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"婚約者"になってくれ。
と、予想外に遭遇した第一王子に宣言されたマデリアは、何処からともなく現れた父親に手を引かれ、別室に連れて行かれた。
<いきなり何かしら??あの子供。>
"全く"。と若干の憤りを感じながら、通された別室で出された紅茶を飲んでいた。
「マデリアよ」
「なんでしょう??お父様」
隣に座っていた父親に声をかけられ、マデリアは彼の顔を見上げた。
自分と同じ銀髪と自分とは違う薄い紫色の瞳。
大切な人達を奪った憎い男。この男と同じ血が流れていると考えるだけで悍ましい。
「お前。アルビオン第一王子殿下と面識があったか??」
「ありませんわ。
先程、会場で会ったのが初めてですので」
前の時でもあまり関わりがなかった第一王子。
ライオルが王太子について、少ししてから彼は亡くなった。マデリアもライオルの婚約者として喪に服した記憶がある。
「まぁ、お前を見初めてくださったなら話が早い。」
<本当、清々しいまでに実子を道具としてしか見てないわね。>
マデリアは密かに溜め息を吐いた。
別に父親からの"愛情"なんて願ったことはない。乳母や屋敷の使用人達が惜しみなく愛情を注いで育ててくれたから、それで満足している。
既に騎士団長の座に座っている父親が、これ以上何を望むのか。
<········恐らくお父様の狙いは"王位の簒奪"···だと思うのよね??>
先代のアルタロッサ公爵、マデリアの祖父は落馬事故により早くに命を落とした。
そして、祖父には一人娘の母しかいなかったのだ。
本来であれば、祖父の弟が爵位を引き継ぐはずなのだが、その祖父の弟は大変な野心家で国王的にはあまり権力を持たせたくなかった。
だから苦肉の策として、残された"一人娘"に自分の息子を婚約者としてあてがい、国王自ら後見人として名乗り上げたのである。
つまり、父は現国王の弟なのだ。
母と婚約した時点で王位継承権は返還されたが、その身体に流れている王族の血までなくなったわけではない。




