【第62話】 入学手続き3
少し早めの投稿になりました。
このまま、流されて進んで良いのだろうか?
明季は恵まれているな。
目の前には、待っている人達がいて、周りには力強い仲間が立っている。
(ホルダー阿騎さま、自ら近づかないと、あそこには行けませんよ)
シルバーっち?
(行きたくなければ、行かなくてもよい。それも道の一つ。ただ選んだのはお前だ)
ゴルちゃん……。
「もめているな」
センバさんが呟く。
「ヤベン、ナイダイ」
オルガン会長の、お顔が厳しくなる。
「明季、しばし待っておれ、行くぞ」
どこだ?
魔石の煌めきが見えた。
ゴブリンの目で周囲を見る。
上昇期は色々なことができるな、便利である。
あっ!?
あの子、試験会場にいた子だ!
魔石をいっぱいぶら下げた!
あの子も入学手続きかしら?
一人で?保護者なし?偉いなぁ。
!?
リンドウ!?
リンドウもいる!こいつか?
まあ、ここの生徒だから、いるのは当たり前か?
リンドウは、半獣人らしいけど?
言い争い?
校舎の隅だな、かなり遠いぞ。
あの辺りは保健室があった所か?
「なんだ、その魔石の数は?目障りなんだよ、見せびらかしやがって」
「先を急ぎますので」
「はぁ?なに?待てよ、こら、無視するのか?」
……周りは?見て見ぬふりか?
半獣人なら止める者もいないか?
まあ、獣人も、半獣人も力の塊、一般から見れば大差ない。
直接的な力のぶつかり合いでは、まず勝てない。
魔石があっても、どうだろうか?
魔石があれば対等とは聞いていたけど、魔石でのパワーアップは身体への負担が大きいのでは?
「リンドウ先輩、やめてください!」
!
止める者がいた!?
握り手のある、長めの杖を持った少女。
足には血の滲んだ包帯。
モニ?
モニだ。
「新入生です、親切にしてください!」
「まだ、入学前だぜ?」
「速く行きなさい、受付は校舎内で聞いてね」
「勝手に仕切るなよ、モニ、気に入らないんだよ、そいつ!」
ジュナサンが動いた。どうする?ジュナサン?
「モニ、リンドウ先輩は荒れてんだよ、早くこっち、来い!」
「なんだ?ジュナサン?聞こえたぞ!」
「え?どうかしましたか?先輩?モニ!」
モニの杖を引っ張るジュナサン。
「あの子はどうするの?」
「絡まれたそいつが悪いんだろ?早くずらかるぞ!」
(馬鹿!リンドウは半獣人だぞ!俺達の魔石くらいじゃ太刀打ちできない!怪我が増えるだけだ!先生呼べよ!先生!)
「イヤよ、ジュナサン、助けるのは私じゃなくてあの子よ!なんで分からないの?」
「お前こそなんで分からない?ほっときゃいいんだよ!」
「いやよ」
「たいして強くもねー俺達じゃ、怪我するのがオチだ!見て見ぬふりして、つええヤツ呼ぶんだよ!」
「ジュナサン、全部、聞こえているが?」
「ああ、もう面戸くせー!リンドウ!お前、このままじゃ居場所なくなるぞ!新入生に絡むな!この……」
吹飛ぶジュナサン。
ドン、と校舎の壁にぶつかる。
「げほっ、な?だ、だから、いっ言った、だ、ろ?げほっ、怪我……る……がオチだって」
「ジュナサン!リンドウ先輩!なんてことをっ!」
「ちょっと当たっただけだろ?大袈裟なヤツだな?モニ、お前も俺に逆らうか?力もねーくせによ人助けってか?」
「くっ」
「弱いなら、出しゃばるな!死ぬぞ?へへっ」
駄目だ、おばばさま達は間に合わない!
リンドウは、おばばさま達が向っているのに気がついている。
「ジュナサン、大丈夫?」
声を掛けたのは玲門さん。
「なぜここまでする?」
ジュナサンとモニの前に立つ美観さん。
「気に入らねぇんだよ、ヘラヘラしやがって」
「荒んだな、リンドウ、新人に八つ当たりか?迷惑な奴め」
ジェイくんが美観さんの前に立つ。
「ジェイ、お前も死んでみるか?」
周囲に人が集まり始めた。
3階や5階、校舎から次々に上級生?が、窓から降りてくる。
「大概にしとけ、リンドウ」
「受験組み手の後、警告したはずだ」
「これから始まる、新入生の生活に水を差しおって!」
「新人さん、怖い、嫌な思いさせたな?」
「いえ、ビックリしましたが、怖くはありませんでした。あの怪我した人、治療してもいいのでしょうか?」
「?」
「かまわんが?」
「君はヒーラーか!?」
「まあ、はい」
そう言うと、魔石だらけの少年は腰に付けている魔石を一つ外し、ジュナサンに握らせた。
「倒れた者に勇気と力を。水、風、大地、雷、再び起き上がる力、それは奮い立つ力」
魔石から紅い光りが膨れ上がり、ジュナサンを包む。
紅い光りが収縮するとジュナサンが目を開けた。
「お?あれ?痛くねー?」
「本来は有料です」
治療した!?回復か?
「!」
「今回はそちらの女性に免じて無料にしますが、次回からは有料ですからね、呉々もお忘れなきよう。それから傷口は軽く塞がっただけです。無理な運動は控えた下さいね、失った血液は半分も再生していませんから」
驚いた目で見る周囲の先輩達。
「参考までに聞きたいが、一回の料金は?」
「50万からです。旅、冒険の際にはポシェット商会の魔石をどうぞ」
ポシェット商会?初耳だが?
商人の子供か?
リンドウを囲んだ?
駄目だ、囲んでは!
逃げ道を作ってあげないと!追い詰めすぎてはいけない!
「ポシェット商会だと?成り上がりが!」
「はい、成り上がりです。両親の努力の結果です」
「ふざけるな!」
ここにいる全員、リンドウの速度に追いつけない。
獣人族の反射神経は軽く他の妖精族を凌ぐ。
だからといって、逃げ道を塞いだりすると!
止められるのは私だけか?
私が重速術を使おうとすると異変が起きた。
それは、リンドウが満月期の力を使ったのと同時だった。
辺りがゆっくりと動き出したのだ!
誰かが重速術を使っている!
使い手がいる!
センバさんか?
ヤベンさん?ナイダイさんか!?
ここでポシェット商会を名乗った少年と目が合う。
200m以上離れているのに、確実にお互いを捉えた。
この少年、何者だ?
次回投稿は 2023/04/05 早ければお昼くらいです。
サブタイトルは 入学手続き4 です。




