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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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233/406

【第23話】 届かない手

内容が、朝から読むには辛いので、号外にしました。

 匂いは人族だ。あやしい所は無い。

 だが、この匂い、かなり焦っているようだが?


「どうした?」


 すかさず私の横に付くコロ叔父さん。


「……うっ」


「コロ叔父さんは保護者よ、気にしないで話して。大丈夫、酷い目に逢ったりしないよ?」


「……わ、わかった。お、おれはヨミヤ家のダラン、オヤジは商工会の会計だった」


「ヨミヤ?」


「どうしたの?コロ叔父さん?」


「ヨミヤ家か、いい話は聞かないな。扱っている品も色々と問題が多いし、使用人の事故も多い」


「悪い商人なんだよ、オヤジは。そして俺は、その悪い商人の子供だ」


 周囲から、冷たい視線が集まる。


「……オヤジは色々な珍しい魔石を持っている。封印石もあった」


「封印石?なにそれ?そんなの、あるの?」


 ちらり、とコロ叔父さんを見る。


「偽物だろう、今まで確認されたことは無い」


「そう言って、みんな信じないんだ!あれは本物だって!おやじは屋敷を追われたんだろう?逃げ出したんだろう?あの石を使うかもしれない!」


「商人でコレクターか?偽物を買わされたのではないのか?」


 コロ叔父さんは信じていないようだ。


「ちがう!あれは東のダークエルフが、王都の情報と引き換えに渡した物だ!なんで皆信じないんだよ!これは本当だって!オヤジのヤツ、あれを使う!」


 ちょっと待ったあっ!


 東のダークエルフ!?

 ここでまた、その名前が?


 一気に現実味を帯びる封印石。


「使用条件は?」


 コロ叔父さんの匂いが変る。

 認めたんだ!この話!


「使用者の、契約者の命」


「何を封印した魔石か、話していたか?」


「……ド、ドラゴン」


「ばかな!ドラゴンをどうやって封印した!?」


 羽ばたきの音。上を向くと、ペガサスが舞い降りてくる。


「すまんな、コロ。ヨミヤのそいつは監視対象なんだ。話は聞いた、どうだ?ドラゴンの封印石、本物と思うか?」


「封印石は本物だと思う。が、何が封印してあるか、分からん」


「本物か?まさかここまで商工会が動くとは、重犯罪だぞ」


「あの純鉄の魔法剣、脅威だろ?あんなのが流通してみろ、商工会独占の体勢が消える。いやもう壊滅したらしいな、商工会」


「商人ならば、交渉し、取り込めばよかったろうに」


「学生とはいえ、ドロトンは超一流、追従を許さないドワーフだぞ?金や名誉、では動かん。制御できない作り手は消される」


「腹立たしいな」


「そうか?お前らの装備も商工会納品だろ?」


「傭兵団は違うのか?」


「商工会に弾かれた者達が作ってくれている、いい品ばかりだ。それで対ドラゴン装備は?」


「3名」


「足りんな。北のゴブリン達、聞こえたろ?ワームの次はドラゴンだ、周囲警戒」


(了解、風の戦士)

(次はドラゴンだと!?おもしろい!)

(ホルダー阿騎は我々を鍛えてくれるなぁ次が楽しみだ)

(王都から朱槍を呼ぶか?)

(秘を呼ぶのか?)

(この混乱で、メイさまに手を出す者がいるかもしれん、おれは王都を動かんよ)


 王都は見えているのに、遠いなぁ。


 虫車が止まった?


 先頭がザワつき始める。


「皆の者、注意せよ」


「!」


 え?私の口から渋い男性の声が飛び出す。


 ゴルちゃんだ。


「北のゴブリン達、その力、ホルダー阿騎の前に示せ!」


 次は透き通るような女性の声、シルバーっちだ。


(言霊が下ったぞ!)

(エンキドウさまの言霊だ)

(おい、今はシルバーさまだぞ)

(我らが誉れ、さまよえる賢者とホルダー阿騎から、それぞれ名前を頂くとはな)


 前方より、異様な臭いが漂ってくる。


「あっ!」


 走り出すヨミヤのダラン君。


「コロ叔父さん、この臭い」


「ああ、魔昆虫の臭いだ」


 更に前方より悲鳴が上がる。


 そこにいたのは、血だらけのボロボロの女性。

 服は着ているのか?


 悲鳴が上がったのは、皮膚の下を何かが蠢いていたからだ。


「ダラン!待て!近づいたら駄目だ!」


 腕を摑み、引止めるティーくん。


「おい!放せ!ティー!」


「魔昆虫に寄生されている、あれは近づくと、背中の袋が爆ぜる魔昆虫だ」


「な……何だと?」


「近づいたら、彼女はおそらく死ぬぞ」


「ど、どうにかしてくれ!」


「駆除のパウダーがもうない、学校の実験室にはあるんだが……彼女に近づかないように言えるか?今、ニトがペガサスで取りに行ったけど」


 足を引きずり、酷く暴行されたのか、傷だらけの半裸の女性がゆらり、ゆらり、と近づいてくる。


「……ん、ぼっちゃ……ん……」


「あ、あんなに怪我してボロボロなのに、近づくなだと?そんなこと、言えるわけねーだろっ!」


「行くなっ!ダラン!」


「俺を呼んでいるんだよっ!」


 ティーくん、ドロトン君が引止める。


「コロ叔父さん、風の魔法で足止めできる?」


「無理だ、アレは魔法にも反応する。明季、手を見たか?」


「手?」


 あ、手の甲に魔石が突き刺さっている!


「あの魔石が?」


「おそらく封印石だ。動くなよ、明季、彼女が死んだら封印が解かれる」


 ニトお父さん!急いで!


 二人を振り切り走り出すダラン君。


 そのダラン君に騎士団の一人が矢を放つ。


 足を射貫く矢。


「!」


「近づけばあの娘も、学生も死んでしまう」


 それでも、よろよろと近づいていくダラン君。


「おい、オヤジ、こんなにまでして金が欲しいのかよ?権力が欲しいのか?幸せになるための金じゃないのか?」


「ぼ、ぼっちゃん!う、腕が……」


「たいしたことはない、今、ニトが薬を取りに行っている。ここで二人、休んでいようぜ?」


「あ、足に矢が……」


「気にするな、じっとしといて動くなよ?俺も付き合うから」


「つ……つき……あう?あ……だ、だめです、もう駄目です……私はもう駄目です」


「なにを言っている?動くなよ、じっとして……」


「私は……もう、ぼつちゃんとは、つ……きあえません。わたしは……私は……もう」


 目を見開き、叫び出す女性。


 ダラン君は手を伸ばすが、届かなかった。


 その慟哭に反応するように魔昆虫は爆ぜ、魔石が砕けた。


次回配達は 2023/03/07 朝7時~10時の予定です。

配達、間に合うかなぁ、今から2000文字。

サブタイトルはまだ決まっていません。


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