【第47話】 ペロ
この時間になりました。
もはや朝刊とは呼べませんね。
昼刊?
投稿?
……どうしよう?
美観、座り込んで泣いている!
私が思っているより、年齢が低い?
何歳だ?年齢が分からん!
中学生?高校生?
長寿のエルフ、年齢というか対応が難しい!
こんなに泣くとは。
これは、ちっちゃい子、虐めた気分?
いや、虐めたことはないけど、きっとこんな感じではないだろうか?
とんでもない罪悪感だ。
あ、虐めたヤツは罪悪感なんて感じないな。
それがあったら虐めない。
虐めって何が面白いのだろう?
いじめって、病気ではないのだろうか?
ふと考えてみた。
苦しむ姿を見て、笑う。
憂さ晴らしの対象か?
邪悪だなぁ。
私に酷いことした奴等を、今なら消し去ることができる。
これもね。
彼奴ら消しても、私はこのままだ。
気分は晴れるだろうか?
その時一瞬は晴れるかな?
そうだな、私としては、彼奴らとは二度と、関わり合いになりたくない。
再び、私の前に現れたら、この力、躊躇うことなく使うけど。
どこか、遠い遠い、遙か彼方で、自滅して欲しい、が本音か?
ああ、何を、どう考えても、私の心は癒やされない。
邪魔だな、前世の記憶。
うーん、目の前に、女の子が泣いていたら、わんわんはどうするだろう?
わんわんは、横に座るのではないか?
それとも、正面に座って、お顔を見るだろうか?
取敢えず、考えても分からん!
ああ、そういえば、私も一人よく泣いたな。
あの時、亜紀は、どうして欲しかったかな?
……美観の膝は、気持ちよさそうだ。
よっこいしょ。
座ってやったぞ、さあ、もふれ、特別に許してやる。
「「!」」
そんなに驚くことはないでしょう?
「こ、このワンワン、犬?ゴロゴロ言ってる!」
あ、あれ?そうかしら?
ああ、確かに鼻や喉が鳴っている!
ごごろごろごろ。
ふんふんふん。
震える手で、ちょっとずつ触る美観。
ごろごろごろごろ。
「猫?もしかして新種の犬かしら?」
かもね。
「ごめんね」
よし、とす。
お顔を見上げる。
涙でぐしゃぐしゃだ。
……どうしてくれよう?
ぺろっ。
「きゃっ」
悲しい涙の味だ。
涙には種類がある。
そして、それぞれ味が違う。
悲しい涙、悔しい涙、苦しい涙。
味が分かるくらい涙を流した。
ああ、嬉しい涙もあったな。
この味だけは知らない。
「へへっ、許してくれたの?」
なんか、アイお姉ちゃんに似ている。
アイお姉ちゃんを紹介したいな。
この二人、すぐお友達になりそう。
それとも、混ぜるな危険、かしら。
「エノンさんや明季くんも、許してくれるかな、ペロ?」
?
ペロ?
「ええっ?クッキーだよ!」
「いや、この子、ペロ!決定!」
……二つ名か?
ん?まて、今、何時なの!?
「ん?玲門、ペロ、そわそわし始めたけど?トイレかな?」
「もしかしてクッキー、お家が恋しくなった、とか?」
は、早く帰ろう!
「あ、そんな気がする。帰ろうか」
「取敢えず、王都まで帰ろう!」
そっと私を抱き、妖精の走りで、飛ぶように帰路につく二人。
うわあぁ早い!らくちん!
城門をくぐり抜け、あっという間に到着。
「美観姉さん、クッキーどうする?」
「オーク堂で買ったクッキーについてきたから、まずは……」
じゃ、また!
ぽん、と腕から離れると、私はダッシュで孤児院を目指した。
絶対6時過ぎてるぅ!
「え?」
「一直線に西区に向っている?」
「大丈夫、っぽい?」
「わ、私達もいそいで帰ろうか」
「そ、そうね」
「玲門、明日も来るかな、ペロ」
「クッキー買って、エルフの丘で待っていれば来るかも」
ふふっ、確かに聞いたぞ。
明日もあの美味しいクッキー、いただき!
でもその前に。
このまま帰ったら、マズくないか?
玲門、美観シスターズとクッキーの匂い、バレるよね?
ど、何処かに川か池、水場はないかしら?
姑息かな?
浮気した男の人って、こんな感じかしら?
ん?いや、そもそも気にする人は浮気なんてしないのかな?
水の匂い!こっちか?
あ、噴水!
そこはライトアップされた噴水公園?
なにやら立像が乱立している。
辺りに人影は無し、飛び込むか!
ドボンと飛び込む、中を泳ぎ回る。
匂い、取れるかな?
「ふ、副団長!誰か溺れているようであります!」
「なに!」
え?
溺れている!?
わっ!
がばっあああっと、水中から引き上げられる私。
「アンアン!」
なに?なに?誰?この人?
顔中髭だらけのおじさん。
「副団長!子犬でありました!人ではありません!」
「子犬だと?どれどれ?」
あ、ピア副団長だ。
「これはまた可愛い子犬だな、気に入ったぞ!騎士団で飼うか?」
「「「賛成であります!」」」
ちょっと待ったああ!
は、反対っ!
横暴です!
飼い主も確かめないで!
ピア副団長以下、七名?
あれ?あの二人は?
明らかに軽装の異質な人物が二名混じっている。
「そ、それ、うちの犬!連れて行かないで!」
あ、エノン!
ぱしっ!と腕を蹴り、エノンにダイブする。
「どこ行ってたの!?うち、心配したんよ!」
ご、ごめんなさい!
「アン!アンッ!」
ちょっと冒険を。
「まあ、その様子からすると、エノンが飼い主か。孤児院で飼っているのか?名前は何という?」
ピア副団長、犬好きかしら?凄く残念そう。いや、悔しそう?
「な、名前は……き」
「ん?き?なんだ?」
「ラ、ラッキー」
「ラッキー、可愛いなぁ騎士団に献上しよう、とか思わない?」
じり、じり、っと寄ってくる。
「おもわないっ!うちの大事な家族!」
次回投稿は 2023/03/23 お昼くらいの予定です。
サブタイトルは 学校どんなとこ? です。
総合評価が3桁になりました。
読者の皆様、ありがとうございます。
とても嬉しく、励みになります。
この評価を下げないように、頑張りたいと思います。




