【第65話】 手続きは、校長室にて 2
いつもより、ちょっと遅れました。
「さて、シュート家・明季!」
「は、はい!?」
「その方、絵師になりたいのか?それとも歌人か?」
「え?」
「よく描けている。副会長姉妹であろう?見ていて飽きぬ」
「絵師にはなりません」
「ほう、では歌人か?我が校の歌人志願は、かなりの人数いるが、どれもよい歌声を響かすぞ」
「私は歴史の勉強がしたいです。その勉強がしたいため、入学を希望します」
「歴史?」
「はい」
「何が知りたい?テーマは?」
「ホルダーについてです」
「「「!」」」
「自称ホルダーは多くいるが、どれも怪しい輩ばかりだぞ?」
「伝説や神話が知りたいのです」
「例えば?」
「アトラ帝国」
「知らぬな?センバ団長、聞いたことあるか?」
「はい」
(なぜこの者はアトラ帝国を知っているのだ?不思議な子だ。孤児院を訪ねてみるか、ラッキーもいるしな)
!
「分かった、入学を許可する。学年は一年から四年まで選択してよい、どの学年を選ぶ?」
「え?選んでいいのですか?」
「うむ、よい。姉君は四年を選んだようだが、同じ四年を選ぶか?それとも、ア・ダウのクラスでもよいぞ?」
「え!?」
リュートお母さんやニトお父さんと同級生!?
ホッシーも?
ど、どうする?
嬉しすぎる展開なんですけど!?
いや、待て!考えろ。慌てるな。飛びつくな!
「飛び級はできるのですか?」
「できる」
「方法は?」
「先生の推薦か試験で飛び級ができる」
「では、一年生からお願いします」
「一年?一年は拘束授業で寮生活になるが?」
「え?」
拘束授業は聞いていたけど、り、寮?一人暮らし!?
聞いてないんですけど!?
どうする?
「寮は基本一人部屋だ。自炊、食堂、どちらも選べる。シュート家・明季が選んだ場合……部屋は……バス、トイレ付きメイドも1名まで認められている。一年の使用料は支払われている。どうする?」
誰?手配した人!手回しよすぎっ!
だからね、誰が手配したか知らないけど、ちゃんと言って!与えて!私に情報をっ!
さて、どうする!?
トルクちゃん、机の上の分厚い資料読んでいるけど、あれ、読めたらなぁ。
いろんな情報、ゲットできるのに!
読み書きできないし、この時代のことや、生活、マナー、色々知りたいし、ここは一年からかな?覚えるモノ覚えたら、飛び級という選択もあるし。
ここは、レベル1、から頑張ってみるか。
「一年生で願いします」
「え?」←ポシェットくん。
「私は、読み書きができません、この王都での生活や文化も知りたいし、一年生からで、お願いします!」
「「え?」」←ポシェットくん、センバ非常勤講師。
「なに?ポシェットくん、仕方ないじゃない、覚える機会なかったし」
「え、いや、ご、ごめんなさい!」
驚いたお顔で、慌てて謝るポシェットくん。
ん?トルクちゃん、魔力を使っている?
「違和感がある……聞いていいか?」
「何をでしょうか?校長先生?」
「生まれた時点で、年齢を一歳と数える。では、シュート家・明季、今何歳だ?」
「一歳です」
「「「!!」」」
驚く室内のメンバー。
「ばかな」
「私、馬鹿ではありません!」
「そんな!」
「私、どんなです!?」
「ありえん」
「私、あり得ています!」
「獣人族は早熟と聞いたが、ここまでの者もいるとは……」
「あの、私はかなり、例外中の例外らしいですよ」
早熟?この私が?
およそ私の人生内で、初めて聞く言葉では?
「センバ団長、急成長する北のゴブリンもいるらしいから、獣人族にそのような存在がいても、おかしくないであろう?」
「精霊付きか」
センバ団長が真剣なお顔で聞いてくる。
ああ、私が知っている田崎さんより若い!
ん?ポシェットくん?
トルクちゃんが視線に気がつく。
「その絵が気になるか?」
「はい、いい絵です。でもこれ、問題用紙と解答用紙の裏ですね?もったいない!この絵ならば、高値で取引されます。どこの絵師ですか?この絵は本当に明季さまが?」
疑っているの?信じていない?本当にわたし!
高値で取引?
商売する気はないよ。
……ちょっと待て?
この時代、カメラは無い。
なら、絵は貴重か?
私の絵、綺麗な額縁に入れられているし。
まあ、大事にしてくれるのは、すなおに嬉しいけど。
「これは間違いなく、シュート家・明季の作品だ」
センバ団長は目だけ動かし、私を見た。
ポシェットくんは、一歩下がった。
トルクちゃん、ニヤリと笑った?
悪いお顔だな。
「しかし、もったいないな、この絵は未完成の完成品だ」
「え?」一言、言葉を発したのはポシェットくん。
「シュート家・明季、絵師なら私の言うことが分かるであろう?」
「そこまで評価して下さるのですか?ありがとうございます」
「ありがとう、か……礼を言わなければいけないのは、こちらの方だ」
「礼?ですか?」
「ア・ダウのクラスを始め、多くの生徒を助けてもらった。先日も商工会の攻撃を防いだ」
「結果、そうなっただけです」
「受験の時、トラブルがあったと聞く、誠に申し訳なかった。今後、組み手は騎士団と実技専門の者があたるようになった。不愉快な思いをさせ、獣人族の名誉を傷つけた……」
「謝罪は受け入れますよ、私の未熟ゆえです。お気になさらずに」
「商工会の5人も保護したそうではないか?住居までラン女王は用意したと聞く、獣人族には本当に世話になる」
ん?ラン女王?
誰?その人?
そんな人、いたか?
次回投稿は 2023/04/07 お昼くらいです。
サブタイトルは 手続きは、校長室にて3 です。




