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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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237/406

【第27話】 あ、試験。

おはようございます。

朝刊です。

「ここは任せろ、取敢えずあの5人、季羅に連絡を!傭兵団と北のゴブリンが面倒を見る。場所は東の砦だ。あそこなら安全だ」


 コロ叔父さんがそれぞれに指示を出している。

 場所は長さんの足下。


 どすん、どすん、一歩一歩、踏締めるように歩く足音が、近づいてくる。


「よう、明季!怪我していないか?おねーちゃん、心配だぞ!まさかドラゴンを相手にしているとはなぁ」


「アイお姉ちゃん!」


 リラちゃんをしっかりと抱っこしている。


「アイ、その歩き方、危ないよ!」


「あんだよ、エノン、これが一番いいんだよ!慎重で!こけたら大変だろ?」


 まあ、リラちゃん楽しそうだからいいけど。


「もう、先に行ったぜ?お前いいのか?私は、お前とお話しできて、嬉しいけどサ」


「なにかな?アイお姉ちゃん?」


「シン姉だよ」


「?」


「闘神しゃま、試験」


 さーっと血の引く音が聞こえた。


「あ、試験」


 おおおおおおおねぇちゃん!ずるい!自分だけ試験会場に行ったの!?

 学校に行ったの!王都目指したのっ!酷いよおおおおおおっ!

 なんで一言おおおおっ!


「アランお兄ちゃんはどこ?」


「ここだが?」


「え?お、お兄ちゃん?」


 ボロボロである。


「まあ、脚が速い分、俺は囮役が多くてね」


「だ、大丈夫なの?」


「お前ほどではないよ。後、暫くすると回復する。シン姉、念話で、伝えていたぜ?何度も、何度も」


 聞いていないよぉ!いつのお話!

 チラリとアイお姉ちゃんを見る。


「明季さあ、なんか、ムーンサルト、どうだったけ、とか波動の拳?とか昇り龍の拳とか、ブツブツ言ってたじゃん、なんだよあれ?シン姉、何度も念話で、話し掛けていたよ?」


 あ、おわた。


「逃げ出したんだって?なら仕方ないか?で、どうするんだよ?」


 いや、確かに、逃げましたよ?行きたくないと言いましたよ、が、言いはしましたが……あ、泣きそう、涙でそう……。


 この脚じゃ走れない!王都は見えるが、私、ここまでなの?

 アランお兄ちゃんも、走れそうにない。


「一緒に東の砦、行くか?もう間に合わないみたいだし」


「……う、うう、で、でも、な、名前、覚えたし、みん、みんな、親切に教え、教えてくれたし……うぐっ」


「な、何だよ!試験、受けたかったのかよ!」


 こくこく。


「だ、だって、ドラ、ドラゴン強いし、ほ、ほっとけないし、女の人、か、可哀想だったし、ダ、ダランくんの悔しさ、さや、悲しさ、こ、心にひ、響いたし、わた、私、じ、自分のできるこ、こと……いっしょう、一生懸……命……」


(まだ間に合うかも知れん!)


 え?


「諦めるな!摑まれ!リュート、行ってくる」


「はい!いってらっしゃい!」


 えっ?


 突然舞い降りた赤髪の騎士は、私を掠うように抱くと、大空へ飛び立った。


「きゃっ!」


 うわ!思わず声が出た!

 女の子みたいな声!いや、女の子なんだけど、こんな声、私からでも出るんだ。


 最近よく、きゃっきゃっ言っているような気がする。


 あ、遙か地上ではアイお姉ちゃんやリラちゃんが、手を振っている。

 リュートお母さんも、ア・ダウ先生も、他の学生さん達も!


 あれ?砂煙が?


 誰か、王都を目指して、全力疾走している?


 あ、エノンだ。


 風を切り、凄いスピードで空を駆けるペガサス。

 ……やっぱ、お父さん……………………格好いい。


 背景に、お花が見えるくらい格好いい!いいなぁリュートお母さん。


 が、心配事がある。


 こんなに密着して、ニトお父さんに軽く摑まっているけど……私、臭いよね?


 血と汗でどろどろ。


 ニトお父さん、私臭くない?臭いよね?


 きっと私、酷い臭いだ。


 それでなくても、獣人族、体臭濃いのに……。


 いや、今は、お父さんではないけど、臭いとか言わないでね?お願いっ!


 王都がぐんぐん近くなる!


 上空から見る王都はとても綺麗で、大きかった。


 そして、ペガサスは学校の校庭に舞い降りた。


 お、おおおお、おとうさあああああんっ!やーめーてぇぇぇー!

 め、めだちすぎですうううううっ!


 試験会場、数百人の目が私達を射貫く。


 勿論、私はここでも泣きそうになった。

 血と汗でどろどろ、服はぼろぼろ。


 洗濯機があったら飛び込みたい。


「明季!こっちだ!急げ!」


 え?


 誰?


 あ!おおお、おねちゃん!シンお姉ちゃん!


 すっ、と無言でニトお父さんは行動した。


 私をお姫様抱っこし、コツッ、と靴音を立て、ペガサスから降りる。


「受付が終わったら、戻ってきなさい」


「は、はいっ!あの、あのっ!」


「礼は後でいい、急ぎなさい」


「はいっ!」


 どこ?どこ、受付どこ!?


 えっ?

 シ、シンお姉ちゃん?綺麗?え?戦闘、後なのに??


 せ、石鹸の匂い!?

 なんで!?


「受付はこっちだ!名前を!」


 ずらりと10名程、着席している。

 長いテーブルには何やら文字が?


「どこ?」


「明季、右から3番目!」


 あそこか?


「なんだ?獣人族か?臭いな、ここは試験会場だぞ?」


 !


 目の前の受付が、宣わく。人族の男性だ。先生にしては若いな?学生か?


「文字も読めないのか?よくそれで受験しようと思ったな?」


 誰だこいつ?


「時間はギリギリだし、これだから北の者達は、はぁ」


 無視、と。


 ……今はね。


「明季くん、かな?こちらですよ!」


 手を振っている!?


「はい!」


「名前をどうぞ」


「シュート家の明季です」


「はい、チェック、と。あなたで最後ですよ、よかったですね、間に合って」


 え?


 チェックと共に鐘が鳴り響く。


「終了!受け付け終了!これより実技試験に移ります!繰り返します!受付は……」


 アナウンスが響く。


「ほら、ぎりぎりセーフ。明季くん、あなたに精霊の導きがあらんことを」


 こ、このお姉さん、やさしいっ!


 あそこのヤローと、ぜんっぜん違う!


「あ、ありがとうございます!」


 この人、ホッシーのお姉さん?ホッシーにとても似た匂いがする!

 お顔もかわいくて(二重まぶたの、長々睫!)ホッシーにそっくり!


 後でホッシーに聞いてみよう!


 こうして私は、無事受付を終え、試験に挑むことになった。

次回配達は 2023/03/10 朝7時頃の予定です。

サブタイトルは 実技試験、でもその前に です。

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