【第48話】 学校どんなとこ?
本日お昼の投稿です。
「家族か、それはすまん。夜間外出禁止は解けたが、まだ商工会の残党がいるかもしれん、早めに帰りなさい」
「わ、分かった。そうする!ピア、見回りご苦労さま!」
「見習い、ジェイ、ジュナサン!」
「はい」
「はい?」
「孤児院まで送ってこい、その後は詰め所で待機」
「え?ピア副団長、氷のエノンをガードですか?」
やっぱり、あの二人だ!
ぐりぐりぐり。
あ、ジュナサン頭ぐりぐりされている。
「いででででででっ!ギブ、ギブ!ギブですぅ!副団!」
「あ・な・た・は、日の暮れた夜道を、一人で返せというのですか!?子犬を抱きしめた女の子を!そこに強さは関係ありません!そ・ん・な・ことだから、モニが振り向かないのよ!」
「を、おう、おいっ!ジェイ!笑ってないで助けろよ!」
「なぜ?教育的指導タイムだろ?ご褒美じゃね?」
(くっ、副団長のぐりぐりだとぉ!ぐりぐりだぞ!)
(あ、あの新人見習い、ゆ、許せん!なんというご褒美をっ!)
(俺達は、今更ミスはできない、が、あいつ、副団長、自らのお仕置きだと!?)
……一部、変な思考が聞こえてきたけど、無視するとしよう。
「モ、モニは関係ないでしょう!ふ、副団長ぉ!」
「口答えするかぁ!そこは、素直に『はい』でしょうが!」
ぐりぐり×5セット。
「おがっっぎぎぎぎっくえええっ!」
(((あいつ許せん!副団長を独占しおって!)))
こ、ここの騎士団、大丈夫か?
いろんな意味で、怖いんですけど。
「副団長、先に行きます。エノンさん、行きましょう」
「うん、ありがとう」
ん?
ジェイくん?
お顔、赤い?
てくてく。
無言である。
ジェイくん?何かお喋りしないの?孤児院、着いちゃうよ?
「ジェイ、学校ってどんなとこ?」
「え?」
「うち、学校、興味あるんよ」
「え、あ、学校は……戦いの場所です」
え?
戦いとは?
「バトルするのか!?」
「い、いや、えーっとそうじゃなくて、いろんな意味で、広い意味で、です」
「?」
それから、関を切ったように、流れる水のように話し始めた。
色々な種族、年齢、文化、が交差しているところ。
それぞれを理解し、学ぶところ、飛び級も、退学も、落第も、なんでもあり、の戦いの場所だそうだ。
「明季くんのために、聞いているのですか?」
え?
「うん、学校に入学するか、どうか、迷っているから」
え?
「学校は、色々なことが学べる。入学すべきだ」
ジェイくん?
「行きたくても、いけない奴もいる。学校でいい成績や、姐さんやドロトンみたいに実績を残せば学費免除どころか、開発、研究援助もしてもらえる。ティーみたいに本格的な商売も認められている」
「ニトも?」
「ああ、ニトもだ。見習いどころか、立派な薬師だ。実はあいつ、戦っても凄い。知っていましたエノンさん」
「ニトは薬草採取、依頼の度に、その護衛に剣や弓を教わっていた」
「え?ニトが?」
「彼は、努力の人なんよ」
あ、孤児院見えてきた。
「明季くんは、あれだけの身体能力に、歌も歌って、クリスタルを消したとも聞いた、凄い才能だ。うらやましいよ。彼女は世界を広げるべきだ」
ジェイくん、じつは熱い?別に、学校行かなくても、世界は広がるよ。
でも、エノン、嬉しそう?
「明季くんが話題になると嬉しそうですね」
え?
「うふふっ、ま、それはね。うちの大事な家族だし、誉められると嬉しい」
「身内かぁ」
お?ジェイくん、溜息?
「ジェイの兄貴さんは確か?」
「そう、騎士団『闘』の団長。身内にとんでもないヤツがいると困るよ。いつも兄貴と比べられて」
「闘の団長は、戦場で勇者や魔王の眷属達がスカウトするくらい強い。うちも何度か一緒に戦ったけど、団長は人族よりもうちら、獣人族に近いよ。いや、うちら以上だね、あの強さは」
え?そんなとんでもない人物がいるの!?
エノンが認める、獣人族以上の人族!?
「そんな、兄貴と比べられてもねぇ、溜息しかでねーよ!だって、英雄の称号持ちだぜ?」
「でもピアはそんなことしないよ、比べるとか?うち、知っているよ、ピアはいいヤツ」
「……」
「ん?なに?ジェイ?」
「エ、エノンさんも、いいヤツだよね」
「え?うちも!?うち、いいヤツ?じゃ、ジェイもいいヤツだよね、うふふっ」
……なんだ?なにかモヤモヤする。
私は何を見せられて、聞かされているのだ?
これは嫉妬か!?
ジェイくんと目が合う。
心なしか、ジェイくん、紅葉している?
あ、目、逸らした!
も、もしかして、ジェイくん、エノンに懸想しているのかっ!?
しているんだなっ!?
グルルルルッ!
「ん?どうしたの、ラッキー?ジェイはいいヤツだよ?」
「え?俺、何かしたか?ラッキー?仲良くしようぜ?」
(お前もエノンさんのこと好きなのか?残念だったな、エノンさんには明季くんっていう、強くてかっけー婚約者がいるんだぜ。ああ、俺も強くなりてぇ)
エノンを狙っている、というよりも、憧れている?
ん?違和感!
誰か、いる!
誰だ!?
「誰?」
エノンが立ち止まる。
すっ、と腰の剣に手を掛け、エノンの前にでるジェイくん。
……ちょっと格好いいぞ。
もちろん、その剣は魔力を帯びた純鉄の剣。
「私だ氷のエノン、抜くなよジェイ。その剣は切れすぎる」
この声、聞いたことがある。
誰だっけ?エノンの知り合い?ジェイくんも?
3人共通の知り合い?いたっけ?
闇の中から現れたのは、長身の騎士三名。
ピアさんと同系統の鎧を纏っている。
「久しぶりだな、ジェイ」
「あ、兄貴!」
!!!!!!!!!!!
そのお顔を見て、私は呼吸を止めた。
なんで、この人が、ここにいるのだ?
この世界に!?どういうことだ!?
いや、あり得るか?私がいるし。
田崎さん!
田崎さんだあああああっ!
「センバ、うちに何かご用?」
センバ?イチバじゃなくて?
でも、この容姿は!
次回投稿は 2023/03/24 お昼くらいです。
サブタイトルは 話が聞きたい です。
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