【第124話】 ちょっと聞いてよ、イオリちゃん!
今晩は。
早く帰宅できたので、20時に投稿できました。
明日はちょっと遅れるかも知れません。
「今日はどうでした?」
へろへろになっての帰宅、いや帰寮である。
「た、ただいま、イオリちゃん、と、とにかく疲れた!」
「お風呂がいいですか?それとも夕飯を先にされますか?軽食もできますけど?」
ありがたし!
これはもう、三人目のお母さん、決定か?
おっと、ここで勘違いをしてはいけない。
イオリちゃんは超高性能メイドさん、お金で雇っているのだ。
彼女にとってこれはビジネス!お仕事なのだ。
メイドンが作った家系かも知れないが、愛情もたっぷり詰まっているかも知れないが、ビジネスである。
私は社会人をしたことがあるので、お金と仕事の関係が少しは分かる。
この世界と、私のいた世界、お金の価値が同じとは限らないが、人を雇うとは必ず報酬がついて回るということだ。
黒い企業は、労働と報酬のバランスがよろしくないけど。
いやだなぁ、黒い企業。
社員を縛り、時間を無視し労働力だけを求める。そして報酬が少ない。
結果、人は育たず、悪い風習と黒を好む人材が残り、黒さが更に進む。
中小弱企業は人が少ない分、黒い人材はすぐに育つ。大、特大企業は人が多すぎて、蔓延って育つ。バイトや派遣社員、新入社員を絞り、上にはいいお顔をする。そしてそれが更に進化して、企業全体がドス黒くなる。暗黒企業の出来上がり。
そしてバイトや派遣社員、新入社員が病んでいく。
いつも思う。学校のいじめに似ていないか?どこか、奥底が繋がっていないか?
ああ、亜紀は銀行のお仕事、大変だったけど好きだったんだなぁ。
結果は暗黒人種に殺されたけど。
そして恐ろしいことに、誰でも暗黒人種になる可能性を秘めている。
ほらね?いじめとそっくり!
今更悔やんでもどうしようもない。ここは別世界。
今の私は獣人族の明季。
ここには法律なんてない、あるのは種族の掟と暴力。
脱衣所に駆け込むと、私は服を脱ぎながらイオリちゃんに話し掛ける。
ぬぎぬぎ。
「ちょっと聞いてよ、イオリちゃん!」
ちっとも育たないなぁ、私のお胸、おっかしいなぁ?あんなにご飯食べているのに!
「はい、なんでしょう?」
うう、お尻もペッタン!
「ケンタウロスのグロスって知っている?」
私のウエスト、どこ!?
「噂だけなら、あまりいいお話は聞きませんが」
あいつ、噂持ちか!
「こいつ酷いんだよ!くるみちゃんを殺人級の蹴りで狙って!」
なんで私の足首、こんなに大きいの!?
「くるみさまとは?」
「あ、クルミちゃんはゴブリンでねパーティーメンバーなの!」
「パーティーを作られたのですか!?おめでとうございます」
「あ、ありがとう!そ、それでね、あ、そうだ!朝からも大変だったんだよ!シンお姉ちゃんが切れて!」
突然、勢い、時系列バラバラの、支離滅裂な私のお話に付き合ってくれるイオリちゃん、ありがたし。
いや本当にありがたい。
あ、亜紀が喜んでいる!
そうだね、亜紀、まるでお母さんとの会話だね。
今日一日のお話は、お風呂に入ってかも、食事中も続いた。
イオリちゃんは時には質問し、時には笑い、ちゃんと聞いてくれた。
あ、これは大事なことではないのか?
将来、私に子供が出来たら、ちゃんと聞いてあげよう。
「それでは、グロスとの勝負はダンジョン攻略となったのですか?」
「うん、そうなの。ダンジョンってどんなところなの?イオリちゃんは騎士団級だから平然としているけど」
「そうですね、狭いところもあれば、広いところもありますし」
「暗くない?お日様の光、届かないし」
「はい、場合によっては夜よりも暗いです。あと息ができない場合もあります」
「それって、普段と違うと思うけど!?」
「そうでしょうか?戦いにおいて、想定内のことだと思いますが?あらゆる魔法攻撃を、考えておかないと」
「……ま、まあ言われてみれば、そう……かな?対策は?」
「任せてください!アッキー」
おおお、頼もしいっ!
そこで、コンコン、と扉を叩く音が響く。
「誰かしら?」
食べることと、お話しすること、ダンジョン談話に一生懸命だった私は周囲警戒を怠っていた。
イオリちゃんがすっ、と扉に向う。
「クラスメートの方ですよ」
え?尋ねてくるクラスメート、いたっけ?
自慢じゃないけど、ゴブリンズ以外知らないぞ?
ここは女子寮、基本男子禁制。
わ、私の場合はちゃんと、許可取っていますからね!
扉を開けると、ハピ子とハピ子のメイドさんらしきハーピーが、立っていた。
ハピ子の目が丸くなる。
「バ、バイオリーナ・バウリス!な、何故、貴殿がここに!?」
「どこかでお逢いいたしましたか?トウ・ソレル姫」
ちょこんと挨拶をするイオリちゃん。
「あれ?ハピ子?どうしたの」
今度はイオリちゃんの目が丸くなる。
「ハ…ハピ!?」
横に引っ張り込まれる私。
(ち、ちょっとアッキー!?正気!?裂姫ソレルの二つ名よ!?ハ、ハピ子だなんて!彼女、相当危険なハーピーよ?)
(ええ?そんな怖い名前なの?でも私にとってはハピ子よ、それに朝シンお姉ちゃん、ぶっ飛ばしているよ?)
(ええっ!?ハーピーぶっ飛ばしたと言っていましたが、ソ、ソレル姫だったんですか!?こ、これからは、ちゃんとお話ししてくださいっ!)
「入ってもよろしいか?」
ハピ子が慇懃に尋ねる。
「あ!?いいけど、いいよね?イオリちゃん?」
「はい、ですが食事中ですよ」
「ハピ子、一緒に食べる?」
(だからっ!アッキーっ!相手は王族ですって!)
(ええ?ご飯誘ったらいけないの?クラスメートだよ?あ、用意がすぐにできないか?)
(いや、そうじゃなくて、手順が!)
「なに?い、いいのか?」
お、ハピ子、いい返事。
「条件一つ」
「なんじゃ、条件とは?」
「王族マナーなし、で」
ハピ子はゲラゲラと笑い、お連れのメイドさんは横を向いて吹き出した。
「よいぞ、では、席に着こうか」
「は?何言っているの!一緒に食べるは、一緒に作ろうって事よ!」
「はああ?客人に料理を作らせる気か!?」
「一緒に作って、一緒に食べようよ!きっと楽しいよ?」
ハピ子は、一興じゃ、と言って話に乗った。
で、ハピ子、何しに来たんだろう?
次回投稿は 2023/05/18 21時か22時の予定です。




