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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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【第125話】 ハピ子の思惑   

こんにちは、号外です。

「毒味はいいぞ、我が自ら作った『料理』じゃ」


 ハピ子、上機嫌である。


 できた料理は野菜とお肉の煮物だ。

 イオリちゃんの指示通り作ったから、美味しいはずだが?

 果たして?


「し、しかし、掟では……」


「だよね、これでお腹壊したら自業自得!笑っちゃうよね!」


「ア、アッキー!?」


 イオリちゃんが慌てる。


「お、お主はっ!言いたいことポンポン言いおって!」


 ここでハピ子はチラリと、お供のメイドさんを見る。

 ん?雰囲気が変ったぞ。


「アイナン、キン子を咎めるなよ?ここで不敬と言っても通じぬぞ?それを通すならば、剣を交えなければならぬ。それは本意では無い、よいな」


「……はい」


 アイナンさん。ハピ子より一回り小さなハーピー。年齢も下かな?

 このハーピーさんを見た瞬間、フルカラーの動画が一瞬見えた。


 シルバーっちだろうか?これを見せたの。


 このビジョン、何の意味があるの?


 怪我をしたアイナンさんを庇うハピ子。

 目の前には黒い塊。


 誰かの悪意だろうか?


 ハピ子は今より小さい、私の感覚で6、7歳くらいだ。


 言い争いの声、黒い塊に臆することもなく、挑むハピ子。

 アイナンさんの小さな口が、それるさま、と動くのが見えた。

 見えたビジョンはここまでだったけど……。


「ここは、何でもありの場所じゃ、朝の騒動も、城ではあり得ぬこと、アイナン、お主もハピ子と呼んでもかまわぬ」


「ソ、ソレル様、その呼び名は……」


「よい、ハピ子の名は気に入ったのだ、それに私は母上とは違う。呼んでみろ」


「それは……お許しを」


「ハピ子、強要は駄目だよ、アイナンさんにとって『ソレルさま』は譲れない大事な呼び名なんだよ、多分」


 はっとするアイナンさん。


「明季さま、ありがとうございます」


「ふふっ、私の場合はアッキーでもいいよ?」


「キン子、お主、意思を絡め取るのがうまいな?アイナンは我の大事な下僕じゃ、取るなよ?取ったら許さん!」


「そんなことしないよ、それにアイナンさんはハピ子を裏切ることはない、断言する」


「ほう、根拠は?」


「溢れんばかりの、いや溢れている愛情だ」


「恥ずかしいぞ、キン子、言葉を変えろ!」


「では……そうね、アイナンさんは思い出に生きている。ハピ子との思い出だ」


 ここで二人は一瞬、目を合わせる。


「どしたの?ハピ子?」


 思慮深いお顔。


「その方、何を見た?精霊憑きと聞いたが、何か見せられたであろう?」


「さ、さあ?」


 ハピ子、鋭いっ!

 ビジョンの知識があるんだ!


「ふんっ、で、どうだアイナン?我の手作りだぞ?美味いと言え!」


「はい、美味しゅうございます」


 だから強要は駄目だって!


「そうかな?少し甘くない?砂糖多いような?」


「と、糖分は大事じゃ!」


「具材も大きくない?」


「沢山食べるようにじゃ!我は客人じゃぞ!花を持たせぬかっ!」


「美味しいよ、ハピ子」


「うっ、そ、そうであろう!き、キン子は本当に意思を絡め取るのがうまいなっ!」


 ここでアイナンさんの視線に気がつく。

 何処を見ている?


 食器棚、横の果物?


 なんだ?あの果物?


「イオリちゃん、あれ、なに?」


「あっ!あれですか、あれはコボルト族のチャトラットさまから頂いた果物です」


 ん?ハピ子?渋いお顔だが?


「ハピ子、どうかしたの?」


「コボルト族とも付き合いがあるのか?キン子は?」


「付き合いというか、まあ、たまたまね」


「あいつらは嫌われ者じゃ、付き合うならば注意するがよい」


「なんで?」


「北の戦士達は屈強だが、世に疎いのう?」


 あ、ニヤけ顔!


「まあ、そのための私だよ?」


「コボルト族は何事に対しても、すぐに逃げる」


「生き残る術では?ゴブリンだって逃げるよ?今日だってドングリくん達、木の上に逃げたし」


「木の上に止まったであろう?コボルト族はああなったら、逃げおおせる。あの場にはいない」


 イオリちゃんをチラ見する。


「アッキー、大陸ゴブリンは放浪ゴブリンとか野良ゴブリンと言われていますが、一部の者達からは、とても感謝されていますよ」


 どういうことだ?


 そう言えば、グロスのパーティーメンバー、ゴブリンが好きでもないが、嫌いでもないとか言っていなかったっけ?あと、恨みもないとか?


「そうだな、ここに相乗りの大きな馬車があったとする」


「ふんふん」


「コボルト、ゴブリン、エルフ、人族の家族が乗っていたとする」


「ふんふん」


「これが魔獣か魔昆虫に襲われるとする」


「ふんふん」


「コボルトは全力で逃げる。コボルトの足だ、多分助かるだろう。勿論、ゴブリンも逃げる。足の遅い人族や、修行をしていないエルフは食べられるか、魔石を奪われるだろうな」


「……」


「ここに、子供がいたなら、ゴブリンは子供を助けるのだ」


「え?」


「小さい子供は抱き抱えて、ゴブリン達は逃げるのだよ、少しでも命を助けようとするらしい。事実、そういう話は山ほどあるし、助かった子供が多くいるのだ」


「……」


「そして、コボルト族は子供を囮にして逃げる、この話も多く残っている」


「!」


「我らハーピー族は逃げるゴブリンやコボルトを嫌う、戦うことを好むからな、そういう種族じゃ。そして受けた屈辱は容易に忘れん」


 あ、ハピ子、目が光った!

 アイナンさんも重心が下がった?


「今日の訪問理由はそれかしら?」


 私は少しだけ警戒レベルを上げた。


次回投稿は本日 2023/05/18 22時の予定です。


一章 28話 までイラストが入りました。

よろしかったらご観覧ください。

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