表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VOICE  作者: coriko
7/8

07.確信





──────入学して1ヶ月。





学校内では先輩たちに会うことはほとんどないけど、たまに帰り道に見かけることがあって、時々話をする。


先輩たちは私と美香のようにいつも2人でいて、学校の帰りによく会うなと思っていたら、学校から家までの方向が同じで1駅の距離に住んでいた。



そして今日は4人で遊ぶ日で、私たちの家の前で待ち合わせ。


私と美香は家の外に出て待っていると、

「おーい、美香ちゃん亜希ちゃんお待たせ〜!」


と時間ピッタリに2人が現れた。


「家の中にいて良かったのに」


「そんな!ここまで来てもらってるし」


「わーお。亜輝ったら優しぃ〜」

翔先輩が亜輝先輩のほっぺたをツンツンする。


「……」


「ふふっ。やっぱり先輩たちは仲良いですね」


ほんとに先輩たち仲良いな〜。


そういえば今日はどこに行くんだろう?


「よーし、じゃあ早速遊びに行こう〜!」


「どこ行くんですかー?」


「ゲーセンいってカラオケとかどう?」


カラオケ!ってことはまた先輩の歌声が聴けるんだ!


「いいですね!」






*******






ゾンビのゲームで遊んだり、クレーンゲームをした。

クレーンゲームは翔先輩が上手くて、

4人おそろいのダチョウのキーホルダーを取ってくれた。ダチョウの顔は4種類バラバラでちょっと面白い。


「やったあ!ありがとうございます。スマホに着けちゃお。」


「あ、私もそうしよう」


次は〜、


「あ!プリクラ撮りませんか!?」


「いいよ」


「いいじゃん〜」


「……」


「亜輝先輩?……プリクラは嫌でしたか?」


「ん?いや、いいよ」


??


なんで黙ってたんだろう?

まあ撮ってくれるって言うしいいか。


プリクラ機の中に入り、機会の指示に合わせてポーズを撮った。


出来上がったシールを見て、

「やばい、先輩たち、女の子みたいに可愛くなっちゃいました」


へへっと笑う。


「そういえば、亜輝がプリクラって初めてじゃねえ?」


えっ?


「まあ……」



写真が苦手なのかな?

でも顔を見る感じ嫌々って感じじゃなさそう……


「そうだったんですか?でも亜輝先輩もすごく可愛く写ってますよ?ほら!」


先輩の分も切り取って渡す。


4人で初めてのプリクラ。大事にしなくちゃ。


「じゃあ次はカラオケにでも行きますか」



この前と同じカラオケ館に向かった。

亜輝先輩は、この前1曲目に歌ってくれた歌をまた歌ってくれた。



~~♩



だめだ

カッコよすぎる……

死んでしまいそう……




亜輝先輩が歌うと胸がドキドキするようになった。



「ごめん、ちょっとトイレに行ってくるね」

と美香が言うので、私も廊下の空気を吸おうと思い、

「私もいくよっ!」

と一緒にトイレへ向かう。


用を足し、手を洗っているとき

「ねえ、亜希?先輩の歌声、カッコよすぎない?」

と美香が少し恥ずかしそうに言った。


「美香も?私も同じこと思ってた」


「だよね……。

あのさ、私、好きになっちゃったかもしれない、たぶん……」


「……え?」


美香……

亜輝先輩を好きになったの?

やっぱりカッコよすぎるもんね……



「亜希は?」


「……あ、うん。かっこいいと思ってた。歌声を聴くと、いつもより胸がドキドキして……」


……でも、私なんかより美香の方がお似合いだし、言わない方がいいよね……。


「あ、アイドルが歌ってるのと同じ感覚かも。……好きとは……違うと思う……」


「え?そうなの?てっきり亜希も好きなんだと思ってた」


「……違うよ〜」


ヘラっと笑ってみせた。



「そっか。ていうか、彼女いるのかな、翔先輩って」


「……え?」


「私たちのこと家まで送ってくれたりするけど、どうなんだろう。そんな話しないし……」



え、ちょ、ちょっとまって、え?


「み、美香?」


「うん?」


「好きって、翔先輩のこと?だったの?」


「え?そうだよ?

だって、見た目は遊んでそうなのに全然そんなことなくて、私たちにめちゃくちゃ優しいし。って、え?」



「っわたし、亜輝せんぱ..……いのことが好きになったんだと思って、あ……」



美香が好きなのは亜輝先輩じゃなかったと知って声が吃る。


「私、本当は亜輝先輩のこと、好きになっちゃったかもしれなくて……。でも美香も同じだと思ったから言えなかったの……」


「亜希……」


「……」


「それじゃあ、2人で頑張ってみる?」


「え?」



「私、初恋なんだよね。だから積極的にいってみようかなって……」


「わ、私も!頑張ってみてもいいかな……?美香みたいに美人じゃないけど。」


美人じゃないし、かっこいい亜輝先輩の事が好きなんておこがましいって分かってる。でも、私も初恋だもん。頑張るだけならいいよね。



「亜希は十分かわいいよ?自信もって!」


「うん、ありがとう」




美香と恋バナをする日が来るなんて。

しかもトイレで。





部屋に戻ってからまた歌って聴いて、

亜輝先輩の声にドキドキして、

美香に自分の気持ちを言ったからか

変に緊張した。



18時になり、そろそろ帰ろうと部屋を出る。



帰る方向は同じなので、4人で歩き出す。すると、


「あ、ちょっとすみません……」

美香の携帯が鳴る。


「亜希、ごめん!またお母さんからお使いのメールが来た。先輩たちもすみません、先に帰ってください」


「美香、一緒にいくよ?いつものスーパーでしょ?」


「大丈夫だよ、先帰ってて」


いつもと同じようなやり取りをしていると、


「美香ちゃん、俺着いてくよ。帰りが心配だし。だから亜希ちゃんは亜輝と先に帰ってて?」

と翔先輩が言う。


「いいんですか?」


「いいよ」


「……ありがとうございます。じゃあ亜希、私翔先輩についてきてもらうね?」


「あ、うん」


これは、任せた方がいいよね。



また明日と言い、美香達と別れる。


「じゃあ亜希ちゃん、帰ろうか」


「はいっ」


急に2人きりになるなんて、緊張するよ〜。


「亜希ちゃん、今日楽しかった?」


「え?はい、楽しかったです」


「翔が取ってくれたキーホルダー、気に入った?」


???

なんでそんなこと聞くんだろう?


「はい、もちろん!ダチョウのゆるキャラ可愛いですよね。それにみんなでおそろいだし」


「そっか」


「?」


「……他には何が好きなの?」


「え?」


「好きな物とか、キャラとか」


「あー、1番好きなのは亜輝先輩の声です!特に歌声!」


「え?」


「もともとかっこいい声だなあって思っていたんですけど、初めて歌ってくれた時に心臓がバクバクして……。それで、今日もずーっとドキドキしてました!」



「ありがとう……。


ちょ!っ亜希ちゃん!!」


少し照れてるように見えた亜輝先輩の横顔をじっと見つめながら歩いていたら、急に大きな声で先輩に名前を呼ばれ、ギュッと抱きしめられた。


え?えっ!?

な、なんで?抱きしめられてるの!?


ドキドキしながら顔を見上げると、


「っ亜希ちゃん、信号見てなかったでしょ?車とぶつかるかと思ったよ」


え?

パッと前を見るとブォンブォン車が走っていた。


「あ、ご、ごめんなさいっ」


ひゃ〜。先輩の横顔を見て歩いてたなんて言えないよ〜。



恥ずかしくてうつむいたままでいると、

「ほら、危ないから」

と言いながら亜輝先輩は私の手を握った。


「青だよ。行こう」

そのまま歩き出す。


「あ、あのっ!先輩っ、て、手が……」


ドキドキしながら隣を歩く。


「嫌?」


私の顔を覗き込みながら言う。


「い……やじゃ、ないです……」


「良かった」


先輩はにこっと笑うと、更にギュッと手を握りしめた。


お互いに喋らず、手は繋いだまま、

気づいたら家の前に来ていた。


「ついたよ」


……もう着いちゃったんだ。早かったなあ……


「今日も送ってもらって、ありがとうございました」


ぺこっと頭を下げる。


……手は、いつ離せばいいのかな。


「……」


「……」


「亜希ちゃん」


「は、はいっ」


「来週の日曜日、一緒に来てほしいところがあるんだけど。空いてる?」


「あ、空いてます!」


「じゃあ時間はあとで連絡するよ」


「はいっ」


気づいたら手が離れてて、また日曜日に、と手を振って別れる。




家に入り、勢いよくベッドにダイブする。


「……ふふっ」

左手を見ながらニヤニヤしてしまう。


まさか手を繋ぐことになるなんて……

ドキドキした……

覗き込んできた時の先輩の顔、カッコよすぎるし、バリトンボイスの歌声も好きすぎるし、とにかく全部イケメンすぎた。ほんっと、かっこいい〜。



今日の出来事も思い出していると、


ピコピコン~


メッセージが届いた。


あ、先輩からだ。


『日曜日、14時頃迎えに行くよ』



……楽しみだなあ。


あっ、でも服どうしよう。

いつもお姉ちゃんの要らなくなった服もらって着てるだけだし……



うん、あとで美香に相談してみよう。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ