


「さて、今日はカイララが作ってくれたこのスコップで畑を耕して、トマトの苗を植えて行くわよ!」


「スコップ?」


「ほらこれ。こうして土を掘れるんだ」


「ふーん」サクッ「あっ、レベル上がった」


「えっ? 今ので?」


 まだスコップで土を一回掘り返しただけなのに、もうレベルが上がった?


「まあ、凄いわねぇ! やっぱりこのスコップが使いやすいからかしら? マリーちゃん、どれぐらいレベルが上がったの?」


「レベル10になった」


「ええっ!?」


「あらまあ!」

 

 おいおい、ちょっとこれ本当に俺次第でこの村に革命起こるんじゃねーの!?

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