【第66話】 手続きは、校長室にて 2
こんにちは。
お昼の投稿です。
私が『?』状態になっていると、センバ騎士団長が苦笑いをしてお話ししてくれた。
「氷獣を防ぎ、魔石の恵みをン・ドント大陸にもたらす北の守護者、獣王季羅。そしてその妃、女王乱。生徒達は気軽に接しているが、あなたは獣王の10番目の聖獣姫、明季姫なのだが?」
は?
村じゃ、季羅お父さんのこと、そんちょーって呼んでいるけど?
姫?お姫様?
誰がや?
思わず元帥さんの、言葉になってしまったではないか!
お家、時々壊れて、隙間風入るんですけど?
トビトカゲ、奪い合って食べているんですけど?
この人達、何か誤解していない?
なに?その設定?
「季羅お父さんは村長で、家はお城ではありませんよ?木造で、家族で暴れて時々壊して、隙間風吹いています。その王とか姫とかは、王都サイドの見解では?」
多分、これが正解だろう。
獣人族に王族とかの自覚は無い、と思う。
「時期入学式だ、獣王が式に参加するらしいが、おそらく正装であろう。シュート家・明季、楽しみにしておけ。日時、時間割は姉君に渡してある。確認しておくように」
「はい」
シンお姉ちゃん!時間割、持っているなら見せてよ!
あ、読めないか。
新しい生活が始まる!
期待と不安。
私の場合、不安が大きいかな?
いや、不安の塊か?
やっていけるかなぁ?
不安だなぁ。
心細いなぁ。
姫?王?考えるだけ無駄だ。
群れのリーダーを獣人族は村長と呼び、王都の者達は王と呼んでいる。
意識の違いか?
王と村長、どう違う?
大半の獣人族は気にしないのでは?
私は、他にすること、考えることが山ほどある!
「シュート家・明季、他に何か聞きたいことはあるか?我らに伝えたいことはあるか?」
「……あります」
「ほう、なんだ?このトルクちゃんに、聞いてみるがよい!」
「この学校は、何を教えるところですか?」
「え?勉強じゃないの?」
だよねぇポシェットくん。
でもそれだけじゃないよね?トルクちゃん?
「ここは、生き残る術を教えるところだ」
「生徒に伝わっていますか?」
「難しいな。言葉で言っても、言葉だけでは伝わらない」
「生徒に何を望みますか?」
「君は何者だ!?」
思わず質問するセンバ騎士団長。
見下ろしている目と、私の目が合う。
「獣人族、シュート家・明季ですが?センバ騎士団長?」
「我ら長寿のエルフでも死は必ず訪れる。限りある人生を悔いなく生きて欲しい。老いても、羽ばたいていて欲しい、そう望む」
トルクちゃんの言葉。
前世では、相当酷い目にあっている。
それでも、羽ばたいていて欲しいと。
「では次、グラウディー・ポシェット、入学を望むか?」
「はい、望みます」
「あの?私、このままここにいて、いいのでしょうか?」
「かまわぬ、お前達二人が揃ったのは、精霊の導きじゃ。ポシェットの話、よく聞いておくように」
え?いいのかなぁ聞いていて?
個人情報だと思うけど?
気にしないのかしら、妖精族達は?
「グラウディー・ポシェット、お主も優秀じゃな、一年から四年まで選ぶがよい。五年生でもいいな」
ん?赤ら顔でチラリと私を見たぞ?
魔石が邪魔しているのかしら?
あまり匂いがしない。
あ!……これ、獣人族の体臭対策に使えないかしら?
「一年生で、お願いします」
え?即答?考えないの?
それとも考えていたの?
「ほう?五年生でも通用するが、一年から学ぶか?」
「はい」
「では、一年生で入学を許可する。話しておくこと、聞きたいことはあるか?」
「話しておくことがあります」
「聞こう」
「僕……私は、身体が弱いのです。生まれてすぐに魔力還元の兆候がありました」
え?
「ほう、それは……」
「両親が、嘆いて、悲しんでいると、さまよえる賢者さまが現れました」
え!?魔族チクリが!?
「なんと、あの賢者が?」
「さまよえる賢者さが言うには、私は魔石との相性が抜群によく、魔石と共にあるなら、生きながらえる、と言われたそうです。以後、私は魔石が外せません」
「魔石から直接魔力をもらっていると?」
「はい、それも、かなりの数の魔石が必要です」
魔石って高価と聞いたけど?
お値段って??
今、獣人族の村には、千個単位で魔石があるけど。
「魔石が無ければ、死を迎えると?」
「はい、騎士団長さま」
「家が商人でよかったな、魔石は高価だ。それに簡単には、手に入らない」
トルクちゃん、難しいお顔だね。
「いえ、それは違います、逆です。魔石を得るために両親は商人になり、財を成したのです」
え?そんな簡単に財を成せるの?
「さまよえる賢者さまの、お話を聞いていた群衆の中に、獣人族の方がいまして、その方が大量の魔石をくれたのです。王都で販売する魔石300数個を、無償で」
ええっ!?
だ、誰だ!?
初耳だぞ?
そんなことしているの?獣人族!
「その魔石で私は生きながらえ、両親は魔石の商人になりました」
誰だ?
「その獣人族の名前は?」
「名乗られませんでした。ただ……」
「?」
「鳥の獣人さまでした」
あ、それ、もしかして?
ゴルちゃん、ニヤッとしたから間違いない!
今度、こっそり聞いてみるか?
上昇期は凄いな、色々とコンタクトできる。
逆に下降期は辛いな、行動が制限される。
「ですから私は獣人の方に恩返しがしたいのです。魔石に頼って生きている私ですが、できることをしたいのです」
「恩返し?難しいぞ?彼らを助けるのは容易ではない。獣人族は集団戦を得意とするが孤高戦士でもある。そんな戦士に対して、何ができる?」
「分かりません」
あ、トルクちゃん、ニヤニヤして悪いお顔になっている!
「よし、ならば同じクラスにしてやろう、明季と、どうじゃ?」
いっ?
いいの?そんなことで?私の意見は?
「本当ですかっ!」
うわぁ、明るい笑顔ですね、ポシェットくん。
次回投稿は本日 2023/04/07 20時くらいの予定です。
遅れたらすみません。
3月、4月は忙しく
投稿時間がころころ変りますが
何卒お付き合い、よろしくお願い致します。
サブタイトルは わんわんは迷子 を予定しています。




