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マデリアが捕らえられて数時間後。
ユルベール王女も捕らえられ、マデリア達が監禁されている部屋に放り込まれたのだ。
その時のマデリアの絶望は言葉に出来ないくらい悲惨なもので。
必死で神に祈った。自分はどうなってもいい。この国を、セルバス王国を助けてほしい。
大恩ある国王や、この国に来て初めて出来た友人である第二王子妃·レイシェル。
そして敬愛するユルベール王女。
優しい夫や、温かい義両親。愛する子供達。名も知らない国民達を。
皆を助けてほしい。
そんな思いも虚しく時間は残酷に過ぎ、夜明けを迎えた。
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「ほら。早く歩け。」
朝日が東の空を照らし始める頃にマデリア達は縄に繋がれて城の外に出された。
これでもう終わりだ。大好きだったこの国も、己自身も。
城前にある大広場に連れ出されたその場所には、侵略時に軍を率いて国を守って散った皇太子やその側近達の首が並べられていた。
「伯父様······!!!」
ユルベールは皇太子の首を見て、悲鳴の様な声を上げて。
「おや、我が娘マデリアではないか。」
わざとらしく今気づいたような反応をし、此方にやってきたアルタロッサ公爵が顎を撫でつつニヤニヤと笑みを浮かべて此方にやってきた。
「黙れ!!」
精一杯の憎しみを込めてそう叫んだが、公爵にはさして響いてないようで。
ニヤニヤとことさら気持ち悪い笑みを浮かべて、マデリアを見下ろすぎ、すぐに視線を反らしテキパキと部下に指示を飛ばす。
「先に"そちらの方"を済ませよう。連れてこい」
「はっ」
返事をした兵が数名を引き連れて何処かに消えて、数分後帰ってきた。
縄に繋がれた国王や側近を連れて。