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「······ベルナード······!!!」


優しい人だった。とても温かい人だった。

良き夫、良き父、自分には勿体ないくらいの素敵な人だった。


「あ····ぁぁ·····あ······」


人間、とてつもない絶望に襲われると言葉すらでないらしい。

大恩人であり父親のように慕っていた国王。気心の知れた友人でもあった第二王子妃·レイシェル。我が子のように慈しみ敬愛していたユールベル。


そして、かけがいのない人生のパートナーであった夫·ベルナード。


彼らを目の前で失ったマデリアはボロボロと大粒の涙を流しながら、"今すぐに死にたい"と思うほどに打ちひしがれた。


「アスタロッサ公爵。首尾は順調か??」


聞き覚えのある声が聞こえ、マデリアはそちらの方に顔を上げる。

薄い紫色の瞳に、金色に輝く髪。柔和に微笑むその顔に、殺意すら湧く。忘れもしない、十年前に己を捨てたイスレード王国の王太子·ライオルだ。数年前に父親の急死を受け、国王になったと噂は聞いていた。


「ライオル······!!貴様っっ··········!!!」


この地獄を作り上げた、張本人。

マデリアはキッとをライオルを見上げた。


彼は突然名前を呼ばれて、少しばかり驚いた顔をして、じっとマデリアの顔を見つめた。

 

「何処かで見たことある顔だと思ったらマデリアじゃないか。

何処に居なくなったと思えば、この国に居たのか。」


「何故、セルバス王国を襲った!!!??イスレードとは友好国だったはずだ!!」


噛みつく様に言ったマデリアに、ライオルは"ハッ"と軽く笑う。


「友好国だったのは父の代までだ。

セルバスなど、大陸から居なくなればよい。」


その言葉にマデリアは頭が真っ白になった。

なぜ、そこまで言い切れるのか。


「なぜ!!?セルバスが何をしたっていうのよ!!」


「何をした·····そうだな·····。

この国は、"存在そのもの"が罪なのだよ。国は勿論、この国の貴族も民も全て····。


"罪なる存在"」


「何を···言っているの·····??」


罪??

何の罪??

我がセルバス王国は、素晴らしい国だ。他国に恨まれるような事もしていない。


"罪"。とはどういうことだろうか??

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