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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
一章

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【第27話】 私の名前と倒れる理由

サブタイトル変更しました。

 エルフさんを先頭に、長い列を作り進むゴブリン族。

 

 今回の移動は、妖精の走り、飛ぶような走りではなく、ドワーフに見えるように歩く行進だ。


 ドワーフに対して敵意が無いことを示すためだ、と説明があった。

 

 なぜ何時もエルフさんが先頭なの?と、聞いたら、エルフさんは索敵が出来て、罠をよく見つけるから、だそうだ。


「そっちにはドワーフの罠がある、こっちだ」

 

 エルフさんの後を追って進む私達。


 彼女は、風景に違和感がある、と言って的確に罠を回避する。


 彼女の後ろには、旗手がいて後続の目印になっている。

 風に揺れるゴブリンの旗。パタパタと揺れ、綺麗な刺繍がキラキラと輝く。


 コロさんは最後尾、殿だ。非常に目がいいらしく、この森の中でも先頭の旗の位置が分かるそうだ。長い列、怪我人が多いな。道も無い荒れた森の中をドワーフの砦を目指し進む。


「ゴブゴブ、おばばさま」


「なんだ、リュート?」


「砦までの時間、相談をいいでしょうかゴブゴブ?」


「いいぞ、なんなりと申せ」


 お父さんはお母さんを見て、私を見る。


「どうした?何が聞きたい?立ち止まるな、ドワーフ達が待っておる」

 

 俯きながらとぼとぼ歩くお母さん。

 

 口を切り、相談したのはお父さんだ。


「この子は強い戦士だが、よく倒れるゴブ。私の目には健康に見えるが、何が原因なのか、おばばさまには分かるかゴブゴブ?」

 

 え?と驚く、おばばさまの両脇の戦士達。


「ふむ、倒れる?少し見てみるか?よいか小僧?」


「い……いいですけど……ゴブゴブ」見るとは?ちょっと怖いかも。

 

 返事をした瞬間、ふわっ、と何かに包まれる。あ、これ魔力だ!

 

 おばばさまの鋭い目と、私の目が合う。


「ほう、いい目をしている、この目は……なるほど」

 

 おばばさまの老獪な意思と、私の二人分の意思、前世の意思と今のゴブリンの意思がぶつかったような印象を得る。お互いに弾き合う?が正解か?


「どうでしょうか?ゴブゴブ」

 

 祈るような声で、お母さんが尋ねる。

 おばばさまは静かに私を見つめる、そして徐に質問をした。


「お主、ホルダーという言葉、どこかで聞いたことがないか?」


「!」


 ホルダー!!聞いたことがある!校長先生の言葉だ!

 

 まずい?どうする?なんて答えればいいのだ?

 

 じわりっ、と背中に汗をかく。


「わ、わかりませんゴブ」


「分からぬ?まあよい。リュートよ」


 歩きながら、お母さんをしっかりと見据えるおばばさま。


「は、はいおばばさまゴブゴブ」


「この者はいたって健康じゃ。問題があるとすれば」


「ゴブ、あるとすれば?」


「魂魄じゃな」


「え?」


「この者、心は女の子じゃ」


!!!このばーちゃん凄い!凄すぎる!何者だっ!


「は?ゴブゴブ?」


 理解が追いつかない、みたいな顔のお母さん。


「身体は男の子で、心は女の子じゃ、倒れる原因はおそらく、これじゃ」

 

 お、おばばさま、鋭い!

 

 チラリ、と私を見るおばばさま。


 更にビックリした顔で、私を見る槍戦士達。


 その後ろで目を見開くレイモンお姉さん達。


「魂魄が合っておらぬ。本来ならば心配ないことなのだが」


「そ、それはどういうことですか?」


 私は勇気を出して質問してみた。心配なし?違うでしょう!心配してよ!


「本来我々ゴブリンは男性、女性、どちらにでも意思の力でなれるのじゃ」


「え~っ!?ゴブゴブッ!」


 初耳!


「驚くことはあるまい?インストールされた記憶の中になかったか?」


「ありませんゴブ」


 そんな記憶これっぽっちもない!なに、その能力?呪われた池にでも落ちたのかしら?


「個人の力にも依るが、瞬時に男女を変える者もいるし、数年かけて変わる者もいる。お前の言葉でいうブーステッドフェアリーが、その能力を再現できるかはワシにも分からぬ。まあお主は、心思うままに生きるのだな、それしか言えぬ」


「おばばさま、ではこの子は……ゴブゴブ」


「心配なし、ニトの見立て通り、健康そのもの。もう倒れることはあるまい。安心したか?リュートよ、ニトよ」


「はい、魂魄……魂は女の子で魄、身体は男の子、ゴブゴブ」お父さんの眉間に皺が寄る。


「か、かーちゃん、弟は妹なのかゴブ?」


「そ、そうねゴブゴブ」

 

 お母さん、戸惑っている?


「おお、兄ちゃんは嬉しいぞ、弟と妹がいっぺんにできてゴブゴブ!」

 

 無邪気だね、お兄ちゃん。でもそんなお兄ちゃん、大好きだよ。


「ゴブ、女の子……」


 誰かが呟く。

 

 この声は、多分レイモンお姉さんだ。

 なんだろう、めちゃくちゃ強い視線を感じるのだが。こわくて振り向けないよ、この視線、どんな意味があるの?


「女の子?ゴブゴブ」


 あ、この声はヤベンさんだ。こっちも痛いほど視線を感じる。


 わ、私はおばばさまの言葉どおりに、心思うままに生きますからね。


「おばばさま、もう一つお願いがあるのだがゴブ」


「なんだニト?申してみよ」


「この子らに名前がほしい、よい名はないかゴブゴブ?」


「……この者は鬼神のごとく戦い、勝利したと聞いたが、どうであった?」


「無謀にも見えたが、勇敢であった、と思うゴブ。だが、魔法のコントロールが今一つで、ラグナルと一緒に吹飛ばされた。あの時は、肝を冷やしたなゴブゴブ」


 あ、やっぱり。

 

「親や、記憶の主を吹飛ばすか。あきれたヤツだな、阿騎でよかろう。兄はサイザンと名乗れ、サイザンはワシの旦那の名だ。正直者で曲がったことが大嫌いなお人でな、単純で可愛いゴブリンであった。お前にぴったりだ」


「俺、サイザン?ゴブゴブ」


「そうだゴブ、お前の名前だゴブ」お父さんが答える。


「そして私が阿騎、ゴブ」生前と同じ名前だ。


 脳内に声が響く。


*その名前には意味がある、忘れるな*


 そして次の瞬間、脳内の言葉を忘れる。

 

 上書きされたように。


 私は、おばばさまを見て礼を言う。


「良い名前を、ありがとうございますゴブゴブ」


 おばばさまはニヤリ、と笑うだけだった。


「サイザンに阿騎、良い名ですねゴブゴブ」


 お母さんも嬉しそうである。


「さて見えてきたぞ、阿騎、あれがドワーフの砦だゴブ」


 第一印象、でかっ!

 第二印象、城壁、高すぎ!!

 

 それは山の地形と、狭い入り江を利用した巨大な要塞であった。


挿絵(By みてみん)

次回投稿は2022/07/10を予定しています。

サブタイトルは ドワーフの砦とゴーレム です。


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