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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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238/406

【第28話】 実技試験、でもその前に

おはようございます。

朝刊です。

 実技試験だ。


 どんな試験?


 でもその前に、お礼を!お礼を言わなければっ!


 人が多いな、久しぶりの人混みだ。


 酔いそう。


 建物はレンガ造りかな?

 学校は木枠にガラスの窓。

 樹木が凄いな、綺麗に手入れしてある。


 空を見る。


 ああ、そうだね、アイお姉ちゃん、ここは空が狭いよ。


「ニトさん!」


 獣人族の目と耳と鼻で、瞬時にニトさんを見つける。

 その横には、シンお姉ちゃん。


 あ、ちょっと悋気。


 更にその横には、うわぁ大きいなぁ。


 ランお母さんより大きいかも。


 見るからに機能的な鎧を纏った、女性騎士が聳えていた。


 そして、その後ろには、え、エノン!?

 ぜへへ、ぜへへ、と肩で息をするエノン。


 ど、どこかにお水ないかしら?


「エ、エノン、お水いる?」

「だ、大丈夫、い、いらない」


 ホントに大丈夫なのかな?


「ニト、シン、この子かい?」

「ああ、お願いします」

「妹よ」


 ?何の話だ?


「明季、私達の実技試験まで、まだ時間がある、この頼もしいお姉さんが、お風呂に連れて行ってくれるぞ」


 え!?


「う、うちも!うちも入りたいっ!」


 お、お風呂っ!?


「ああ、いいぜ?まとめて面倒見てやるよ、ん?おおお、おい、泣くなよ!どうした?」


 慌てふためく、大きなお姉さん。


「だって、だって、……く、臭いとか受付の人に言われるし……悔しくて、悲しくて」


 うう、最近、涙腺弱いかも。


 ビキビキッ。


 ん?

 それは、筋肉の軋む音。


 あ、お姉さんのお顔が、鬼の形相にっ!?


「誰だ、そいつは!戦い疲れた者に、王都を守ったも者にその暴言、許せん!全力で戦っているのだぞ!」


 撤収中の受付に向って猛進するお姉さん。


 あばばばばっ!


 咄嗟に腕にぶら下がり、引止める。


「ご、ご、合格して、見返しますから!お怒りを、鎮めて下さいっ!」


 チラリとエノンを見る。


 あ、やば、傭兵モードだ。


 殺気が凄まじいっ!これ、エノン!駄目だよ!小さい子、泣いちゃうよ!


「おおお、お姉さん、取敢えず、お風呂いいですかっ!」


 引きずられる私。


「エ、エノンも、や、優しいエノンに戻ってええっ!」


 はっ、とするエノン。


「ん?そうだったな、お風呂が先だ!あ、自己紹介がまだだったな、私はピアニッシモ、ピアニッシモ・フルートだ」


 え?フルートさん?


「ああ、リュートの姉だ」


 !!


「わ、私はシュート家の明季です」


「よろしくな、さあ、お風呂はこっちだ」


「礼はあとでいいよ、急ぎなさい」


「は、はい」


 ニッコリする、若い人族のお父さん。

 きっと、リュートお母さんには、もっと、とびきりの笑顔を見せるのだろうなぁ。


 学校の横が騎士養成所、そのまた隣が騎士団本部だそうだ。


 私達が向うところは、養成所のお風呂場。

 勝手に使用していいのかしら?ま、ピアさんいるし。


 小さな木のドア、お勝手口だろうか?

 かなり大きな建物だなぁ、中に入ると、あ、この木のドア、裏が鉄板?


「ああ、それは襲撃に備えてだ。まあ、何が襲撃してくるか分からんが」


 広いなぁ、キョロキョロしていると、ピアニッシモさんから声を掛けられた。


「そっちは食堂だ。お風呂はこっちだぞ」


 プレートをカタリ、とひっくり返し、大きな扉を開ける。


 広い脱衣場だ。


 あ、鏡がある!


 !


 ……私の右目、髪の毛だけじゃ隠しきれないか。


 ドスン!


 !


 わ、ビックリして、思わず声が出そうになる。


「あ、わりい、鎧重くてね」


 え?ピアさんも、お風呂入るの!?


 エノンは傭兵団で慣れているのか、パパッと服を脱ぎ、お風呂場を覗いている。


 裸のエノン……後ろ姿……え?エノン、ウエスト、ほっそ!え?こんなに細かったの?ヒップライン綺麗!


「あ、これシンから預かった、着替えだよ、エノンのもあるぞ」


「え?うちのも?助かる!」


 振り向いたエノン。


 ……揺れている……私の3倍はあるか?


 う、裏切りものぉおおおっ!


 服着ている時、目立たないって何?

 同族と思っていたのに!

 着痩せってホントにあるのね。


 ちなみにピアお姉さんは……凶器だな、あれは。


「うち、騎士団のお風呂、始めて!」


 この匂い?温泉!?


 温泉好きなのか、はしゃぎだすエノン。


「西の街には、足湯もあるんよ!」


 ピアお姉さん?何かしら?私の脚を見ている?


「その脚の傷、治りにくそうだな?」


 傷口は塞がっているが、傷跡が凄いことになっている。


 ちょっと、いやかなり悲しい。


「私も結構傷だらけだが、お前達もすごいな」


 エノンと私の裸を見て評する、ピアさん。


 え、エノン……恥ずかしくないの?


「まあ、うちは元傭兵団だし」


 二人はお互いの傷跡を見ていたけど、私は別のものを見ていた。


 大きいなぁ二人とも。


「おっと、試験が控えていたな、ちょっと急ぐぞ」


 浴室はとても広かった。

 これ大浴場だ。


 煩悩まみれの私は、湯船には浸からず、まず身体を洗った。


 とにかく泥まみれ、汗まみれ、血まみれ、なのだ。

 このまま浸かるのは、はばかられる。

 こんな綺麗な、お湯、ドロや血で汚したくない。


 傷は塞がっているけど、この泥まみれの状態では湯船に入ってはいけない、と判断した。


「背中、洗うね?届かないでしょう?」


 え?エノン?


 エノンは両手に石鹸を付けてペタペタ、すりすり、と背中を洗ってくれた。


「その石鹸は、ニトとティーが作った石鹸だ。傷口に沁みない石鹸でね、好評なんだ」


 石鹸も作るの!?


「髪も洗うね、明季くん、じっとしていてね」


 こくこく。


 すっ、と髪に通る指。


 心地よい。


 それに、この石鹸、とてもいい匂いだ!


「明季くん、髪、柔いね」


 コシコシ。


 頭皮マッサージ?


「流すよ」


 砂や泥でジャリジャリした髪が、綺麗になっていく。


 とても嬉しいっ!


 あ、エ、エノン?せ、背中に、時々あ、当たっていますけど?


 私は、あまりの心地よさに、うとうとしてきた。


 長旅である。


 蜘蛛と戦い、ワームと戦い、ドラゴンと戦い、疲れない方がおかしい!


 これだけ連戦しているのに、これから試験?テストォ?


 休息させて下さい。


 この流れ、どこのブラック企業ですか!


 いくら獣人でも倒れます。


 エノンに手を引かれ、湯船に身をゆっくりと身体を沈める。


 ああ、お風呂、温泉、いいなぁ~。


 そう、そして私はカクン、っと寝てしまった。


 すやすやと、ぐっすりと。


 爆睡した。

次回配達は 2023/03/11 の予定です。

サブタイトルは どうする実技試験 です。

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