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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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【第46話】 クッキー

おはようございます。

朝刊です。

「アンアン!」


 油断した!

 逃げられるかな?


 無理して、飛び出すと、怪我する?

 獣人族、怪力だし。

 なんせ三毛猫が、氷獣を倒すくらいだ。


 ちょっと暴れてみる。


「そ、そんなに暴れないで?クッキーあげるから?ね?」


 クッキー!?

 

 う、思わず動きが止まる。


 そっと、優しく降ろす美観さん。


 ん?箒?清掃活動かしら?

 周りのエルフ達も?

 何かのボランティア?


 二人ともしゃがみ込み、私の頭を撫で始めた。


「この子、どこの子?絶対飼い犬だよね?」

「そうね、毛並み、凄い!ふわふわのモコモコ!くせになっちゃう!」


 え?

 そうなの?

 別にブラッシングはしていないけど?

 そう言われると、私も撫でてみたい。


 玲門さんは可愛くラッピングされた袋から、クッキーを一つ取り出し、じっと私を見る。


「食べる?」


「フンフンフン、プププッ」


 あ、興奮して変な鳴き声になってしまった。


「わっ、この子かわいいなぁ、ププッ、だって!」


 そう言って、手のひらにクッキーをのせる玲門さん。


 わぁ、凄い素直な笑顔だ。


 ストレートに愛情を感じる。


 勘違いしないようにしなければ。この笑顔は、私に向けてだけど、ポメに対してだからね。

 私であって、私にではない。


「どうぞ?」


 あ、これ、可愛い!

 お花の形のクッキー!


 ではっ!

 

 手を傷つけないように。

 ぱくぱく、がりがり。


 うんんめええええええっ!


 おいしいいいいっ!


 ク、クッキーが食べられる日が来るなんて!


 ぺろぺろ、身繕い。


 あと一枚、くださいな!


 もう終り?


「まだ食べる?もう一枚どうぞ」


 ぱくぱく、がりがり。


 うんんめええええええっ!


「それ、食べてしまうか?玲門」


「そうね、明季くんのお見舞いだったんだけど、受け取ってもらえなかったし」


 え?


 エノンか?


 こんな美味しいクッキー、断ったの?


 そこまで嫌っているのか?エノン?怒っている?

 これ、私、食べてよかったのか!?


 身体を起し、じーっ、と玲門さんを見上げる。


 あと一枚、くださいな!

 

 ん?あ、リュートお母さんの新作だ。

 かわいい!ストライプ柄だ!


 ばっ、とスカートを押さえる玲門さん。


「の、覗いたでしょう?見ましたね!?」


 いえ、私はワンワンです。

 覗いてはいません。

 見えてしまうのです。

 小さいから。


「え?もしかしてこの子、男の子!?」


 あ?え?


 ひょい、と私の両脇に手を入れる美観さん。

 抱き上げられ、だらーんと脚が伸びる。


 ?


「女の子みたい」


 !!!!!!!!


 ぶ、無礼者!不届き者!ど、どこを見ておる!


 ひどい!ひどい!ひどいっ!


「キャン!キャン!キャン!ウゥーゥ!」


 腕を振りほどき、猛ダッシュで逃亡!


 美観ひどい!

 近づいた私が馬鹿だった!


「あ、待って!待ってええっ!」


 誰が待つか!


 確かに、私、今、犬だけど!犬だけどおおおっ!

 こ、これは耐えられないっ!


「……美観、突然、ひどいよ」


「やっちゃった……なんでいつも、私ってこうなんだろう。明季くんの時も、酷いこと言っちゃうし……連れ込むなんて」


「探しに行こう!」


「え?ボランティア清掃だよ、サボるの玲門?」


「クッキーが先よ!もうサボってるし!」


「そうね、玲門、ちょっと待って、魔力感知で……いた!森の方!」


 さすがに、逃げられないか。

 どうしよう?


 足音が近づいてくる。

 さすがは森のエルフ、脚、早っ!


 このまま王都まで走るか?

 いや、全力で走ったら、普通の犬ではない、とバレてしまう。


「見つけた!おいでクッキー」


 え?クッキー?

 クッキーか、名前つけられてしまった。


「大丈夫か?逃げたりしないか?」


「大丈夫みたい、ほら見て、尻尾、振っている!」


 え!?尻尾、揺れてるの!?

 わ、わたし、このエルフさん達が好きなの!?


 と、油断しているうちに、玲門さんに捕獲されてしまう。


 グルルルルルゥ。


「な、なんで私には唸るの?」

「だって美観姉さん、女の子にあれはないでしょう?」

「え?犬だぜ?」

「まず謝ったらどうかしら?」

「犬に?」

「クッキーに!」


 グルルルルルゥ。


「ごめん」


 え?それだけ?


 ワンッ!


「きゃ!」


 びっくりする美観さん。


 簡単には許してあげないんだから!


 グルルルルルゥ。


「おい、玲門、こいつ本当に犬か?獣人族とかじゃないよな?」


 うごっ!?

 バ、バレたっ!?


「まさか、こんなに小さいのに?いくら獣人族でも、この小ささは無理だよ」


「だよなぁ……なあ玲門」


「な、なに?」


「こんな感じでさ、明季くんも、私を許してくれないのかしら?」


 !


「え?そ、それは……」


「私さ、がさつだし……思ったことすぐ口に……だ、出すし……あ、後先、か、考え無しで……う、うぐっ……うわあああああん、嫌わないでくれよ!なんで咆えるんだよ!あやまったじゃんかぁエノンのばかぁ!なんで会わせてくれないんだよ!毎日謝りにいっているのにぃ……うぐっ、うぐっ、うわああああん」


 え?えええっ?

 な、泣いちゃった!?


次回配達は 2023/03/22 お昼くらいです。

サブタイトルは ペロ です。

毎日投稿の予定ですが、投稿時間が変りそうです。

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