【第30話】 入学試験 実技編
おはようございます。
朝刊です。
「あれに、技を当てるらしい」
なんだあれ?
捻った3mくらいの柱?直径50㎝くらいかな?色は綺麗な半透明の青だ。
それが校庭に3本、立てられている。
校庭に集められた私達は、それぞれ試験官の説明を聞きながら、それを眺めた。
全部で二百人くらいかな?4班に分けての説明だ。
教室の窓にはギャラリー。
結構いる。
私とシンお姉ちゃんは4班目で、さらにその班の一番後ろに陣取った。
獣人族の私達姉妹は、ここからでも見えるし、ちゃんと聞こえるのだ。
「実技の試験は二つ、二次試験まである。一つはこの反応柱を赤くすること、もう一つは組み手だ」
組み手?
「上級生と素手で組み手をしてもらう。まずは反応柱だが、これに諸君らの得意な技を使い、赤くしてほしい。手本だ」
そう言って、試験官は剣をすらりと抜き、一閃!
キンッ!
軽い音を立てると、青色の柱が赤く光る。
そして徐々に元の色に戻る。
「魔法でコーティングしてあるから、刃こぼれの心配はい無い。どんなに力を入れてもかまわん」
「それぇ、壊してもいいんですか?」
誰かが質問する。説明中だが?
私は、柱をじっと見た。
不思議な柱だ
ん?え?あれ、私の見た目では、生命属性の技か、抜き以上でないと、壊せないと思うけど?
「かまわん。これを破壊できたら、以後の試験、全て免除で合格だ」
「!!!!!」
「そ、それは筆記試験もなし、ですか?」
「なしだ」
えっ!?
ザワつく受験生達。
「おい、明季、どうする?あの柱、生命属性が有効みたいだが?あと抜きも使えるが?」
「やめておく。ここで使う技ではない」
「だよな」
合格通知は欲しいが、ここでアレを破壊したら、後々厄介だと思う。
「悪い言い方すれば、罠だよね?シンお姉ちゃん」
「ああ、罠だ」
学校とはいうけど、これは私の知っている学校、前前世の学校ではない。
注意しないと、いけないな。
「赤色に発光しなかったら、その場で不合格だ。つぎは組み手についてだが、これは勝つ必要はない、技量をみる試験だ。以上、始める!」
名前を呼ばれた者が、返事をし、剣、弓、拳、槍、斧、それぞれの武器で柱を撃ち始める。
まず、一撃では光らない。
最初の受験者は、剣で、相当数打ち込み、やっと光った。
次のエルフは、次々に矢を放ち、柱を光らせた。
「今のエルフ、手練れだな。戦士として完成しているかな?あのような者も学校に来るのか?」
種族、年齢、ばらばらだ。
小さい子もいれば、高齢者もいる。
小学校をイメージしていた私の考え、崩れ去る。
ああ、前世の記憶邪魔だ!
「半数は光らないな」
「うん」
体中に大量の魔石をぶら下げている小さい子が、魔法攻撃で、やっと柱を光らせた。
「アレもありなの?シンお姉ちゃん」
「光らせれば、次にいけるのだろう?ならば、ありだ。あれは経済力という『力』だ」
なるほど、経済力もたしかに、力ね。
よく見ていると、力任せに叩いても、光らないのが分かってきた。
あの光、遠隔操作も疑ったけど、そうでもないみたい。
次の受験生は、えらく凝った技を披露したが、なかなか光らない。
何か、法則がありそうだが?
今度は小さな子供だ。
この子は木刀で3回ほど、打ち込んだ。
あ、光った!?
これは、どうも、力の素直な使い方かな?無心の一撃のような気がする。
力でも技でもないような気がする。
「シュート家・マ・シーウ・シャンソン!」
試験官が名前を呼ぶ。
え?誰?シュート家にいました?シーウさん?別のシュート家?
「シンお姉ちゃん?シーウさんって知ってる?」
「私だ」
「は?」
「シンは略名だ。私は、初めての子供だろう?」
こくこく。
「で、喜びすぎて、季羅お父さんが付けた、ながーい名前だ」
今、分かる事実。なにそれ、その名!
格好いいんですけど!?
私は?私は?お父さん!
私だって初めてのワンワンでしょう?
なんで明季?前世、前前世と同じ名前なんですけど?
「行ってくる」
「頑張って!!」
颯爽と会場に向うシンお姉ちゃん。
シュート家と聞き、騒ぎ出す受験生。
うわぁ、他のクラスの皆も、試験官も、試験中断して見ているよ!
シンお姉ちゃん、だ、大丈夫?緊張しない?注目の的だよ?
だんだん静かになる試験会場。
「シュート家・マ・シーナ・シャンソンだ。素手で挑ませてもらう」
スタスタと柱に近づき、右手を柱に添える。
深呼吸一つ。
右手と左手がふっ、入れ替わる。
シンお姉ちゃんの正拳突きだ。
パアアアンと軽い音が響き、柱は赤く光った。
一撃だ。
周囲から驚きの声が上がる。
試験官以外で、一撃で光らせた者はいない。
うわぁ、やったね!シンお姉ちゃん!
にっこり、として帰ってくるシンお姉ちゃん。
うわっ!あからさまに、うれしそう!
自然と手が上がり、私達姉妹はハイタッチをする。
パアアアン!
ああ、私の中の阿騎が喜んでいる!
「やったね、シンお姉ちゃん!」
「ああ、素直に嬉しいね。だが、少しやり過ぎたかな?」
そんなことは、ないと思う。
あ、次の人、やりにくいだろうなぁ、ってことか?
まあ、あの一撃の後だし?
「次、シュート家・明季」
……。
え?
私だった。
「彼女で最後だ、一次試験終了となる」
うっそおおおおおおっ!
何で次ぎ私?シンお姉ちゃん、私より受付早かったよ?
え?みんな終わったの?いつ終わったの?
さっきまで、色々叩いていたじゃん!
私がトリ?最後?
「シュート家・明季、いないのか?」
「こ、ここです!」
挙手の手が震える。
周りの目が一斉に私に集まる。
あ、緊張してきた。
ま、まずい。
目がまわりそう!
次回配達は 2023/03/13 朝7時頃の予定です。
サブタイトルは 入学試験 実技編2 です。




