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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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321/406

【第121話】 ゴブリン阿騎  

今晩は。

投稿です。

「放浪のゴブリン?」


「ゴブ、野良ゴブリンのことゴブ」


 え?なにそれ、酷い言い方だな。

 じっとドングリさんを見る。


 放浪?彷徨っているのかな?

 怒りが少し込み上げてきた。


 大陸ゴブリンは私達(あ、今は私、獣人族だけど)の元、このゴブリンから魔のゴブリンや秘のゴブリン、北のゴブリンが生まれたのだ。


 なぜ大事にされていない!?


(はい、彼らは私達の元です)


 シルバーっち?


 手は差し伸べなかったの?野良ゴブリンなんて、酷くない?

 それに、魔力に弱いなんて!


 生き残るのに、逃げるのは手段の一つ、確かにそうだけど。

 でもこの世界、逃げるだけでは、いつか追いつかれるわ。


(拒否されました)


 え?なんで?


(私達に依存してしまうと、言われまして。弱い我々が、更に弱くなるから援助はいらないと)


 でも!


(影ながら助けてはいるのですが。彼らがいたから我々は、ここまで生き延びることができたのです。秘のゴブリンは直系ですが、北のゴブリンは基本彼らとの混血です)


 シルバーっち、ゴブリン、みんなまとめて面倒見てやる!とか駄目?


(私は、秘のゴブリンと北のゴブリンにしか繋がりません、彼らには繋がらないのです)


 悲しそうだな、シルバーっち。


(ホルダー阿騎さま、今、目の前にいるゴブリンは北のゴブリン、私に頼ることなく、自分達で頑張ろうとする若者達です。どうか彼らに力を示してください。私はこの者達が、心配で心配で……)


 力か、そんな立派な存在ではないんですけど?

 でも、応援はしてあげたい、クラスメートだし!


 クラスメート……嫌な思い出しかないけど、今は?


 私にできること?なんだろう?


 虐められていた亜紀は、何を望んだだろう?何が一番、欲しかったのだろう……。


 そう考えた瞬間、とんでもないことが起きた。


「あ?」

「ゴブ?」


 ドングリさんの目を通して、私が見えたのだ!


 ええええっ!?


 ビックリしている私のお顔。

 あ、アイパッチが少しズレている。


 私はアイパッチのズレを直した。


 ……私が二人存在している!?


 あああああああっ!


 これっ!


 ゴブリン阿騎が、ドングリさんに憑依しているっ!


(ド、ドングリでいいですよ、阿騎さま)


 ……僕も阿騎でいいよ。


「おい、何こそこそしている?目障りなんだよ!」


 あ、ダンちゃんと揉めていたケンタウロス?


「やめなさい、グロス、パーティーを作ったのなら座れ!」


 カラン先生が止めに入る。


「コソコソしている奴が嫌いでね、ただ逃げ回るヤツだぞ、こいつら!イライラしてくるんだよ!目障りなんだよ」


 魔力を込め、ドングリを睨む。


 ドングリの意思と魄は、恐怖を感じ取り、ぎゅっと縮まる。

 いや、瞬時に痩せる?そんな感じだ。


 その恐怖心はダイレクトに私に伝わる。


 ドングリくん、こんなに怖がらなくてもいいのに。


 あ、憑依している阿騎が!?


「ゴブゥ、ドングリくん、怖がるなよ、こんな奴ゴブゴブ」


 わ、私の声だ!ドングリくんが私の声で喋っている!

 私が憑依しているから、当然の現象か?


「え?え?ゴビッ!?な、なにゴブ?今のは?これはなにゴブ!?」


 今度はドングリくんの声だ!


 まるで、ドングリくんが一人二役をしているみたいだ!

 なんだ?この現象は!?


 エルフ達が騒ぎ出す。


「お、おい!霊視してみろ!何か取り憑いているぞ!?」

「せ、先生!古代のゴブリンです!それも……すごい魔物級のゴブリンがドングリくんに取り憑いています!き、騎士団を!」

「先生!これお祓いできませんよ!早く聖騎士かセンバ騎士団長を!」


 このエルフさんのパーティーは、優秀と見るべきか?


 しかし魔物級とは失礼な。


「はあぁ?何を言っているエルフ?」


「グロス!下がれ!そいつは今危ない!」


「野良ゴブリンが危ない?こいつら野良猫にメシ取られる愚図だぞ?」


 そう言って、蹄をカツンと鳴らす。


 ビクッと竦むドングリくん。


「おい、これだけで怖いか?このクズが!」


「やめろ、クズはお前だ、グロス。何を苛ついている?」


「ああん?ヨダン、また蹴り飛ばされたいか?」


 巨大なケンタウロスとオーク。

 ゴブリンの目から見ると、巨人だな。


 ダンちゃんを前足で威嚇するグロス。


 すっ、と身構えるダンちゃん。


 反応早いな。


 ダンちゃん、巨大なオークに似合わない俊敏さである。


 が、グロスはくるり、と体を変え、後ろ足でクルミちゃんを狙った。


 まずい、これはヒットする!

 私が動こうとすると、阿騎が止めた。


 手を出すな!


 迫り来る痛みに、身構えるクルミちゃん。

 恐怖でゴブリン達はみんな動けない。


(ドングリくん、怖くないよ、僕が憑いている。身体はこうやって動かすんだ、いいかい?)


 ケンタウロスの後ろ蹴りより速く動くドングリくん。


 クルミちゃんを抱き、華麗に身を整える。


 そして、見事に空振りしてバランスを崩すグロス。


 こいつ、バランスを崩すくらい力を込めていた!


 ゆ、ゆるせん!


「ゴブ、クルミさん、大丈夫ゴブゴブ?」


「……ゴブゥ?あなたは……誰?ドングリじゃない!」


「誰だと思うゴブゴブ?」


 クルミちゃんをゆっくりと大地に降ろし、魔力を漲らせる阿騎。


 明季の目の前には、バランスを崩し転ぶ醜態を晒したケンタウロス・グロス。


「無様ね、あなた、ゴブリンに、恨みでもあるの?」


 静かに私は聞いてみた。


「ああ?なんだ鼻血?気にいらねぇだけだよ」


「そう」


 気に入らないだけで、蹴り飛ばすか?

 当たっていたらクルミちゃん、死んでいたぞ!


「おい、俺とヤル気か?また鼻血、噴くぜ?」


「ケンタウロスは趣味じゃないの、彼が相手してくれるって」


 私とグロスの間に立つドングリ(阿騎)くん。


 周りの者は誰も止めない。


 先生も見ている。


「野良ゴブリン風情が、俺の前に立つんじゃねぇ」


 ドングリくんは私の声で言った。


「ゴブ、なら動かしてみなゴブゴブ」

次回投稿は 2023/05/15 20時頃の予定です。


2023/05/14 現在 1章 21話 まで挿絵が入りました。

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