[6つの御話し] 時の砂時計
「深い森、美しい花畑、荒涼とした砂漠、そして静かなアトリエ。
それぞれの舞台で繰り広げられる物語は、私たちが生きている世界の縮図なのかもしれない。
この物語の世界に足を踏み入れて、心の旅に出かけよう。」
これらの語りは、人間の心の奥底にある様々な感情や欲望、そしてそれらが引き起こす出来事を
描いています。愛、憎しみ、不安、希望など、人間が抱える普遍的なテーマを選び書きました。
寓話1:監視の目と心の闇
深い森に住む小鳥は、どこへ行っても大きな目が自分を見ているような気がして、いつも不安に
思っていました。木の上でも、茂みの間でも、どこへ行っても目はつきまといます。
その目は、小鳥の心を傷つけ、眠れない夜を過ごさせました。
小鳥は、この世に平和な場所はどこにもないのだと絶望し始めます。
寓話2:歪んでしまった愛
美しい蝶を追いかける少年は、蝶を捕まえたい一心で、蝶のすみかである花畑を荒らして
しまいました。少年は、蝶への愛と執着の間で揺れ動き、ついに蝶を捕まえることに成功しますが、
蝶は息絶えていました。少年は、自分の行為がどれほど残酷なものであったかを悟ります。
寓話3:噂と不安の連鎖
ある村に、恐ろしい怪物(青龍・蒼龍)がいるという噂が広まりました。
村人たちは、噂を信じて恐慌に陥り、互いを疑い始めます。
しかし、怪物は実在せず、村人たちの不安が作り出した影にすぎないのかも知れません。
噂は、人々の心を不安にさせ、社会を混乱に陥れる危険なものです。
寓話4:生と死の循環
大きな木の下で、様々な生き物が暮らしていました。
春には花が咲き、鳥が歌い、夏には木陰で動物たちが休みました。
秋には葉が色づき、冬には雪が降り積もりました。
すべての生き物は生まれ、成長し、そしていつか死ぬという自然の摂理に従い、命のバトンを繋いで
いきます。
寓話5:幻の愛
砂漠をさまよう旅人は、蜃気楼に現れた美しいオアシスを見ました。
旅人は、そのオアシスに向かって必死に歩きましたが、近づけば近づくほど、オアシスは遠ざかって
しまいます。旅人は、蜃気楼に心を奪われ、現実を見失いかけます。
寓話6:写真と記憶
ある画家は、街で出会った美しい女性を絵に描きました。
画家は、その女性への想いを絵に込めて、何度も何度も同じ絵を描きました。
しかし、画家は女性に自分の気持ちを伝えることができず、ただ遠くから見守るだけでした。
1. 過度な監視やプライバシーの侵害は、心の平穏を奪い、人々を不安に陥れます。
また、心の闇は、外部の要因だけでなく、内なる不安や恐怖によって増幅されることがあります。
2. 愛は美しいものですが、執着は愛を歪め、破壊的な力を持つことがあります。
他者を所有物のように扱うことは、決して愛ではありません。
3. 根拠のない噂は、人々の間に不信感を生み出し、社会を不安定にすることがあります。
噂を鵜呑みにせず、事実関係をしっかりと確認することが大切です。
4. 生きることは、終わりと始まりを繰り返す、永遠のサイクルです。
すべてのものは変化し、そして消えていきます。
この自然の摂理を受け入れることが、私たちに安らぎをもたらします。
5. 幻を追いかけることは、神秘的であり心が安定しますが、私たちを不幸にすることがあります。
現実を見つめ、目の前のことに集中することが大切です。
6. 記憶や写真に残された瞬間は、永遠に変わらないように思えますが、それはあくまでも過去の
記録です。大切なのは、今を生き、歩みを辿る事です。
「監視、愛、不安、現実と幻想、生と死。これらのテーマは、時代を超えて、私たち人間が抱える
普遍的な問いである。この物語が、あなたにとって、自分自身と向き合うきっかけになれば
幸いです。」