【第123話】 パーティー結成
今晩は。
投稿です。
「同じ技か?」
薄笑いでドングリくんより先に動いたグロス。
「そう何度も通用すると思うなっ!」
先の先だ!
グロス、侮れない!
(おかしい、身体が?)
(どうしたの?うめちゃん?)
(軽い!)
(私も!)
(クルミちゃんも?)
(俺もだ!)
(え?ゴンズイも!?)
(白昼夢かな?ヴィジョンかな?俺、アッキーからユリの絵をもらったんだ!)
(絵?私はコインよ、ユリのデザインでピカピカのコイン!)
(クルミちゃんは?クルミちゃんも、もらっているでしょう?)
(私はユリのお花もらった。花束よ、綺麗なお花、いっぱい!)
同じモノを渡したつもりだけど、受け取り側によって、違う?
(力はもらったけど、やっぱり怖いよね?)
(……うん、身体は軽くなって、魔力も増えたみたいだけど、やっぱり怒っているケンタウロスは怖いよ)
(どうする?)
(どうしようか?)
「!」
「おい、こいつら動きが!?」
放浪のゴブリン達は、グロスとそのパーティーの横をすり抜け、大木に登った。
グロス達の拳や蹴りは全てヒットしない。
凄い!ドングリくん、先の先をすり抜けた!
注目していたクラスメイト達が、響めく。
ちょっと、あなた達、止めようとか思わないの?
「見たか?」
「見た。古代のゴブリンは消えたけど、ドングリ達に力を残して消えたぞ」
「シュート家・明季が喚びだしたのか?あいつ、召喚士か?」
「いや古代の亡霊を憑依させて強化したから、ネクロマンサーではないか?」
「ネクロマンサー?周囲の影響は大丈夫なのか?」
なんか言いたいこと色々勝手に言っているなぁ。
ハピ子もダンちゃんも押し黙っているな、何を考えているの?
そして私の足下に何か落ちてきた。
うめちゃんが投げよこしたモノだ。
重く響く金属音。
ガチャリ。
それは6つの革の袋だ。なんだこれ?
これ……お財布!?
木の枝に雀のように留まっている4人。
「う、うめちゃん!?だ、駄目だよ!もうスリはしないって、約束した!」
「うん、だから返したよ、リーダーに!」
はい?
「う、うめちゃん?これ?」
どうしろと?
「シ、シュート家・明季、わた、わた、私達をあなたのパーティーに入れてください!」
枝にしがみつき、叫ぶうめちゃん。
「逆でしょう!?私、ソロだよ!パーティーはそっちでしょう!?私こそそっちに入れてよ!」
「じ、じゃ、リーダーとして迎えるぅ!ようこそ、そ、ゴブリンズへ。早速だけどリーダーそれ、返しといて、お・ね・が・い」
は?
う、うめちゃん、曲者!?
ぐるり、と私を囲むグロスのパーティー。
人族3名いる。
「おーい、ゴブリンズ、リーダーの危機だよ、助けようとか思わない?」
枝に留まっている皆に話し掛ける。
「え?無理です」
「ええっ!?見捨てるの!?いまリーダーっていったじゃん!」
「見捨てる?そんなことはしないよ、ただ……」
「ただ?」
「ごめんなさい、私達、やっぱ怖いの、それに邪魔かなぁって思って、ここで見ているね」
したたか?
「基本僕たちは逃げるんだ。できるだけ逃げる、そして逃げ切れなかったら戦うふりして逃げる。このスタイルなんだよ」
そうなのね、ドングリくん。
まあ、生き残らなければ、意味が無いし、これはこれで戦略だ。
チラリ、と先生を見る。
「あのう、カラン先生、止めませんか?」
「今止めると、禍根、遺恨にならぬか?ここまで来ると、力の一端を見せた方がよくないか?シュート家・明季」
いや、先生、取敢えず止めましょうよ!
「ではどこまで進めます?クラスメートの魔力還元なんてイヤですよ?」
ここでグロス達が揺れる。
「はあ?鼻血女が大きく出たな?俺を倒す気か?」
「グロス、ここらで引こう?」
お?仲間割れか?一人が渋り始めたぞ。
「ああ、俺はゴブリンに恨みはねぇ」
「何だと?」
二人目。
「ゴブリンは好きでもないが、嫌いでもねぇ、たとえ新月でも獣人族は強い。それに突然、ゴブリン達の動きがよくなった。この獣人、強化魔法の使い手か?」
「まさかエンチャンター?得体が知れない不気味なヤツだ」
3人が戦意喪失だ。
それを見て私は革袋を3っ拾うと、それぞれに投げた。
「返すよ、ゴブリン達の素早さの余興と思ってもらえると嬉しいけど?今ならそれで済ますよ?」
ジロリと私を見る3人。
「これがなぜ、俺のだと分かった?」
「獣人族は鼻が利くんだ」
ジロリと魔力を込めて言い放つ。
「グロス引こう、俺達の焦りを知っている、多分、汗や呼吸数、それ以上のモノを把握しているぞ」
あ、グロスの雰囲気が変った?
「ここまでだな、グロス」
先生が入ってきた。遅いよ!
「提案だが、ダンジョン攻略で勝敗を決めないか?」
「!」
「ダンジョン攻略の時間、倒した魔獣の数、宝箱の宝物ランク、総合で勝負してみないか?」
……私達には、ちょっと不利かな?
「勝者には?何が与えられる?」
「名誉だけだ、学校行事だからな」
……先生、現状のトラブルも学校行事ですけど!?
「それでいい」
お?グロスが条件を呑んだぞ?無理難題なし?
「俺達が野良ゴブリンや獣人より格上だと示せるわけだ、一生な。それで満足してやるよ」
「いいか?シュート家・明季?」
「いいですよ」
「それからグロス」
「なんだ?まだ話があるのか?」
「ここはン・ドント大陸、弱肉強食、優勝劣敗の世界だ」
「何が言いたい?」
「私はそんな世界が嫌いでね、校内でのバトルは認められているが、私のクラスで魔力還元は駄目だ。次にクルミ君を狙ったら容赦はしない、覚えておけ」
そう言って先生は何かをした。
グロスは校舎3階まで吹っ飛び、派手にガラス窓を割り沈黙した。
……重速術の一歩手前の速さだった。
「今年の1年は楽しめそうだ、充分に鍛えてやろう」
およそ先生らしからぬ言葉だな、グロス、魔力還元していないだろうな?
次回投稿は 2023/05/17 21時か22時の予定です。少し遅れます。
一章 27話まで挿絵が入りました。
よろしければご観覧を。
ある日の会話
「元帥さん、忙しそうですね?」
「お前が言うとね?」
「?」
「早う書き上げて、日常ば取り戻したかとよ」
「?」
「お絵かきは楽しかばってん、この量は異常たい!」
「?」
「とぼけた顔しなすな、MAYAKOが原因たい!」
「?」
「あああ旗立つ!」
「べた塗り、手伝いましょうか?」
「せからしか!」
挿絵は順調に進んでいるそうです。




