【第61話】 入学手続き2
投稿、この時間になりました。
校門前である。
シンお姉ちゃんと二人、肩フックで全部脱げる服で、正装してきた。
「お金とかいらないの?」
背中には朱槍。
「金貨か?いらないぞ」
シンお姉ちゃんは腰に短剣。
「入学金なし?」
「払う金貨は受験料だけだ。たけーぞ受験料。受かったら後は自由授業だ。あ、明季の場合は読み書きからだから、一年間は拘束授業だな」
拘束授業?
嫌な響きだな。
「基本授業とも言うらしいぜ」
「そっちの名前がいいよ」
「で、まだ無理か?」
「……」
私達二人は校門前で止まっている。
私の足が進まないのだ。
一歩、踏み入れようとすると、目眩が生じた。
嘔吐感が全身を襲う。。
……学校、無理かな?
前前世の記憶、辛すぎる。
北のゴブリンさん達、笑うかな?
闘神は校門が潜れない。
獣人族、がっかりするかな?
金狼の化身は、前へ進めない。
私は俯き、前が見えなくなった。
魔力は上がっている。
上昇期、時期満月だ、でも私は動けない。
魔力感知に反応がある。正面を見ると、美観さんと玲門さんが見えた。
あ、リュートお母さんもいる。ジュナサンもホッシーも。
ジェイくんもいる。
え?ドロトン君?戻って来たの?東の砦から?
ああ、時期満月だ、長さんの回収か?ならン・キングも来ているのか。王都には入れないから長さんの所か?
魔力感知に一際強い光を感じる。
ミミお姉ちゃん!?
ドロトン君の護衛かな?
でも?筋トレ指導している?
「お、ミミ来ているのか?」
「そうみたい」
あそこへ、行きたい。
皆のいる場所へ。
震える私は、一歩も動けない。
悔しくて、涙が出そうだ!
私は学校をどう思っていたのだろう?
好きだったのかな?絵や音楽を教えてくれるから。
でも、先生や生徒は私のことが、嫌いだった。
いや、嫌うどころか、何も思っていなかった?
単なる憂さ晴らし?
両親の件で、私を憎悪している者も多くいた。
そんな奴等の呪いが、未だに解けない。
呪い、縛っているのは、私自身か?
あそこにいる人達は、私の知っている人達の、魂を持っている。
だけど私の生きていた、あの時代の人達ではない。
魂は私のことを知っているだろうか?記憶しているのだろうか?
知っているはずだ。
この人達は、記憶や名前は同じでも別の人生を歩んでいる人達。
彼らの前世は知っているけど、私の知らない皆だ。
前世の記憶は邪魔だな。
今を生き抜いているのに、判断に迷いが生じる。
もう、以前の彼らには出会えないのだ。
今を、生きなければいけない。
彼らが示している。
「入学の手続きか?案内をしよう」
!
誰だ?
いつの間に!?
私の死角、右側にはシンお姉ちゃん。
その騎士は左側に突然現れた。
「私は王都騎士団『闘』の騎士、ル・センバ。ここの非常勤講師でもある。シュート家・明季、私の案内では不足かな?」
え?田崎さん?
いや、今はセンバさんか?
この人は田崎さんの魂を持つ人物。
だけど田崎さんではない。センバさんだ。
魂は私のことを知っているだろうか?記憶しているのだろうか?
私達が出会った世界は、過去?未来?別の世界。
それでも魂は知っている?
この人は、違う世界を生きている田崎さん。
私の知らない田崎さんだ。
シンお姉ちゃんが私の左側に、足を入れる。
「シュート家・シン、明季殿と話をしている」
「保護者なんでね、明季の強さに惹かれたか?手合わせの申し込みか?明季は薬師に、戦いを止められている……まずは私がお相手しよう。私では不足か?」
「手合わせ?そのような無粋なことはしない。警戒は無用だ」
「ほう?」
「明季殿が勝てば、私は騎士団長として部下の信頼を失いかねない。私が勝てば、明季殿は獣人族より責められないか?どちらにしろ、良いことは一つもない。それが分からぬ騎士団長ではないぞ?」
「機会があれば、手合わせしたいだろう?金狼の技は噂以上かもしれんぞ?」
「嗾けるなよ、シン。他意はない」
「何を言う?他意はある!」
え?誰?後ろから声が!?
「ドラゴンや巨大ゴーレム、詳細を聞きたいのではないか?ん?騎士団?シュート家・明季!ここは生徒会が案内する、ほとんど来校しない怠け者は控えるがよい!何回授業した?」
いつの間にか、私の真後ろにヤベンさんとナイダイさん、美少女おばばさまが現れていた。
「手厳しいな、会長。仕事上、頻繁は難しいのだ」
センバさん、苦笑いだ。
「ふん!今回は来校したな?明季の案内は、この歩く生徒会に任せるがよい!」
厳しいな、おばばさまは。
ポメの時、会っているけど取敢えず、とぼけてみる。
ここは知っているけど、知らないふりで……。
あ、でもおばばさまの名前って??
「生徒会?会長?」
「ああそうじゃ!私が生徒会、会長のオルガン・ブレイス・ヴァイナガンだ」
「オル…え?おばばさま!名前、あったのですね!」
それも超主役みたいな、格好いい名前!
「だ、誰がおばばさまじゃ!無礼者!」
「あっ!」
しまった!
「はははっ」
「くくくっ」
「笑うな!ヤベン、ナイダイ!」
や、っばっ!どうしよう!?
ひ~っ、ご、ごめんなさいっ!やっちゃったぁ!
「ご、ごめんなさい!すみません!」
こんな美人さんに、おばばさまなんて!
それも生徒会長に!
ショックだよね?ごめんなさいっ!
とんでもない失礼ではないか!
でもなんでヤベンさんとナイダイさん、笑うの?
「ふふっ、シュート家の明季、お前もか」
え?お前も?も?
「幾人かの者達から、オルガン会長は『おばばさま』と呼ばれている」
「何故かは分からんがな、そう呼ぶ者達がいるのだ」
ええ?誰?
「え?で、でも?」
「まず、リュートだろ、ニト、ドロトン、傭兵団のコロ、氷のエノン、そこにいる、お前の姉も呼んだぞ?他にもいたな?え?ヤベン?」
「う、うるさいなぁ」
ヤベンさんも呼んだんだ!
次回投稿は2023/04/04 夕刻です。
サブタイトルは 入学手続き3 です。




