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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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【第20話】 つい、言っちゃった

朝刊です。

 羽ばたく音が、頭上より聞こえてくる。

 次々に舞い降りるペガサス。

 その数13頭。


 最初に舞い降りたのは赤髪の騎士。


 ニトお父さんだ。


 他の騎士達は金属の鎧だが、ニトお父さんだけ革の鎧で軽装だ。


 後から聞いた話だが、他の騎士さん達の鎧も、金属だが、ペガサスに負担を掛けないように薄くて軽く、中空に作ってあるそうだ。


 ニトお父さんのペガサス以外は、きちんと並んでいる。


 改めてみると……大きいなぁ。


 ペガサスも、胸の所と、お腹、頭部、鎧が装着されている。

 ああ、これ、部分的に純鉄にしたら、軽くできるのでは?


 ペガサスさん、重そう。


 徐々に騒ぎ出すペガサス。


 ん?なんだ?


 猛獣の存在に気がついたのか、ペガサス達は騒ぎだし、軽く後ろに下がる。


「な、なんだ?どうした?」

「まだ、何かいるのか!?」


 あ、ニトお父さんは黒豹に、気がついたみたい。


 ん?ちょっと笑った?


 そして、ア・ダウ先生を見ると、目つきが変った。


 さっ、とペガサスから下りると、足早になる。


「先生、これは!?ティーどうだ?」

「ニトも看てくれ、頬骨が折れているみたい。王都に急ぎたい」

「え?私、骨折しているの?」

「先生、静かに、直ぐに運びます」


 が、そうはいかない。


 刃物に囲まれているのだ。


「これは、なんだ?学生相手に抜刀だと!?」


 一際鎧の意匠が凝った騎士が、馬上から叫ぶ。


「騎士団『翔』の皆さま、聞いて下され!」


 媚び媚びだ。

 揉み手をして、すり寄る騎士。


 わぁ、初めて見た、揉み手する人。

 いるんだ、こんな人。


「彼の者達は、犯人の引き渡しを拒むどころか、抵抗を!」


 さて、なんと答える?


「誰が犯人だ?」


「え?そ、それはあの者達5名です!」


「我々の任務は学生の保護、異常飼育ワームの討伐、この二点」


「……」


 あ、何か考えている?


「では騎士団『翔』、任務達成ですね、お引き取りを」


 うわっ!こいつ何者?こんなんが騎士?

 抜刀しているよ?


「王都まで護衛する、それで任務完了だ。剣を納めろ!馬鹿者共!」


「いえ、ここは我々、王都警備隊にお任せあれ」


 確保とか、引き渡しとか言っているのに?お任せあれ?先生殴って?


 こいつ、おばかの極みか?


 で、騎士団『翔』は任せるの?まさかね。


「負傷者がいるようだが?」


「抵抗致しましたので、つい」


「護衛対象を傷つけるなど、言語道断!死罪だぞ!」


 そう言って剣に手を掛ける。


 倒れていた二人の騎士が、ゆっくりと起き上がり始める。

 各所、鎧に填め込まれた魔石が、不気味に光り始める。


 騎士団と警備隊の睨み合いだ。


 私は声を上げた。


「ア・ダウ先生、先を急ぎましょう、私達が護衛します」


「え?」


「他にも重傷者がいる。先を急ぎましょう」


「まて、そこの隻眼、逃がさんぞ」


 隻眼?ああ、私のことか。


「5人を渡せ!そうすれば無礼は不問にしてやる!」


 切っ先を私に向けての物言いだ。


 ぷちっ


「剣を向ける相手が違うだろう?お前らが、騎士?王都の騎士は、たいしたことないな」

「我らを侮辱するか!」

「尊敬はできないよ?わけは、おわかりでしょう」

「はあぁ?お前の目は節穴か?醜いツラしやがって!」


 ブチッ!


 近くにいた騎士達が、一斉に5人目掛けて斬りかかった。


 どうしても生きていてもらうと、困るようだ。


 ペガサスに騎乗していた騎士達も参戦し、王都警備隊を斬り伏せる。


 あの小さな騎士は一瞬にして、騎士団『翔』の団長らしき人物に斬られていた。


 暗闇から躍り出る黒豹、北のゴブリン達、フーララさん、一撃で鎧ごと破壊するミミお姉ちゃん。


 警備隊はおよそ、一分も保たなかった。


 彼らは、買収されていたのかな?


 魔力で強化していたのか、倒された警備隊の隊員達は次々に魔力還元していく。


「改めて聞こう、その5名、どうされる?ア・ダウ先生?」


 ああ、やっぱり、この5人は怪しいではなく、今回の襲撃の関係者、確定なんだな。

 この人、何か情報を握っているな。


 先生が応じる前に、答えを出した者がいた。


「我が名はエノン!この者達5名は王都孤児院、第二芯愛園にて預かる、騎士団、手出し無用!」


「学生を預かると?」


「この者達の腕を切り落としたのは、獣人族、シュート家のミン。またワームの口より救い出したのは、うちの夫、シュート・明季。我々獣人族はこの者達に対して命を救った責任がある」


「命を救った責任とは?」


「拾った子猫は、死ぬまで面倒をみなければいけない、途中で捨てることは許されない」


「ほう……分かった、シュート家のエノン。我々は上空から見守るとしよう。ニト、お前は学生だ、クラスメートに付き合うように、いいな?」


「……はい、団長」


 ……エノン?エノン!?エノンさん?


 何か、引っかかること、言いましたよね?


 うちのおっと?


 その件については、保留って、言ったよね?


 うち、まだ早いとか、何とかいったよね?


 恋人すっ飛ばして、婚約者すっ飛ばして、決魂もすっ飛ばして、うちの夫?妻を名乗ったわけ?


 おおおおおおおい!無性に遠吠えしたくなったぞおおおおい!


 なに、しれっと夫?え?いいの?それって私から言えば妻だよ?


 悶々としていると、凄まじい視線を前方より感じた。


 あ、コロ叔父さん、そんなところにいたのね。


 エノンが近づいてくる。

 リチをお姫様抱っこして。


「……あ、あの、明季くん」


「はい?」


「ご、ごめんさいっ!」


 なんと答える?


「う、うち、リチちゃん、抱っこしていたら、どうしても守ってあげないと!と思えてきて……」


 獣人族の本能かな?


 清掃員さん、言ってたな。

 私が虐められて、怪我したとき、子犬が寄ってきた。

 この子犬、側をはなれない。

 孤児院まで付いてきたのだ。


「怪我をしている、弱っている、と分かるのですよ」

「そうなの?」

「ええ、動物は怪我をした相手を見つけると、食べようと思うか、心配するか、の二つですよ」

「私は、よく無視されるけど?食べられた後だから?」

「……本当は心配しているのよ、気づかないだけです」


 私は誰も気づいてくれなかった。


 でも、リチはエノンが気づいた。


 エノンに捕まった?

 この捕まった、という考えが気に入った。


 ああ、リチはエノンに保護ではなく、捕獲されたのだ。


「ご、ごめんなさいっ!明季くん……う、うち、つい、言っちゃったの!」


 涙目で謝るエノン。


 人族に掠われて、酷い目に逢ったエノン。

 きっとあの5人の気持ち、少しは分かるのかもなぁ。特にリチ。


「いいよ、エノン。私、嬉しかったよ」


 ま、夫と言われて、ちょっとニヤけたしな。

 え?ありますよ、この世界にも、同性婚。


次回配達は 2023/03/05 朝7時の予定です。

サブタイトルは 王都へ、でもその前に です。

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