【第43話】 学校どうする?
号外です。
ぐうううううっ、きゅるるるるるっ。
空腹である。
女の子としては、この音、とても恥ずかしい。
まさか、この音で目が覚めるとは。
あれ?天井が見えない?
どうしてだ?あ、変な寝相している。
ん、いつもより、視覚がおかしい。広く見えるぞ?
何だろう?このお部屋、お花の匂いでいっぱいだ、シンお姉ちゃんの匂いも?
横を向くと、シンお姉ちゃんと目が合った。
「やっと起きたか、ご飯にするか?いや、風呂が先か?」
と、とりあえず、ご飯がほしいですっ!あとお水!
「アン、アン!」
え?こ、声が!?
手に肉球がついている!
いや、これは??
あ、私、ポメ?
今、私、ポメラニアン・バージョンだ!
なんで?
満月はまだ、先のはず。
するり、とお布団から抜け出るシンお姉ちゃん。
パンツだけ!?
え?
「ここは孤児院だ」
着替えをしながらシンお姉ちゃんが話し出す。
背中の筋肉、凄いなぁ。あ、お尻の黒子、めっけ。
「おい、話聞いているか?」
「アン、アン」
「ゾンビの襲撃から三日経っている」
ええっ!?
三日?そんなに寝ていたの?
「明季の獣化は防衛本能だとさ、ニトに見てもらったんだ」
う、ニトお父さんに?
なぜか、恥ずかし。
「魔力の使いすぎ、技の使いすぎだ。そこで、一番安定する姿に、魂魄が意思を無視して、獣化を選択したらしい。ニトは、本能の判断と言っていたな」
「アン、アン」
「おい、ちゃんと聞いているか?視線ばかり感じるんだが?」
「アン」
「人バージョンには魔力と魄が安定すると、戻るらしい。時期、上昇期だ、それまでその姿だ」
あ、お着替え終わった。
普段着ってああやって着るんだ。ブラはスポーツブラっぽいな。
「下着に興味があるのか?これは、リュートの新作だ。着けた感想をあれこれ話すことになっている。刺繍やフリルのついた可愛い仕上げもあるらしい」
おお、要はモニターか。
リュートお母さん凄いな。
ん?三日?試験発表終わっている!?
「アンアンアンアンアンアンアンアンアンアンッ!」
「うるさいっ!なんだよ急に!?どうした?」
これは、どうコミュニケーションしたらいい?
今の私に、念話できるのだろうか?
「あ、試験か?」
「……クゥゥン」
「おい、可愛い声だしても結果は変らないぞ?」
で?
「喜べ、二人とも合格だと」
「……」
「おい、どうした?」
「……」
ご、合格?なんで?
筆記試験、ほぼ白紙だよ?名前も間違っているし。連絡事項も無視したし、合格要素は?実技?ゾンビ討伐?しかし討伐は試験と関係ない。あれは一緒にしてはいけない要素だ。
「筆記試験の実施は、商工会の圧力らしい。人材を減らすためのな」
え?
「学校側は、建前だけの筆記試験で、白紙でも筆記試験の受験者は、全員合格にする予定だったんだと」
え?
「今回の件で、商工会は消滅、無くなった。以前より、王都や学校の技術を巡って暗闘が繰り広げられていたそうだ」
え?
どのくらい前からなのだろう?
「ん?首謀者はダークエルフ一族らしくて、数百年単位で、王都の支配を目論んでいたそうだ。まずは教育機関を狙ったらしいが、これが百年単位で手こずって、致命傷になった」
今回で一掃できたと?
「私達、獣人族の参戦は、精霊の導きだと一部で言われているぞ。まあ事実は、入学試験を受けに来た、だけなのだが」
だよね、シンお姉ちゃん。
周りを見てみる。
お花がいっぱい。
これは?
「花か?リュートやホッシー達だ、生徒会も来たぞ。ドロトンはン・キングと一緒に東の砦に行った。それとあの五人組もな。護衛はミミとアラン、コロ叔父さんだ。アイもフーララ達も戻った」
うわっ、皆にお礼が!いろんな約束もした気がする。
どうしよう?
「今度、会った時でいいぞ、ただ、あの巨大ゴーレムは放置してある。満月期に再起動するとキング・オーが、言っていたが、明季、あれ、お前のだろ?キング・オーが満月期に回収に来るらしい」
コンコン。
ノックが響く。
「うちだよ、開けるよ?シン」
「ああ、いいぞ」
ギギッと軋む音を立て、開く扉。
エノンと目が合う。
「アン!」
一咆えする。
ドバッと涙が出るエノン。
よろよろと歩きより、私を抱き上げる。
「よ、よかった!元気になったんだね!う、うち、心配したよ!」
ごめんよ、エノン。心配掛けたね。
「あの生徒会二人が原因だって、エノンが切れてね」
「シ、シン!う、うち、切れてない!冷静だった!」
そう言って私を抱きしめるエノン。
「生徒会の名物姉妹、毎日見舞いに来ているだろ?」
「あいつらとお話ししてから、明季くんおかしくなった!絶対明季くんに酷いこと言っている!」
ペロッ。
涙を舐める。
「きゃっ!?」
ペロペロペロペロッ!
今はこれしかできない、許せエノン。
ぐうううううっ、きゅるるるるるっ。
「身体の割にはデカい音だな、明季?エノン、ご飯の用意いいかな?まだちょっと明季と話がある」
「うん、分かった!うち、ご飯の用意するね!」
優しくベッドに私を置くエノン。
あ、頭撫でた!
……心地よし。
パタパタと足音を立て、部屋を出て行く。
「おい、明季、エノンを泣かすなよ?」
「……」
ごめんなさい、エノン。結果そうなってしまう。
でも、毎日お見舞い?あの二人が?
「学校、どうする?私は入学手続き、済ませたぞ」
うげっ!
えええええっ!?
ど、どうしよう?
「どちらにしろ、人バージョンにならなければ、手続きは無理だな、それまで考えとくといい」
学校の情報が欲しい。
試験受けて、ゾンビ討伐して、ニトお父さんやリュートお母さんには出会えたけど、学校の内容、修学内容が、いまいち不明だ。
私の知っている学校とは違うみたいだし。
次回配達は 2023/03/20 朝7時ころの予定です。
サブタイトルは 学校どうする? 2 です。




