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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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【第52話】 学校行きます、と言ってみた

投稿です。

 部屋には、夕飯が用意してあった。


 それも大量に。


 こんなに食べれるかな?

 アイお姉ちゃんや、ミンお兄ちゃんなら食べそうだけど。


 施設の食堂は、嫌な思い出しかない。

 清掃員さんが来てからは変ったけど。

 この孤児院の食堂で、チビちゃん達とご飯、食べれるかしら?


「温めなおすね」


(え?そのままでいいよ?)


 こんなに沢山、大変では?


「暖めた方が、美味しいよ、ちょっと待ってね?うち、暖めてくる!」


 嬉々としてトレーに料理を乗せ、部屋を出て行くエノン。


 ああ、ご飯が行ってしまう……。

 いや、もうお腹空きすぎて、痛いくらいなんだが。

 うう、自業自得だね。


 誰だ?


 カチッ。


 ドアが開いて現れたのは、シンお姉ちゃんである。


「明季、6時まで、いいな?」

「……アン」

「まあ、反省しているようだな?」

「……アン」

「学校、どうする?決めたか?」


 行くしかあるまい。


 まどかは……おそらくいないだろう。

 感だけど。


 でも、このままではいけないって気がする。


 この世界や、ホルダーについて調べたい。

 炎の巨人さんについても。

 秘のゴブリンが伝えてきた『警戒』も気になるし。

 センバ団長とも、組み手をしてみたい!


 問題がないわけでもないけど……。


 ちらりと、シンお姉ちゃんを見る。


「ん?どうした?明季?」


(シンお姉ちゃん、何年何組?)


「二年3組」


(一年生じゃないの?)


「本当は四年生でもいいらしいが、料理を基礎から学びたいからな、二年生になった」


「くぅ~っん」


「一人はイヤか?」


「アン!」


「だよなぁ、いつも誰か側にいたし、だが、今回ばかりは……」


 あ、エノンの足音。


「ごはん!あ、シン!シンも食べるか!?」


「少し貰おうかな、エノンのご飯は美味しいし」


「うふふ、うちのご飯、おいしい!」


 学校は怖い。


 みんな笑うだろうか。

 でも、行きたい。


「どうしたの?うちのご飯、合わなかった?」


(あ、そんなことはないよ、おいしい。学校のことで……)


「……」

「……」


(が、学校行きます)


「そうか、明季、明日、学校行ってみるか?」


 ええ?


「その格好で覗いてみるといい、意外な発見があるかもしれんぞ?学校に限らず、王都の散策だ」


 いや、そうじゃなくて!

 入学にことで!


「うちも付き合いたいけど、明日、買い出しで忙しいし」

「朝ご飯、沢山食べて夜まで王都を見て回る。怖かったり、寂しくなったら、すぐに帰ればいいし、どうだ?これなら一人でも行けないか?」


 折角、意を決してのセリフなのに!


 ふっ、と誰かが笑った。


 嘲笑ではなく、子供を見て、微笑むような笑いだ。

 誰だ?今笑ったの?エノンも、シンお姉ちゃんも気づいていない。

 かなり遠くから私を見ている感じだったけど?


 ステータス画面に小さな光りが点滅している?


 ……あ、これ、秘のゴブリンだ。

 明日、遠目で付き合ってやると?……過保護すぎないか?

 でも、それも、いいかも。


 前前世の記憶が邪魔して、知らない王都に一人なんて厳しい。

 社会人していたけど、あの時は、ナツやルカトナ達がいたしなぁ。


 いざとなったら、走って逃げるか。


 今の私、わんわんだし、それも獣人族の!


 捕まって保健所とかないよね?


「アンアン」


「お、頑張ってみるか?じゃエノン、明季の朝ご飯、肉山盛りで」


「わかった、うち、早起きして作るね」


 ……少し、頑張ってみることにした。

 入学のことは、改めて伝えるか。


 夕ご飯を食べ、ベッドに乗る。


 あ、シンお姉ちゃんが何か話し掛けている。

 内容が分からん!聞き取れない、なんで?


「明季、一緒に学校行こうよ、お前と学校に行きたい」


 スピー。


 あ、眠いのだ。

 ごめんなさい、シンお姉ちゃん。

 もう無理。

 なんて言ったの?


 私はスイッチを切るように寝てしまった。


 夢は見ない。


 まだ、魔力が足りないのだろうか。


 鳥の声、雀だな。こ世界にも雀がいる。

 犬も、猫も。

 比較研究してみるのも、おもしろいかも。


 ……焼肉?


 いい匂い。

 昨日の夜、あれだけ食べたのに、お腹減るの?


 目をあけて、手の肉球を確認。まだ、ポメのままだ。


 そして大きな欠伸を一つ。


 シンお姉ちゃんは……いない。


 カチャリ、とドアが開く。


「お、起きていたな?さ、ご飯だ!」


 シンお姉ちゃんとエノンがニコニコで、大量の朝ご飯(肉)を搬入する。


 え?お顔も洗っていないよ?歯磨きは?トイレは?


 手のひらとか、足の裏とか汗の臭いが漂っているし、体臭もキツくなっている気がするんですけど?


 人族の、女の子の記憶が、前前世の記憶が邪魔をする!


 朝から、こんなに大量のお肉、胃もたれしない?


 そう……獣人族はタフなのだ。


 清潔感がないとは言わないけど、人族の清潔感とは、ちょっと違うのだ。


 これが、時と場合によるけど、耐えられないっ!


「どうした?一緒に食べようぜ!」


 そして、目の前のご飯の山を見ると、獣人族としての本能が優り、全て忘れ、何も気にせず、いただきまーす、となる。


「アンアン!」


 次々に3人の胃袋に消えていく大量のお肉。


 噛んでる?噛んでる?エノン、シンお姉ちゃん、お肉ちゃんと噛んでいる?

 お肉は、飲みのもじゃないよ?


「おい、明季、ちゃんと噛んでいるか?」


 は?


「そうだね、シン。明季くん、ちゃんと噛まないと」


 えええっ!?


 私!?


 いやいや、そこはあなた達でしょう!?


 賑やかな朝食が終わると、シンお姉ちゃんに、お風呂に誘われる。


「明季の旅立ちだからな、お風呂で綺麗になって出発するか」


 大袈裟な。


 でも、昨日がエノンで、今日はシンお姉ちゃんとお風呂!?


 もと、ゴブリン男子としては、夢のような世界では?

 獣人女子としても嬉しい。


 そして私は今、シンお姉ちゃんに抱っこ状態。


 ああ、癒やしの波に、癒やされる。


 そしてお風呂場到着。


 あ、どきどきしてきた。


 ガラッ、と扉を開けると、そのまま水風呂に放り込まれた。


 どぽーん。


「ちゃんと洗えよ?お皿洗ってくる、エノン一人じゃ大変だからな」


 エノンの有り難みが、身に凍みる。


 まあ、これが獣人族の日常だろう。

次回投稿は 2023/03/27 夕刻くらいです。

サブタイトルは 王都を歩く です。

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