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贈り物

作者: 結名 舞雪
掲載日:2009/11/10

□プロローグ□


貴方の歌・・・


貴方の声・・・


貴方の温もり・・・



今でも 覚えています。


貴方のすべてを・・・




□1章□

貴方が天に召されてから 1年が経ちました。

貴方は今でも そっちで大好きな歌を歌っていますか??




部屋で貴方を待っていると貴方からの電話。

『今日もレコーディングだから そっち行けないわ』

貴方はそう言って ため息をつく。

少し疲れているのが電話越しから伝わってくる。

「そっか。会いたかったけど・・・。

 レコーディングだったら仕方ないよね」

私は少し寂しそうに答える。

『ごめんな。

 折角、会えると思ったんだけど・・・』

申し訳なさそうに言う。

「大丈夫。 CD 楽しみにしてるから」

私が少し強がると、貴方は・・・

『いずみ・・・。

 ・・・愛してる』

名前を呼んだと思うと、私の欲しかった言葉を続ける。

「私も愛してる」

私も想いを込めて伝える。


この言葉が貴方の口から聞ける最後の言葉になるとは、その時 私は全然思わなかった。



彼が来ないこともはっきりしたし、私は早々に寝る事にした。



午前3:00――――

枕元で鳴り響く着信。

彼と一緒に仕事をしているメンバーの翼からの電話だった。

「・・・もしもし??」

少し寝ぼけながら 私はその着信に出る。

『いずみちゃん? 冬馬が!!』

かなり余裕の無い口調で捲くし立てる。

「冬馬・・・??」

大切な彼の名前を聞き、少しづつ眠りから覚醒する。

『落ち着いて聞いて!! 冬馬が・・・  死んだ』

本人も信じがたいような言葉を吐く。

「死んだって・・・。 冗談キツイよ。 だって、冬馬はレコーディングだって・・・」

彼の突然の死を受け入れる事が出来ず、悪い冗談だと思った。

『冗談なんかじゃないよ!!  並木総合病院に運ばれたからすぐに来て!』

遠くで翼の声が聞こえている。

私は電話を切り、ノロノロと準備を始めた。



そして、私は すでに冷たくなった彼と対面した。



世間では彼のCDはボーカルが不慮の事故で死んでしまった事もあって、遺作として残った。

そんな時、私の元に翼を含むメンバーから1枚のCDが届けられた。

でも、私は彼の死を受け入れる事が出来ないでいるので それを聞く事が出来なかった。


彼の後を追うことも考えた。

でも、その度に 最後に聞いた彼の言葉を思い出す。

彼はレコーディングを凄い集中力で済ませ、会いたがっていた私の元へ向かう途中、

事故に逢ったのだ。

そんな彼の想いを無駄にする事は彼に対して失礼だ。



彼の思い出に浸りながら毎日を過ごした。

気が付いた時には彼の死から1年の月日が経っていた。

少しづつ 心の不安定さも落ち着き、彼のCDをやっと聞こうと思う事が出来るようになった。

彼の想いが詰まったCD。

デッキにCDを入れ、再生を押すと・・・。

1曲目の前に”123”という表示と共に、彼の声が響く。

『いずみ・・・。

 いつも寂しい想いをさせてごめん。

 これからも 俺の傍でずっと笑っていて欲しい。

 愛してる。 結婚しよう』

周りからは 翼や他のメンバーの囃し立てる声が聞こえる。

レコーディングの途中で録られたトラックのようだ。


――123・・・ いずみ・・・・―――


私は、そのメッセージに沢山の涙を流した。

自分だけに伝えるだけに録られたトラック。

もう、貴方の口から直接聞く事の出来ない言葉。

1年経って、貴方を失った事を実感した。

実感して、初めて大泣きした。

冷たくなった貴方を見た時も信じる事が出来なくて流す事が出来なかった涙。





もう、大丈夫だよ。

心配かけて ごめんね。

もう、泣かない。

前に歩き出せるよ。

だって、私の心にはいつでも貴方が居るから。

もう、寂しくないよ。

だって、貴方の事 大好きだから。


ずっと 傍に居てね。


・・・冬馬。

私はこれからも貴方の大好きな笑顔で居るから。

だから 寂しくないよ。


ねぇ。

冬馬・・・。


私も貴方の事 愛してる・・・。



いつかまた、貴方の歌声を聞きたいな・・・・。

仕事をしている時に浮かんで一気に書き上げた短編。

愛する人を失った時に感じる絶望感とやっと乗り越えた時に届いたメッセージの

雰囲気を大事にしたいと思って短編にしました。

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