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嬉しくもない再会後、マデリアは捕らえられた。後ろ手に縛られ城の一室に放り込まれたのだ。
「マデリア??!」
そこには既に捕らえられていた気心知れた友人でもある、第二王子妃·レイシェル。彼女のお付きの侍女たちも一緒に捕らえられていて、部屋の隅で身を寄せ合っていた。
「レイシェル様······」
「マデリアッ·····ユルベールは??ユルベールは一緒ではないの??アデルがついていたはずよ」
「········アデル様はわかりませんが·····ユルベール様はご無事なはずです。」
きっと大丈夫だ。
あの隠れている壺から出なければ、きっと大丈夫なはずだ。
「··········陛下や殿下も別室で捕らえられているわ」
レイシェルのその言葉に、マデリアは血の気が引いた。侵略された国の王族の結末なんて分かりきっている。
「·····許せない·····私達が何をしたって言うのよ······。」
レイシェル付きの侍女がポロリと零す。
それと同時に、自分の体に流れるイスレード王国の血がとても汚らわしく感じて。憎くて憎くて仕方なかった。
後ろ手に縛られたまま、勢いよく額を床に着けた。ゴン。と鈍い音がして、額に痛みが走ったが、そんな事些細なことだった。
「イスレード王国が·····私の祖国が····申し訳ございません·······。本当に····本当に·······。」
「マデリア、頭を上げて。
貴女は陛下の側室としてこの国に来た時点で、既にイスレード王国と縁が切れていると知っています。
誰が何と言おうと、貴女は我が国の者。余計な謝罪は不要よ。」
レイシェルの言葉に周りの侍女たちも賛同してくれて。それでもマデリアは頭を上げることが出来なかった。