表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

232/406

【第22話】 俺の話を聞いてくれ

おはようございます。

朝刊です。

 脳内で文字再生している。


 シュート・明季。


 多分、こうだったと思う。

 覚えないと!


 シュート家・明季。


 ……なんか、綴りがあやしい気がする。


 私の横にはコロ叔父さん。


 てくてく。


 一緒に歩いてくれている。


 ずりずりっ!


 右足を、ちょっと引きずり歩く私。


 関節が痛い。

 関節の再生は獣人族でも難しいらしい。

 膝と踝を壊しているからなぁ。


 更に今は降下期。

 月の力も流れてこない。


「コロ叔父さん、これでいい?」


 時々歩行をやめて、朱槍で地面に文字を書く。


「シュート家は合っている、名前がアキではなく、アケイキになっている」


 分からん!


 文法が、文字の法則が、まったく分からん!


「歩くのが辛そうだな、虫車に乗ったらどうだ?」


「いや、歩きます」


「お前がそう言うのなら、付き合うが……」


 虫車。


 そう、私の目の前には、ワームが荷台を引いている。

 荷台には負傷者数十名。


 みよん、みよん、と身体をうねらせ、前進するワーム。

 その頭にはゴキゲンのティーくんとドロトン君が乗っている。


 ……あの男子二人、凄いな、私、無理。


 このワームは最初に倒したワームだ。穴を掘り、途中で動かなくなったワーム。

 大きさは、半分以下になっているけど?

 何でもニトお父さんが、治療したとか。


 このワームに、ニトお父さんとティーくん、ドロトン君が駆除剤を飲ませ、寄生していた魔昆虫を駆除したのだ。


 ワームの口から吐き出された**自主規制**な、魔昆虫。


 これを退治し、ワームを解放、本来の姿に戻したらしい。


 虫宿師の行為は異常飼育と言うそうだ。


 彼らは普段おとなしいワームに魔昆虫を寄生させ、雑食に組み替える。

 更にマイナスの魔力で汚染された、湖や河で育てるらしい。

 マイナスの魔力とは、主に東の大陸に多くあり、あまりの危険さに、ン・ドント大陸では研究すら禁忌とされているらしい。


 この言葉すら知らない者が、多くいるとのこと。

 かく言う私も初耳である。


 普段のワームは大地を耕し、汚染された環境の水や土壌、草木の根を食べ、浄化して排泄するそうだ。


 特に毒性の強い魔木や、植物を好むとのこと。


 え?排泄物が、浄化物?と聞き直したほどに、ワームはいいヤツらしい。


 ドライアドとはワームのことだ、という学者もいるそうだ。


 目の前のワームはまだ小さく、魔昆虫との同化も進んでいなかったので分離、駆除ができたらしい。


 騎士団はこのワームを退治しようとしたが、ティーくんやドロトン君が立ち塞がった。


「このワームは分離できた!退治する必要はない!」


「駄目だ、一度汚染されたワームだ!危険すぎる、今後の憂いを絶つ、どきなさい!」


「殺す必要はない!簡単に生き物を殺すな!」


「そのワームは危険すぎる!東の大地で異常飼育されたワームだぞ!」


「魔昆虫は吐き出した、そこに死骸があるだろう?こいつはもう、おとなしいワームだ!」


「なぜワームに拘る?」


「ワームは砂漠を緑地に変える、魔木に汚染された土地ですら浄化するのだ!簡単に殺すな!こいつらに散々酷い飼育をして、利用し、次はこちらの理由で殺すのか?」


「ドロトン、こいつら始めから殺すつもりで来たのだ、討伐隊だ。何言っても聞かないよ」


「ジェイくん?」


「王都騎士団といえば『翔』か『烈』、あとは『闘』か?」


「ジェイ、本気か?槍合うの?」


「ああ、本気だ。俺が盾になる、その間にワームを逃がせ!」


「急ぐなよジェイ。それは僕が作った駆除剤が、信用されていない、と言うことかい?団長?」


「ニト?待て、何故そちら側にいる?騎士団見習いをやめるつもりか?」


「騎士団に入らなくても、薬草集めはできそうだし、ジェイ、その時は護衛、よろしく」


「裏切るのか?騎士団を?」


「裏切る?僕の薬草駆除、信じていないのは、そちらでしょう?このワームは安全だ。この僕が作った薬で治療したのだ。僕の信頼を、先に裏切ったのは騎士団だよ」


「おい、学生」


「?」


「旗色が悪い。北のゴブリン達に助けを求めろ」


「コ、コロ、きさま!」


「シンやアキの先輩になるかもしれん者達だ。恩を売るのも悪くない」


「騎士団に恩は売らんのか?」


「お前らに売っても面白くない。若者の可能性が好きでな」


「ゴブ、我らを呼んだか?風の戦士よゴブゴブ」


「そこの学生が困っている。古の教えにより、助けてくれないか?」


「ゴブゴブ、我らは弱者の前に立つゴブ、しかし風の戦士よ、この者達は弱者ではないゴブ」


「ゴブ、この者達は強者に属するゴブ」


「では、北のゴブリンさん達、僕達は守らなくていいから、このワームを守ってください!」


「ゴブ?ワームを守れ、と?ゴゴブ?」


「ゴブ?先程まで戦った相手ゴブ」


「傷つき弱ったワーム、利用され、殺されようとしているワーム、この死を止めたい」


「ほう、自分達はどうなってもいいと?ゴブゴブ?」


「かまいません」


「ゴブ、かまわんか……おもしろいゴブ!しばし待つゴブ」


(若者に加勢せよ)

(天晴れ、学生に1票)

(ホルダー阿騎の先輩か?)

(そにうち先輩だな、ここはワームを守るべきだ)

(相手は騎士団か、助けを求められれば動く、当たり前のことだ)


「ゴブ、気に入ったゴブ!」


「満場一致ゴブ」


「ゴブゴブ騎士団『翔』、北のゴブリン一族、全員が相手ゴブ」


 騎士団は渋々と手を引いた。


 ニヤリと悪いお顔で、笑うコロ叔父さん。


「何かいいことありました?コロ叔父さん?」


「ん?ああ、いいことがあった、そのうち話して聞かせよう」


 右足を引きずって進んでいると、後方から声を掛けられた。


「いいかな、シュート家の明季」


 誰だ?


 振り向くと、片腕の無い青年が1人立っていた。


 5人組の一人だ。


 名前は……知らん!


「なんだい?」


「話がある。俺の話を聞いてくれ」


「いいよ」


「えっ?い、いいのか!?あ、ありがとう!」


 ちょっと驚きながら感謝の言葉を述べる。


「……こ、こんなに早く聞いてくれるなら、もっと早く話せばよかった」


 余程焦っているのか、名前も名乗らない。

次回配達は 2023/03/07 朝7時頃の予定です。

サブタイトルは 届かない手 です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ