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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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【第57話】 王都を歩く5

投稿、ほんの少し早くなりました。


 さっ、と髪で目を隠す私。


 一緒に戦った仲だけど、傷跡は見せたくない。

 顔の傷は、悲しい。


「「なんでここにいるの?」」


 綺麗に声がハモる。


 しかし、なぜ気づく、ホッシー!


 あ、魔力感知か、レイランお姉ちゃん並みだし、気づかない方がおかしいか。


 どうしよう?

 逃げるか?全力で!


「ア、アッキー?だよね?なんでここに?それにどうしたの?その姿!?」


 ホッシーの目線?


 ん?目線を下に向けると……!


「んっ、きゃあああああっ!み、み見ないでえぇぇぇっ!」


 ポメの体毛に覆われているから、と油断したけど!

 けど、覆われていないところもあったあああっ!


 獣人族の速さで、近くの樹木に隠れる私。


 それに、この姿は……変だよ……ね?


 毛むくじゃら。


 ……うぐっ。

 ひぐっ。


「うわあああん」


 何故か、私は泣き出した。


 逃げようと思うのだが、あ、足が動かない!

 亜紀も阿騎も走ろうとするが、明季が悲しく泣きすぎて、う、動けん!


「ア、アッキー?大丈夫?」


「うぐっ、うぐっ」


「誰か呼ぼうか?シンお姉さん?エノンちゃん?一人なの?」


「グルルルルッ!」


「……困ったな、一人だよね?辺りに誰もいないし」


 私も困った。

 ……どうしよう?


「とりあえず、服がいるよね?私が取りに……行けないか」


 駄目だ、エノンにもシンお姉ちゃんにも届かない!繋がらない!

 落ち着け!落ち着くんだ、私!


「一人、置いておけないよね……実は私の念話、不安定なのよね。魔力感知は自慢できるけど……」


「グルルルルッ」


「唯一、ストレートに繋がるのは……」


 チラリ、と私を見る。


「グルッ?」


「……ママ・リュー、聞こえる?」


 え!?


「うん、私、星影、ホッシーだよ。今ね、エルフの丘にいるんだけど、奥の森、そう先、王都が見える、でね、アッキーが……いや、それが、少し大きめの服さえあれば、あ、だからそこまで、心配?……え?私も事情は分からないんだけど、え?うん、うん、それが、その、半分狼かな?泣いちゃって、ええええっ!ち、ちょっと!ママ・リュー!?」


 ……?


「ニト連れて、ペガサスで来るって」


 えええっ!?

 

 そ、そんな、迷惑をまた掛けるの!?


 あ、あれ?でもなんか落ち着いてきたぞ?

 ニトお父さんと、リュートお母さんが来ると聞いて、安心したのかな?


 ……う、生まれ変わっても迷惑の塊か?私は!あの二人には迷惑のかけっぱなしではないか!


 ホッシーは、唸る私を怖がること無く近づいてきた。


「よしよし、どうしたの?」


 そう言って蹲った私の、犬耳頭を撫で始めた。


 あ、ほっぺに移った。

 よしよし。

 次は、肩だ。

 よしよし。


「ゴロゴロゴロゴロ」


 自然と喉が鳴る。


「側にいてあげるね」


 !


 ぽろぽろ。


 涙が零れてきた。


「ど、どうしたの?」


 座り込んだホッシーの膝上に、犬耳頭を乗っける。


「!」


 すりすり。


「えっ!?え~っと、よ、よしよし!」


 ああ、分かった。

 そういうことか。


 あの綺麗なボカロを聴いて、まどかを思い出したんだ。


 亜紀が、逢いたがっているんだ。


 変な学校への不安。

 あんなところで、周りと上手くやっていけるのかしら?


 阿騎は好奇心いっぱいで、ワクワクしていたけど。


 私は気持ちが入り交じって、不安だよ。前前世が前前世だし。

 クラス皆の前で、突然、この姿になったりしないかしら?

 わんわんの時は、あっさりと校門通れたけど、人バージョンで門、潜れるかしら?


 立ち止まって、動けなくなるような気がする。


 こんな時に、この歌聞くなんて……。


 ……まどか。


「ホ、ホッシーが悪い!」


「ええっ!?な、なんで?どうして!よ、?よしよし、してるでしょう!?」


「あんな綺麗な歌声で、あの歌、歌うなんて!」


 イヤでも思い出す!


「え?聞いていたの!?あ、聞いていたよね、でもどうして知っているの?あの歌、ゴブリンの闘神の歌だよ?」


 一瞬、私の歌姫まどかと、目の前の歌姫が重なった。


 ホッシーは、まどかではない。


 でも、この二人、歌で繋がっている、そんな気がする!


 わ、私だって!


 あ、元気出てきたかも。


 犬耳頭を起すと、ぽよん!と後頭部が何かにぶつかる。


「あん」

「!?」


 胸を両手で隠すホッシー。


 赤ら顔で私を睨んでいる。


「おっぱい波動?」


「し、知らないわよっ!エッチ!」


 あ、更に元気出てきた。


 毛むくじゃらの身体に、ちょこんと見える私のおっぱい。


 膨らんでいるとは、いいがたし。


 細胞が赤ちゃんだからかな?


 立ち上がり、ホッシーを見つめる。


「?」


 私だって歌える!


 まどかと繋がりたいっ!


 ん?


 ホッシー?


 ホッシーがぼーっとした目で、私を見ている?


 朝日に照らし出された私。


 ぽつり、とホッシーが呟いた。


「……きれい……」


 え?


 私のことか?

 いや、そういう評価はあまり受けたことが無いから、恥ずかしいのだが?

 右目の傷跡もあるし。


 ホッシーこそ綺麗ではないか?

 ドレスアップをし、花を一輪、髪に挿している。


 朝日に照らされて……。


 ん?モヤモヤする。


 これは妙な対抗心か?それとも嫉妬か?


 私は、ホッシーを横目に、お日様に語りかけるように歌い出した。


「ひっ」


 小さな悲鳴を上げて、固まるホッシー。


 これはホッシーも知っている歌。


 あ、ホッシーの目に闘志が宿った!


 ホッシーはゆっくりと立ち上がり、歌い始めた。


 息ぴったり!

 凄いシンクロだ!

 長年歌ってきた、姉妹のような綺麗なハーモニー!

 ゆっくりと微笑みながら歌うホッシー。


 歌い終わると拍手が湧く。


 あ、ニトお父さんとリュートお母さん!


「じ、獣人族って、肺活量、どんだけあるの?ぜへぇ、ぜへぇ、ず、ずるいよぉ!ブレスが!それに、何ぃ!あの高音!」


 はは、確かに肺活量凄いよね、武術にも通じているし。


 さすがにニトお父さんの前で真っ裸は恥ずかしいから、ささっと木の陰に隠れる。


「元気そうで、少し安心しましたよ」


 ……リュートお母さん、心配ばかりでごめんなさい。

 もう、私のお母さんではないのに。


 それでも私の元、父と母は駆けつけてくれる、ペガサスに乗って!

次回投稿は 2023/03/31 夕刻の予定です。

サブタイトルは 王都を歩く6 です。

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