【第25話】 怒りの世界
朝刊です。
「おい、そこで蹲って死を待つか?逃げるぞ!ダラン!」
ホッシーが叱責する。
「……逃げても」
「今は逃げるんだよ!ダラン!」
「今逃げても次がある!商工会に睨まれたら終りだ!あんなドラゴン、送り込んでくるんだぞ!人の命なんてなんとも思わない連中だ!見ただろう!ボロボロにされて死んでいく!殺されるんだ!」
「ティーくん、先に行って、することがあるんだ」
「分かった、明季くん無理は駄目だよ」
「ダラン君、商工会ってそんなに大きな組織なの?」
私は効いてみた、何と答える?周りに他の4人はいない。
多分、コロ叔父さんがガードしている。
青白い顔色を通り越し、白くなる顔色。
「……世界規模だよ、東の地にもあるし、海の向こうにもあるって、オヤジが言っていた」
ここで、私は商工会と言う名前を、超多国籍企業と置き換えてみる。
前前世で、結果的に私を殺した企業だ。
「商工会は世界を支配しているんだ!ドロトンの技術は駄目なんだよ!」
「なぜ駄目なの?教えて」
「あの技術、純鉄や真球、あれは商工会が、数千年も時間を掛けて消した技術なんだ」
「え?」
「あいつ、それをいとも簡単に復活させたんだ!」
「消した?技術を?」
何を言っている?そんなことできるの!?
いや、伝承を切れば、途絶える。それをしたのか!?
後継者、伝承者、を消した?いや、次にバトンを渡さなければいいんだ、やり方は沢山ある。
「ドワーフ独占の武器防具ルートを消すために、技術そのものを、時間掛けて消したんだよ!それだけじゃない!お前、知っているか?ドワーフは金属召喚ができたらしいんだよ、今はできない、この技術も消したんだぜ?商工会がどれだけ恐ろしいか分かるだろう!」
ふつふつと、怒りが込み上げてきた。
「あいつらは、世界をコントロールしているんだよ!自分達の思いのままに!商工会は数千年単位の組織なんだよ!」
「長寿の、不老不死級のダークエルフか?」
え?今のこの言葉、喋ったの、私か?
「!」
ホッシーが驚いた顔で私を見る。
「ミントが見つけた古文書に警告文があった!」
「そのミントさんにも会いたいな」
「わかった、学校帰ったら、すぐ紹介するね、行こうダラン!」
「おれは生き延びていいのか?商工会は、世界中で暗躍している。そんな、クソみたいな事をしているのが、俺のオヤジだ!そして、そのクソガキの俺に愛情を示した女が……だから、さっさと辞めて、田舎に帰れっていったんだ!ちくしょう」
「他にも何か、企んでいるの?」
「ああ、お前達獣人族の弱体化」
「なっ!」
「お前ら、子供少なくないか?それから、北のゴブリン達の絶滅計画」
な、なに考えている?
いや、それを実行できるお金と時間、技術があると?
あ、キレそう!お、押さえろ、魔力抜きで、ゾアントロピー起きそう!
「王都の解体もあったかな、あ、でも北のゴブリン一族は強敵らしい。魔力封鎖して魔力感知無効にしても、情報の共有ができるらしいんだ。商工会は一勝もしたことないと聞いた」
凄いじゃん、シルバーっち。千年単位で無敗!?
で、彼らの目的はなんだ?自分達の住みよい世界か?多様性のない世界は死んだ世界だぞ。
支配するのが好きなのか?
「勇者や魔王は知っているの?その商工会のこと」
「知っていると思う。基本、魔力的にこの世界を破壊しなければ、彼らは、住んで居る者の自由意志を尊重しているから」
「尊重できるの?」
尊重とは?
立場が変れば、見方も変ると?
「商工会は、皆の暮らしと密接だよ?それ程凄い組織なんだぜ。俺も消されるのかな……」
「どうだろう?王都の商工会は潰されたのでしょう?」
「ああ、騎士団『明』が潰したらしい。商工会は損失や失敗を嫌う、オヤジは大損失したし失敗も重ねた。おそらく消されるだろう」
「あとで詳しく聞かせてもらっていいかな?」
「……ああ、生きていたらみんな話してやるよ」
ドオオオンッと重量物がぶつかる音。
!
ドラゴンが、こっちを見た!?
誰を見た?
ワームか?それともここにいる誰かか?
長さん、苦戦している、行くか。
……商工会のやり方に、怒りを覚える。しかし、蟷螂の拳か?
「エノン、いるだろう?」
「……はい」
どこからともなく、ひょっ、と現れるエノン。
「シンお姉ちゃんは?」
「ここにいるけど、姿は見せないと思うよ。5人組ガードしているんよ、みんなで」
「シンお姉ちゃん、エノン、借りるよっ!私のガードを頼む」
「え?で、でも、う、うち、もう力がそんなに……」
「今の私より、エノンが上だ。できる限りでいい、ついてこい!」
「わ、わかった!うち、明季くんについて行くっ!」
「ち、ちょっと!アッキー、エノ!どこ行くのよ!あんなドラゴン勝てるわけないでしょう!ドラゴン討伐専門の騎士団『闘』が時期くるはずよ、彼らに任せようよ!」
「それまでに、何人死ぬ?騎士団はもう半数だろ?」
魔力感知できないから、ここからの見た目だけど。
ホッシーは不服そうである。
「……なにができるのよ?二人で!」
がしっ、とエノンと腕を組む。
「ひゃっ」
「知らないの?かつて、ン・ドント大陸を救ったメンバーなんだぜ!私ら!」
「「え?」」
ぽかん、とするホッシーとエノン。
「で、エノン、私を抱っこして走れる?膝、痛いんよ」
「ふふっ、いいよ、うち、走るね」
私を抱き上げ、走り出すエノン。
後ろから声が聞こえる。
ちょっとぉ!あなた達、ホントに大丈夫なんでしょうね!
大丈夫だって、ホッシー!
「エノン、できる限り、あのスーパーゴーレムに近づいてくれ!」
「わかった!」
見えてきた!黒いドラゴン!
それと長さん!
ここなら繋がるか?
ステータス画面に、コントローラーのイメージを重ねる。
私のお気に入りのコントローラー。
特注品で愛用品。
あの子、私が死んでから、どうなったのだろう?
捨てられたのかなぁ、私のもう一つの相棒。
(作者注*まどかが大事に保管しています)
長さん、もう少し頑張って、今、接続設定しているから!
次回配達は 2023/03/09 朝7時頃の予定です。
サブタイトルは 唸る鉄拳! です。




