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7話 聖女、三王子と対面する

 王宮本殿から<水晶の回廊>を通り、神殿へ……。


 護国の結界を張るための儀式はここで行われている。

 国の各地に領土を守る塔があり、その塔と塔をつなぐように結界が走り、領土の外の悪しき魔物の力を撥ねつけている……。

 その塔に日々結界を維持する力を送るのが、護国の神殿。


 入り口近くの祈りの間ではなく、さらにその奥。

 王宮の出入りを許された者の中でも、さらに限られた者しか立ち入れない場所。

 

 そこに入る事を許された。

 聖女として。


 こんなことってあるのだろうか……。

 大きな神殿。

 中央には剣と盾を持つリーンの女神像が祀られ、その前の広い大理石の床には魔法陣が刻まれている。


「あの魔法陣が結界術を行う場所。

 三王子が三方に立ち、祈りを捧げます。

 王家の者が儀式を行い、王家の血を引くものから選ばれた神官、巫女だけが儀式を助けることが出来ます」

 ビアが説明してくれる。

「今日は三王子が揃って結界の儀式です」

「僕は体が弱いからね。月に数回儀式に立つだけで、めまいや耳鳴りが止まらなくなってしまう……」

 キース王子はふてくされたように言った。

「僕がいなくても兄様達だけで儀式は成り立つけど、僕の護国の結界の力が一番強いらしい……皮肉だよね。僕みたいな貧弱な末っ子が一番強い力を持っているなんて」

「キース。また拗ねた事を言っているな」


 後ろから現れたのは第一王子エドワード!

 武人らしく短く刈った金色の髪。

 くすんだ翡翠の瞳。

 真面目で無骨そうな彼は、将軍の地位も兼ねており、とても男らしく市井からの人気も高い。

 キース王子より頭一つは背が高くて、服の上からでもわかる鍛えられた体を持つ彼が近くにいると、すごい威圧感。

「エドワード兄様」

「お前は貧弱なのではない。術の調整が下手なだけだ。日々の儀式だ。少し力を抜いて挑めば大きく脱力してしまうことも減るだろう」

「不器用っていいたいんだね。確かにそうだけど」

 エドワード王子は不貞腐れた弟を前にやれやれと首を振る。

 

「不器用なのは確かだよね」

 数名の巫女や神官を引き連れ、神殿に入ってきたの第二王子、ジェシー殿下。

 くすんだ金色の髪は光が透ける栗色のようにもみえる。その髪を後ろに束ね、少し遊び人な雰囲気が漂うイケメンだ。

 キラキラした陽のオーラが眩しい!

 

「キースは全力でやるか、やらないか、どっちかなんだからさ。

 日々儀式を行いながら楽しく生きるには、僕みたいに適度に手を抜く事だよね」

「不謹慎な言い方をするな、ジェシー」

「はいはい、お兄様。今日は三人揃ってなんだから、あまりグダグダ説教しないで、良い雰囲気でやりましょうよ」

 堅物のエドワード王子と、軽いノリのジェシー王子のやりとり。


  あああ……顔がいい二人のやりとり、ずっと聞いてたい……けど、私が二人に気を取られている様子を見て、キース王子は露骨に嫌な顔をした。


「僕に発言権はないみたい。いつも二人で話を進めちゃうんだから。

 アルナ、今日は僕を見ていてよ。一番君の力を必要としているのは僕なんだよ!」

 キース王子が真剣な顔で詰め寄ってくる。

 そんな可愛らしい顔と美しい瞳でこんなガチ恋距離で懇願されては……首を縦に振るしか無い。

「おや、あの気難しいキースが、随分懐いたものだな」

「さすがリーンに選ばれし聖女様だね」

 二人の兄王子が笑って私の顔を覗き込んでくる。

 

 私はそのまま三名のイケメン王子に囲まれてしまい……。


「失礼します!」

 私はたまらず、他の神官たちと話しているビアの方に走り出して逃げた。

 

「あら、アルナ様、どうかされましたか?」

「王子様達と話すの緊張するのでッ……!今日は一人にしないでくださいい!」

「わ、わかりました。そうですよね、アステリアを守る王子達とご一緒するなんて、数日前まで、お考えにならなかったでしょうし……」

 ビアは混乱する私をよしよしとなだめてくれた。

 優しいビア……。


 だめ、全員素敵すぎる。

 というか、キース王子がグイグイ来すぎる!

 心臓がドキドキして持たない!

 

 ほだされて好きになってしまいそう……。

 

 というか、もう好きになりかけてるかも……。


 (続く)

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