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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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242/406

【第32話】 筆記試験は、どうなるの?

おはようございます。

朝刊です。

 人族で四十歳くらいだろうか、髪は油でテカテカで、目は血走って、怒りでギラギラとしている。


 服装は綺麗なのだが、お酒とたばこの臭いが酷い!

 お顔も赤いし、ぜったいこの人酔っている!


 私の受験生、新入生のイメージではない。

 清潔好きの獣人族としては、関わり合いたくない人物だ。


「サイモ、貴殿はそういう心掛けだから、柱は光らないのだ」


 試験官の一人が窘める。知人か?


「飲酒しての受験か?」

「俺の勝手だ!」


 酔っている。

 お酒飲んで受験?いろんな人がいるな、この世界。


 いや、お酒飲んで、試験受けてもいいのだ、この世界は。

 それでもあの柱、光るときは光る気がする。


 酔っ払いサイモは、あろうことか、剣に手を掛け滑らせた。


 私は後ろ手に、朱槍を握る。


 キンッ、と響く金属音。


 凄い技を見た。


 酔っ払いサイモの剣を封じたのは、私ではなく、試験官さんだった。


 この試験官さん、剣の握り手を切ったのだ!


 グリップで分断される剣。


 切られた剣の握り手、グリップを見つめるサイモ。


 これでは、剣は抜けない!

 グリップが切られて、無いのだ。


「き、き、きさま、俺の剣を!」


「次は手首をもらう」


「!……なんだと」


「手首の次は、首をもらう。剣を抜く、と言うことはそういうことだ。帰って頭を冷やせ、それとも続けるか?」


 周囲のざわめきが消える。


「どけっ!」


 荒々しい声を発し、校門から出ていくサイモ。


「さて、今の歌は、私のこの技と同等である。合格者よ、諸君らもだ。不合格者よ、諸君には、他に進む道がある、と精霊が言っている、その道を進まれよ。不合格者、解散」


 !


 この試験官、学校の先生だよね?

 どんな授業、するのかしら?


 私が、熱い視線を送ると、私にだけ聞こえる声で、彼は呟いた。


「あ、俺、生徒な。先生じゃないからね、よく間違えられるけど」


 ええええっ!?

 その貫禄で生徒ぉ!?その物言いで?


 先程の声と全然違う剽軽な声だ。


 こっちが本音?


 ならば、こちらも本題だ。


「あ、あの、私の筆記試験はどうなります?」


 ああ、なんとも情けない質問。でも悲しい本音だ。

 なんと答える?


 お願いっ!


「破壊はしていないから、筆記免除は無し。試験は赤く発光したから合格だ。筆記試験は受けてもらう」


 そ、そこを何とかぁ~って無理か。


 ああ、やっぱり人生、そこまで甘くない。

 もしかしたらっ!と思ったんだけど。


「ただ……」


「なんですか?」


「明季くんは、あのクリスタルを消したからな、それにあの発光。学校としては欲しい人材だね」


 そして不合格者は去り、合格者が残った。


 欲しい人材?

 学校というより、企業に近いのか?

 私の学校認識、前前世の記憶だからな、これは邪魔なのでは?


 この世界の学校は、私の知っている学校と違う?


 校舎の窓には沢山のギャラリー。


 大半が、私を見ている。


 今は次の試験に集中しよう。


 ふらふらと、疲れ、シンお姉ちゃんの元へ帰って行く私。


 あ、呆れたお顔している。


「明季、何しているんだ?お前だったら、槍、一突きだろうに」


「……反省しています。なんで、ああなったんだろう?」


「まあ合格したんだ、次、頑張ろうぜ」


 ぽんぽんっと私の頭を触るシンお姉ちゃん。


 ……あ、嬉しいかも、ちょっと元気でたかも。

 受験生は半数以下になっている。


「さて次は組み手だ。これは最初に言ったが、勝つ必要は無い。諸君の身体能力実力を見たいのだ。まず、組み手の仕方だ、よく見ておくように」


 一礼後、二人の戦士が拳で、軽く打ち合う。


 一人はあの剣の達人の試験官。もう一人は……忘れもしない、あの受付だ!


 私に臭いと言った、あいつ!


「君たちの相手はこの学校の上級生、もしくは先生だ。横に審判が2名付く。この審判が止めたら、必ずやめるように。違反した者は即、不合格になる、注意するように。試験を終えたらその場で各自結果発表をする。以上だ、質問はないか?」


 シンお姉ちゃんが手を上げる。

 え?シンお姉ちゃん?


「質問か?」


「シュート家・マ・シーウ・シャンソンだ。相手側がやめなかったらどうなる?どうする?」


「学校側は、必ず止める。そう訓練している」


「もう一度聞く。止めなかったらどうなるのだ」


 え?シンお姉ちゃん?シンお姉ちゃんが拘った?

 答えが気に入らない?


「止めないことはない」


 ムッ、とする試験官。


「分かった。止めなかったら、止めさせていいのだな」


 ひーっ、シ、シンお姉ちゃん?なんでそんな質問を?


「そのようなことにはならない。他に質問は?」


 みな、実戦形式に、緊張しているようだ。


「では、始める」


 ん?シンお姉ちゃん?

 シンお姉ちゃんは、囁くような小さな声で話し掛けてきた。


「あの男だろう?明季に臭いと言った愚か者は」


「え?ええ、そ、そうだけど」なんで分かったの?


「嫌な臭いだ。あいつがもし、組み手の相手だったら、気をつけろよ?」


「う、うん、分かった」


 組み手は順調に進む。


 指導組み手?みたいだ。

 技や、欠点を教えながらの組み手。

 

 中には、結構速い動きもある。

 受験生の実力に応じての組み手だ。

 

 次はシンお姉ちゃんだ。

 

 シンお姉ちゃんはあの達人試験官と、ゆっくり打ち合う。


 二人とも、滑らかな動きで、舞を見ているようだった。


 周囲のギャラリーもうっとりとして、二人の動きを追っている。

 時間にして3分くらいだろうか?


 そしてシンお姉ちゃんが終り、私の名前が呼ばれる。


 嫌な予感しかしない。


「組み手交代」


 無情にも告げる審判さん。


 私の相手は、受付ヤローになった。


 あからさまに嫌なお顔をする、受付さん。


 そしてこの試験でも私がトリ、一番最後。

 まあ、そんな気はしていたけど。


 皆の視線が集まる。


 ああ、やりにくい!


 深呼吸を一つ。


 朱槍をシンお姉ちゃんに渡すと、私は前に出た。


「シュート家・明季です。よろしくお願い致します」


 礼をする。


「軽く打ち合うだけだ、本気、出すなよ?笑われるぞ」


 ふーん、名前も名乗らないのか。

 あ、今、鼻で笑った!


「始め!」


 審判が声を上げる。


 私の実技試験が始まる。


次回配達は 2023/03/14 朝7時頃の予定です。

サブタイトルは ヒートアップ です。

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