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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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229/406

【第19話】 昔も今も

号外です。

 ペガサスは、少し離れた森の中へ舞降りる。


 そこには逃げたクラスメートが集められていた。

 周囲には北のゴブリン、騎士団数十名が物々しく立ち並んでいる。


 ん?騎士団の人数、多いな?なぜ討伐に行かない?

 これだけの人数、ここに必要か?


 そんな中、私の目は素早くリュートお母さんを見つけ出す。


「ニト!ニト!阿騎は!?」


「怪我をしている、手当を!」


「阿騎!あなたはまた無理をしてっ!」


「現場に戻る!リュート、阿騎を頼んだぞ!」


 羽ばたき一つで、舞い上がるペガサス。

 昔も今も変らない。

 私は怒られてばかり。


 そして、両親迷惑をかける。今は他人だけど……いや魂は知っているか。知っているよね?そう信じたい。


 だから、きっと、私に大きな愛情を示すのだろう。


 私だって、ニトお父さんやリュートお母さんが困っているのを見たら、全力で駆けつける思いがある。

 だけど今は、ことの他ぐったりとしている私。

 怪我の出血が原因であろうか?


 ち、力が入らん!

 出血って獣人族も人族も変らない?致命傷か?


「リュ、リュートさん、け、怪我は治りつつあります。心配かけてごめんなさいっ!他の皆は?エノンは?」


「獣人族の皆さんは北のゴブリン達とワームに対峙しています。エノンは……」


「うち、ここだよ!明季くん、この子連れてきたよ!」


 エノンと女の子に、素早く駆け寄るア・ダウ先生。


「リチ!」


 名前を呼ばれても動かない。


 え?感情の匂いがしない?


 その目は空洞のようで、なにも映さない。


 遠くで、その様子を見守る4人組。


 ゆっくりと近づいてくる。


 心配よりも、憎悪の臭いだ。


 いや、一人だけ、心配している。あのミンお兄ちゃんを誘惑した女の人だ。


 固まる5人組。


 ア・ダウ先生は、何かしきりに話し掛けている。


「その者達は、騎士団が預かろう」


 周囲の騎士に比べ、一回り小さな騎士が話し掛ける。

 銀色の鎧を纏った騎士。


 だが、この騎士を見た瞬間、脳内で警報が鳴った。


 うん、分かる。


 私もこいつを見た瞬間、嫌悪感に包まれたからだ。


 エノンの目が、ギラギラと光り出した!?


「何を言われます?この者達は我が校の生徒、預けませんよ」


「今回の騒動、主犯は商工会。手引きしたのはそこの5人、引き渡せ!」


「お断りします」


 どきっぱり、と断るア・ダウ先生。

 格好いいな、この先生。


 でも、焦っている匂いがする。


「な、何を言うかっ!お、お前の生徒達が狙われたのだぞ!その同じクラスの者に!日頃何をしていたのだ?ちゃんと生徒を見ていたのかっ?先生だと?おこがましいっ!どけっ!」


 そしてこいつ、この騎士、嫌な臭いだ。


「連れて行け!」


 小さな騎士が命令する。


 それに従う2名の騎士達。


 数十名いる騎士の中から、進み出てきた者達だ。


 強引だな。


 あれ?


 他の生徒達が5人とア・ダウ先生の前に立った!


「ダチなんだ、渡せないよ」


 戸惑う騎士達。


「馬鹿な、お前達を殺そうとした連中だぞ!どけ!」


「嫌だね」


「皆で相談したの、腕、1本無くしたし、やっぱ痛いよねって」


「長い人生、色々あるさ」


 そう言ったのは、明らかにエルフと分かる学生さんだ。


「おいおい、ワームごときで逃げ出している学生が、何を言う?どけ!怪我をするぞ!」


 群がる騎士達。


 私は動こうとしたが、腕を摑まれて動けない。


 リュートさんは優しく握ってるだけなのだが、振りほどけない。


 前に出るア・ダウ先生。


「渡せません、私の生徒です!」


「どけ!」


 バキッ!


 騎士の一人が裏拳で、ア・ダウ先生を弾いた。


 ぐらつくも、踏みとどまるア・ダウ先生。


「あっ!」


「せ、先生!」


「……だ、大丈夫よ」


 先生のお顔を、許せんな、あの騎士!あれは騎士か?


 唇が切れ、頬に切り傷が!

 金属のグローブで殴られたのだ、骨折した?


 ぶちっ。


 霊音が聞こえた。


 何かが光ったように見えた。


 エノンの前に立った、二人の騎士は力に襲われる。


 鎧が割れ、凹み、砕け、それぞれ飛び散る騎士達。


 5m程飛ばされた騎士達は動かなくなった。


 その惨状を見た騎士達は、全員が抜刀した。


 ギラリと輝く剣を数える。


 21名、多いな。


 こいつら、全員敵ではないか?囲むように陣取っている。


 最初から殺害が目的か?そう思わせた。


「き、き、騎士団に刃向かうかっ!」


 蹴り飛ばしたのはエノン。


 力の大半は無くしたとは言え、これで弱体化?

 あまり変わらないのでは?


「なにがあった?」


 あ、ミンお兄ちゃん!


 凄い殺気が近づく。


「討伐、終わったぞ。エノンのヤツ、キレているな?どうした?」


 ミミお姉ちゃん?目が怖いです。


 森の影に身を潜める、北のゴブリンさん達。


(ホルダー阿騎、無事でなにより、我々は死者、負傷者、一人もいない。ご安心を)


 凄いな、北のゴブリンさん達。

 ありがとう、助かりました。


(しばらくここにいる。あの騎士、嫌な匂いがする)


 私の右側には、いつの間にかフーララが立っていた。


「ゴブ、右はお任せをゴブゴブ」


 ああ、私の死角をカバーしてくれるのね。


 ……コロ叔父さんがいない。


 ああ、何処かに潜んでいるな、何を狙っているのだろう?


「せ、せんせいぃ!」


 叫んだのはホッシーだ。


「誰だ!俺達の先生を!」


 怒りを漲らせるのはジェイくん。


「手当を!」


 ティーくんとドロトン君が駆け寄る。

 どうやら彼らは二匹目のワーム討伐に加わっていたみたいだ。


 あ、エノンの後ろに何か蠢いた!


 あれは?……黒豹!?


 優雅に寝そべり、騎士団員を眺め始めた。

次回配達は 2023/03/04 朝7時頃の予定です。

サブタイトルは つい、言っちゃった です

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