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3「探索」

豊梨病院の一件から7年が経った。

修徳大学附属病院の今井が企む無許可での臓器移植を行う新世界秩序の計画は富裕層に浸透し始めてており、徐々に勢力が拡大している。

また、今井の情報統制が行き届いており内部からの情報漏洩の心配は無い。

しかし、豊梨病院の一件を知る関係者が別の病院に移り、新たに暴力団などと徒党を組んで臓器を高く売れる子供を狙った営利誘拐が立て続けに起こっており社会問題になってきている。

そんな彼等のシステムは脆弱であり、利益の分配で内輪揉めした挙げ句警察に検挙されているのだが、そもそも貴重な臓器を持つ子供は限られており、今井の組織にも少なからず影響が出ている様だ。

今井の組織を擁護するつもりは無いのだが、娘に危害が及ぶのを防ぐ意味で今井との約束を守り臓器提供の啓蒙記事を担当する雑誌に定期的に掲載していた。

そんな娘も今では立派な社会人として働いている。

娘が家で仕事の話をする事は無いので本当のところは分からないのだが、もう、私の保護も必要無くなっているのかも知れない。


勉強を頑張った甲斐もあり、T大から警察庁のキャリアに採用された。

まだ、自分の意志を貫く事は出来ていないが、いずれその時が来れば必ず豊梨病院や今井達の組織諸共叩き潰す覚悟である。

その為に今出来る事をしようと情報収集に努めているのだが、やはり、今井達の組織についての情報は何処を探しても見つからなかった。

用心深い彼等の尻尾を捕まえる事が現在の最優先事項である。


この時を待っていた。

これまでにも一度、5歳になった頃に「僕の名前は修吾だよ」と母に伝えたのだが、「あら、変な夢でも見たのかしら?貴方は拓也よ」と取り合って貰えなかった。

どうにかして宮本修吾の生まれ変わりを証明したかったのだが、子供の戯言と判断されると思い諦めていた。

生まれ変わった僕の暮らしている斉藤の家は中流以上の家庭であり、宮本姓の家庭の様にお金の為に息子を売る様な事はしないだろうと思われた。

小学校入学と同時にスマホを買い与えられた。

「ゲームとかは程々にしないと駄目よ」と注意されたが、そんな事をするつもりは更々無かった。

真っ先に宮本修吾、臓器移植と入力して検索してみた。

やはり、宮本修吾をドナーとした臓器移植手術が行われたのは事実だった。

豊梨病院で移植手術が行われたのも分かった。

あの地域では一番設備の整った病院と評判だったのだが、やはり、あの時の父と誰かの会話は聞き間違いでは無かったのだ。

前世の父である宮本良二についても検索してみたのだが、現在もあのアパートに住んでいるのかは分からなかった。

お金の為に息子の命を売る父の宮本良二に強い怒りを覚えた。

また、父を唆した豊梨病院にも同様の怒りを抱いた。

これも全て、非正規雇用の父の子供として生まれ落ちたのが不運だったと思うしかないのだろうか?

いや、やはり金と息子の命を天秤に掛けてお金を選択した父と、父の足元を見て悪魔の囁きをした豊梨病院の何方にも非はあると思われた。

偶然にもこの世に生まれ変われた事実を利用して彼等に復讐してやろうと決意した。

何から手を付けようかと思案したのだが、先ずは勉強をして将来に備える事にした。

斉藤姓の両親を喜ばせる事が出来れば、金の為に売り飛ばされる心配が無いとの打算からである。

二度目の失敗は御免被りたい。

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