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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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【第29話】 どうする実技試験

おはようございます。

朝刊です。

 目が覚める。


 こんなに気持ちよく、目が覚めたのは、いつ以来か?

 初めてではないのか?


 安心して目が覚める。


 心配も、恐れも、何もない、元気いっぱい、の目覚め。

 それは幸せだ。


 ……ここまでは、そうだった。


 どこだ、ここ?

 目の前には、先程、がん見した、凶器が見える。


 いや、私の顔、半分くらいを覆っている。


 ……どういう状況?


「おきたか?」


 こくこく。


 試験!


 実技試験!


 重量物をかわし、跳ね起きる私!

 大きめのタオルが、はらりと落ちる。


 え?裸ん坊?


 あわわわわわっ!


「着替えは、そこだぞ」


 あわわわわわっ!


「どどど、どのくらい寝ていました!?」


「エノンはまだ風呂だ、そんなに寝ていないぞ?校長先生のお話、二回分くらいか?」


 び、微妙!

 分からん!


 慌てて服を着始めると、エノンがカラカラと扉を開ける。


「あ、明季くん!起きたの?」


 なぜか目が合うと、二人とも赤くなった。

 エノン、全身が赤く染まり始めた!?


 いや、私も着替え途中で、半裸状態で固まっているし。


「え、エノン」


「な、ななに?明季くん?」


「背中、な、流してくれてありがとう」


 こくこく。頷くエノン。


「あと、髪、洗ってくれてありがとう!とても嬉しかった」


 こくこく。

 エノン、涙目?


 今度、私が洗って上げる!と言いたいが、人の髪、洗ったことないし、どうしよう?


 でも、エノンの髪、洗って上げたいっ!


「……」

「……」


 お互い、沈黙である。


「あ、髪で思い出した、これ、リュートからプレゼントだ」


 金縛りが解ける二人。


「?」

「まず、髪を綺麗に拭いて、乾かして」


 あ、魔法を使っている!

 ブレスレットの魔石が淡く光っている!


「これ、リュートの新作の布なんだ。夏は涼しく、冬は暖かく、凄いだろう?何でも織り方を工夫したらしい」


「!」


 すぽっ、と被せられたその布は、バンダナと眼帯が合わさったようなデザイン。


「うーん、エノン、ちょっと髪を解いてくれ、私ではうまくできん!」


 鏡を見ながら、エノンがセットしてくれた。


 凝った刺繍がしてあるアイパッチ。

 あ、これ、伸縮する!


「どうかな?うち、がんばったけど?」


 髪とアイパッチが綺麗にマッチしている。


 違和感のない、戦士がそこにいた。


 おお、これが私か?

 ……これなら小さい子、怖がらないかな。


「ありかとうエノン。ピアさんも、ああ、リュートさんにもお礼を!」


 あ?人の気配?

 きっ、と軽い殺気を漲らせ、ドアを見る私達3人。


「のぞきか?誰だ?」


 コツコツ、足音が近づく。

 この足音、ニトお父さんだ。

 ゴブリンの時とそっくり!


 コンコン、と扉を叩く音。


「時期、試験だが?いいか?脚に、テーピングをしたいのだが?」


 なぜ、ここまでしてくれるのだろう?

 今は、他人なのに。

 魂が、覚えている?

 でも、それだけだろうか?


 平然と女子脱衣場に入り、私の素足に包帯みたいな、ものをくるくると巻くニトさん。

 ピアさんの視線が痛い。何を見ているのです?


 あの、ニトさん、私、恥ずかしいのですけど?


「動いてみて」

「は、はい」


 あ!脚が軽い!?


「脚が軽いです!」


「軽いか、それはよかった。だがこれは治療ではない、一次的なものだ。無理な動きはいけないよ。忘れるなよ?」


「はい」


「試験、頑張れよ」


 う、頑張りますけど、筆記が……名前だけなんです。

 そんなぁ、うう、なんで読めないの?時間がほしい!

 みんなこんなに応援してくれるのに!


 せめて、実技はがんばろう。


「……ピアさん」


「なんだ?」


「視線が痛いです」


「いや、痩せているな、明季。獣人族とはいえ大腿四頭筋と二頭筋を鍛えたいな」


 筋トレ?

 筋肉の名前かな?場所が分かりません!

 

 ん?温泉効果かな?エノンが髪を洗ってくれたから?


 なんだろう?調子いいぞ?


 一眠りして、力が、湧いてきたのかな?それともこのテーピング?


 ふと、ピアさんと目が合う。


「あ、おっぱい波動!」


「おいおい、いつの時代だ?今は癒やしの波だぞ?男達は影で言っているらしいが」


「ご、こめんなさい」


「リュートもニトもお前を応援している。そこのエノンも。まあ私もだが。全力で頑張れよ?」


「はい!」


 私は元気よく返事をすると、試験会場へ足を向ける。


「エノン、ニトさん、ピアさん、行ってきます」

 

 建物から出ると、ざわめきが広がる。

 数百人の中から、瞬時にシンお姉ちゃんを見つけ出す。


 亜紀だったら無理だろうな、近眼酷かったし。


 ん?声が?


 後方から聞こえるぞ。


「なあエノン、なんで肩入れするんだ?傭兵団一の冷酷、氷のエノンが?」


「もう、うち、傭兵団抜けたんよ、いまは傭兵団事務、兼、孤児院の先生」


「そうだったな、あいつが抜けさせたのか?」


「うちの氷、明季くんに会った瞬間、溶けたんよ。うちはもう、以前のうちと、ちゃうんよ」


「そうか、まあ私もニトやシンによろしくとは言われたが、なんか明季のことは気になるな」


「騎士団『明』の副団長が?気になる?」


「あいつ、腕もたつだろ?どうだエノン」


「ゴブリンの秘技、抜きを槍で再現した」


「バケモノじゃないか!これは試験が楽しみだな」


「どうだろう?明季くん、技は披露しないと思うよ。もう戦士として活動しているから、技は隠すと思う。どこで誰が見ているか分からないし、解析されるのを嫌うと思う」


「ますます楽しみだ」


 氷のエノンか。


 獣人族の耳や鼻は凄いな。

 この人数の中から、位置を特定し、会話を聞くとは。


 諜報にも向いているな。


「お、来たな明季。似合っているぞ、アイパッチ」


「ありがとう。それでどうなのシンお姉ちゃん、実技試験とやらは?」


「今から説明が始まる、聞いた話だとそれ程難しくないようだが?」


「ええ?本当?」


 入学試験が、始まる!

次回配達は 2023/03/12 の予定です。

サブタイトルは 実技試験 です。

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