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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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【第49話】 話が聞きたい

こんにちは。

お昼の投稿です。

 名前違うけど、声、同じだ。


 忘れたことのない声。


 あなたの教えた技の数々、それで生き抜いてきました。

 どれだけ、私が、皆が助かったか!

 魔獣ラグナルも、氷獣も、今この時も!

 ローローとネーネーから学ぶ時でも、あなたの教えがあったから最初の一歩が進めた。


「話が聞きたい」


 私も話が聞きたい!


「なんのお話?長くなるなら孤児院でする?うち、晩ご飯の用意あるんよ」

「ドラゴンとあの巨大なゴーレムについてだが」


 ん?視線が?


「センバ?うちのラッキー気になる?チラチラ見てるけど?」

「兄貴は、猫好きの、犬好きだからな」

「日を改めるとするか、また連絡するよ」

「うちは、いつでもいいけど」

「だ、団長、お言葉ですが、あのゴーレムの件は急ぎませんと……」

「ん?ご飯の用意だぞ?家族の団欒を邪魔してはいかん。それは無粋だ。帰るぞ」


 そう言って、私の頭を軽く撫で、現れたときと同じように、ふっ、と闇に紛れて消えてしまった。


「ジェイ、お話よかったの、しなくて?うちとの会話でおわったよ?」

「話すこと、ねーし」


 あれ?


 また戻ってきた!?


「団長?」

「いや、この子犬、無性に気になる」


 なでなで。


「うふふ、うちのラッキー、可愛いでしょう?」


 エ、エノン、恥ずかしいよ。


 亜紀としては、可愛いなんて言われたことないし。

 阿騎の時はあった。


 リュートお母さん、可愛いって、よしよしって、いつも言ってくれた。


 まあ、衝撃の一言もあったが。

 今は、坊やじゃなくて、女の子だし……。


「うむ、それに賢そうだ」


 なでなで。


 いや、それほど賢くはありませんよ?


「では、また来る」


 なでなで。


 そう言って、今度こそ帰って行った。


 ……ちょっと、若かったかな?

 20代前半?若い田崎さん?

 いや、田崎さんは若いんだけど。


 これはどうしたことか?


 炎の巨人さんが、仕組んだことだろうか?


 勝て、とか言っていたような?


 秘のゴブリンも、何かあるのでは、と警戒していたし。


 これは、入学するか?

 他に選択肢が、ないような気がする。


 ……いやになったら、東の砦まで走って逃げよう。


 亜紀と違って、明季は丈夫だ。


 長距離、楽に完走できる。


 はい、私はヘタレのこんじょーなしです。


「ジェイは寄っていく?ご飯、食べていく?」


 お、エノンのお誘い。

 おいしいいぞおおぉ、エノンのご飯は。


「いや、折角のお誘いだけど詰め所に向うよ。ジュナサンも来たみたいだし」

「センバから、ゴーレムのこと、聞かれたらどうするの?」

「喋ることは何もない、ン・キングに聞けって答えるよ。明季くんについては、誠実な戦士、かな」

「ふーん」


 え?私、誠実なの?


 誠実とは?


「入学するなら、兄貴は武術の非常勤講師だ。明季くんとの組み手、楽しみだな」


 組み手!?


 田崎さんと?

 いや、私の知っている田崎さんと、この世界の田崎さんは違う。同じではない。


 同じではないんだけど……。


 どうしても、炎の巨人さんは、私に入学、通学して欲しいようだ。


 まさか、まさかとは思うけど……。


 まどかはいないよね?


「クラスって力量で分けているの?うちらの傭兵団みたいに?」

「え?クラス?うーん、学力かな?あと知識と魔力でクラスを分けている。自然と集まってくるんだ。明確な基準はないよ、クラス間の移動や、学年移動は簡単な試験でできるし」


 試験?


 あやしいなぁ。

 私は、まずは読み書きからだな。


 ん?変な足音が近づいてくる。


 これ、ジュナサンだ。


「おーいジェイ!今、『闘』に会ったぞ!すんげー迫力!お前の兄貴、何食って育ったんだよ!」

「かーちゃんの愛情ご飯」


 お、誇らしげ。


 いいなぁ、お母さんを自慢する男の子。

 もと男の子としては、その気持ち、わかる。


 リュートお母さん、今でも大好き!

 大切な思い出。


「じゃ、ジェイは愛情足りなかったのか?」


 こっっのおおお馬鹿者!


「ワンッ!ワン!グルルルルッ!」


「ひっ!な、なんだよ!こいつ!飼い主の躾がなっていないぞ!?」


 躾だと!?あなたはどうなのよっ!


 放せ!エノン!こいつ、噛みついてやるんだからっ!


 あ、人の気配。


 ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり!


「うがぎゃあああああああああ!ふ、ふ、ふく副団!そこ!さ、さっきのところ!いいいいたいですううっ!」


「キサマの方が躾、足りないようだなぁ?ああああん?久々に切れたぞ!」


「なぁ、なんで、ここにいるんですかぁあああ!いででででっ」


(こ、こいつ!一日二回もおしおきだとおおおおっ!)

(許しがたし!)

(副団長をキレれさせるとは、こいつ!わざと!?わざとだなああっ!)


「愛だ、部下に対する愛情だ」


(((愛!)))


 いや、面白半分でついてきたのでは?


 ん?視線を感じる。ふと、孤児院に目を向けると、窓に子供達がビッシリへばり付いている。


(エノン先生、ご飯食べたよ)

(シンお姉さまのごはん、硬い)

(でもお肉は美味しい、あんなに、たくさん)

(わんわん、見つかったみたい)

(なになに?うわぁ騎士団だ!あの紋は?)

(あれ『闘』?違うみたい『翔』かな?)


 子供達が、いっぱい。


 可愛いな、だけど。


 施設には、嫌な思い出しかない。

 私にとって施設は重い場所だ。

 イヤで、嫌いで、恐怖すら感じる。


 氷獣や魔獣と同等、いやそれ以上の嫌悪感も感じる。


 でも、ここの先生はエノンと傭兵団。

 あ、あと学校のボランティアさんもいるって聞いた。


 エノンはいじめを、許さない。

 コロ叔父さんも。


 私は、あの子供達に向き合えるかな?


 私に必要なものってなんだろう?

 進む勇気か?違う、そんなのではない。


 飛び込んでみるか、あの中に。


 ぴょん!とエノンの腕を離れ、孤児院の窓を目指す。


次回投稿は 2023/03/25 お昼くらいです。

サブタイトルは オーク屋のクッキー です。


第257話 ペロ いいね、ありがとうございます。

励みになります。




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