【第53話】 王都を歩く
夕刊です。
学校に行くと決めた。
よし、よく見るとしよう。
遠目からだけど。
授業内容とか、雰囲気、生徒、先生達。
イヤならアッサリ前言撤回して、東の砦でアイお姉ちゃんと暮らす。
あ、でもメイドンがいるか。王都のどこにいるのだろうメイドン。
王都。
ここは遙か昔、皆で目指した場所。
あの時、私は辿り着けなかったけど。
ここは約束の地。
王都ルゥリー・トゥルリーどんな場所なんだろう?
ン・ドント大陸の記憶はある。
緑滴る、豊かな大地。
ここは昔から変らない。
みんな、私も辿り着けたよ。
あの時の皆はいないけど。あ、姿、形を変えて暮らしているか。
当時を知る者は、秘のゴブリンだけかな?
秘のゴブリン、聞こえる?聞こえないだろうな。
遙か昔から、よくその血を繋ぎました。
よく、生きていてくれました。
阿騎は、孤独では無いのですね。
あの戦いの日々を、記憶してくれているのですね。
ああ、男の人だったら、ここでお酒でも飲むのかしら?
「アンアン!」
「気をつけて!」
「何かあったら、うちを呼ぶんだよ!」
出発である。
朝、4時半!
早くね?
まだ、お日様寝ているよ?
取敢えず、学校行ってみるか!
不思議な場所なんだよなぁ、王都。
王都って言うから、王さまがいるはずなんだけど、貴族も王さまも、いる気配しないし。
王都についての情報も欲しいな。
石畳の街を駆け抜ける私。
誰が詳しいだろう?やはりコロ叔父さんかな?
まあ、学校に行けば、王都についての勉強もあるだろう。
取敢えず、今日は私の目で王都を見てみよう。
パン屋さんかな?灯りがついている。
他にも灯りが。
ん?この匂い!
おお、オーク屋のクッキーだっ!
こんなに早くからお仕事しているんだ。
子犬視線では、地面、すれすれしか見えないのが残念だな。
ん?騒がしい?こんな朝から?
それに?お魚や果物の匂い?
足を速めると、そこは……朝市だ!
ゴブリン、エルフ、オーク、人族、コボルト、え?ケンタウロス!
出店が沢山!なにこの賑やかさ!活気が凄い!
主に食べ物だな。
毎日この騒ぎかしら?
ん?これは?この匂い!
この大通りので、この人数で、一人を特定する。
獣人族は凄いね。
こうなると、この能力、もう魔法だね。
匂いを辿ると!
いた!
ジュナサン!
夜は騎士団見習いで、朝早くから市場?
一体、いつ寝ているの?
まさか……学校、授業中か?
扱っている品物は……果物だ。結構沢山ある!お客さんも多いぞ?
それに、美味しそう!香がいい!
「おやじぃ、もう少し高く売ろうぜ?これじゃ売り上げ少しだよ」
お?
「これぐらいが丁度よい」
「まだ高く売れるぜ?いい品ばかりだし!」
「品物は厳選しておる。商売でいい品を売るのは、当たり前だぞ?学校で何を学んでいるのだ?」
「高く売れば儲かって、いい暮らしができる!こっちの傷果物も、もう少し高く売れるって!」
「騙す商売は必ず、消える」
「大昔の考えだろう?今は違う!」
会話しながらも、果物は次々に売れていく。
コイン使っている?
あ、トビトカゲ持ち込みだ!
こんがり焼けて、美味しそう!
「小さいな袋、2つだな」
「おい、おやじさん、この大きさだ5つは欲しい」
「では3つ、イヤなら他へ」
「……3つでいい」
物々交換もしているのか。
果物、沢山詰め込んだ袋が3つ!よく持てるなぁ。
「ジュナサン、商工会を見ただろう?消えたぞ。彼奴らに賛同した者達も消えた。数百年、ここを守った者は、今もここに立っている」
「それは、そうだけど……」
ジュナサン、旗色悪し?
「いいか、何度も言うが俺達は信用を売っているのだ、客は信用を買う。不信を売った者は信用されない、商売は終わる」
「多少高く売っても、信用、信頼されると思うぜ?」
「ジュナサン、お前にはいい先輩達がいるだろう?なにを見ているのだ?」
「先輩?」
「ティーは信用を食べさせている。ドロトンは信用ある発明品を作って、それを売っている」
「ティー先輩の料理は高価だ、たけーよ。それにドロトン先輩の機械は、安く売りすぎて、商工会に命狙われたじゃん」
「ティーの料理は皆を元気にする、その味は忘れられない思い出になる。いいか、死ぬまで忘れられぬ味だぞ?ドロトンは時計を造り、バラバラだった時間の単位を統一した。安価で大量に造り、世界を変えたぞ?そして彼らは生き残り、商工会は滅んだ」
「ま、真面目に商売やって、殺された、エルフやゴブリン沢山いたじゃねーか!」
「商売も命懸けさ。ワシらは商売人でもあり、呪術師でもある」
え?
呪術師?
あ、またトビトカゲの持ち込みだ。今度のは大きいぞ?
こんがり焼けていて、美味しそう。
「袋、3つ」
!
い、今、魔力を使った!?
なんか、光った!?
それに、あんなに大きいのに?3つ?
「おいおい、この大きさだぞ?袋10だろう?」
「イヤなら、他へ」
「8でもいいぞ?」
「あんた、見ない顔だね?王都で交換したけりゃ、真面目にやりな。トビトカゲ、狩り過ぎだ。裏の荷台にあと何匹積んでいる?狩りすぎると、今度はあんたが森の精霊から狩られるぜ?」
「!」
慌てて他のお店に行った。
「お、おいオヤジ、あれなら袋5でも、いいんじゃねえか?」
「袋5か、まあ見る目はあるな、ジュナサン。だが、それではあいつのためにならん。多分帰ってくるぞ、他の出店はせいぜい袋2か1だ」
「まさか」
「……さてジュナサン、気づいているか?」
「な、なんだよ?」
「今ここに、使いが来ておる」
「?」
「気づいていないか?精霊の使いか、アシュリー王の使いが来ておる。出店の皆、気づいて、ワクワクしているのだが……眷属かの?」
「な、なに言っているんだよ!オヤジ!」
あ?アシュリー王!?
王さまの?名前!?
名前、ゲットォ!!!!!
どこだ!?そのお使い!
精霊か、王さまのお使い?
次回投稿は 2023/03/28 夕刻の予定です。
サブタイトルは 王都を歩く2 です。
お話、263話にして、やっと出ました王さまの名前。




