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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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228/406

【第18話】 赤い髪の騎士

おはようございます。

3月3日 桃の節句 朝刊です。

 極力魔力は使わずに、筋肉を最大限に使用し、朱槍を操る。


 取敢えず、少女が落下中に、可能な限りワームに朱槍を振るい、動きを封じる。


(王都のゴブリンさん達、応援、ありがとうございます!)


(いえ、我々こそ、未熟でした)


 ?


 いや、皆さん、凄い手練れですよ?

 おそらく、私より技量は上だ。


(あなたが助けたその者は、悪名高き商人の娘。その者が死んでも、悲しむ者はいないだろう)


 そ、そんなこと、言わないで!


(その者に、自分を重ね助けるとは……)


 アホやん、とか言わないでね?マジへこみます。


 助けたかったから、助けた。それだけです、私の我儘ですよ。

 

(言い伝え通りだ……)

(魔物と化したドライアド、彼女にかつての恋人の影を見たとある)


 え?なにそれ?


(その影を救うために、死を選んだと伝わる)


(思いやり、情が深かったとある)


 ……そこまで、格好良く伝わっているの?別人では?いや、虚構の人物像になっているな。

 月日から考えると、仕方ないか。


 仕方ないんだけど、とんでもなく、恥ずかしい!

 できれば、見て見ぬふり、そっとしといて下さいっ!


(ふふっ、確かに言い伝え、伝説だが、その話をそのまま、今のあなたに求めることはしない。ただホルダー阿騎は今も昔も、変らないように思う)


 えーっ、北のゴブリンさん、格好いいこと言っているけど、それって進歩無いってこと?

 少しは変化していると、思うのだけどなぁ

 

 まあ、私にとって、ゴブリン阿騎は、ごく最近みたいな感覚なのだが。


 朱槍を振るう腕が、重くなってきた。

 マズイ。

 私はワームの表面を蹴り、落下して行く少女の元へ向う。 


 戦士の数が足りないか?

 このワーム、防御が高い、異常だ。


(王都から数人の応援も来ている)


 王都から?


(学生だ、それと腕自慢のハンター)


(もう一体のワームと対峙している)


(あのワームは我々でも手を焼く)


 え?


(何人か喰われて死んだが、仕方ありるまい)


 はい?


(己の実力を見誤ると死ぬ、当然だ)


 北のゴブリンさん達の会話は、淡々と進む。


 ここでは、これが現実、当たり前のこと、なのだろうけど……。


 地面スレスレで少女を回収する。


(安全な場へ移動する!)


 周囲に念話を送る。


(このワームはあと少しで倒せる!後はお任せを!)


(残りの一匹は、王都の騎士団と協力して討伐だ!)


 ここまではよかった。


 が、この念話がマズかった。

 

 今までは、オープンした私の思考を、北のゴブリン達が読んでいたのだ。

 私は思考を読ませて、会話を殆どしていない。

 お礼と返事くらいの念話だけだ。


 そこまで私は魔力不足なのだ。 


 ふっ、と意識が飛んだ。


 ブラックアウト?消えゆく意識の中で、摑んでいる少女を思いっきり、後方にいるエノンに向って投げる。


 だからっ!付いてきたら駄目だって、あれほど言たのに!


 確かに今は助かったけど!


 エノン!エノンが心配なように、私もエノンが心配なのだ!


 着地はうまくいったようだが、足下に地割れが走り、私は飲み込まれていく。


 OVERKILLの使いすぎ?


 疲労の蓄積か?


 ああ、今は降下期なんだ。これも原因の一つか?


 何も見えない、感じない!早く目覚めないと!魔力が集まらない!


 激痛と共に目が覚める。


 ここどこ?

 場所は?


 ぶわっ、と魔力還元する目の前の巨大なワーム。


 森の木々はへし折れ、大地は抉れ、辺りは凄い惨状だ。


(おい!明季!起きろ!ちっ、二匹目が!)


 ミンお兄ちゃんが叫んでいる。


 ブラックアウトは一瞬か?

 どのくらい、倒れていたの?

 

 地割れに飲み込まれた私は、うまく動けない!


「あ、足が?」


 右足が岩に潰されている。


 痛みの原因はこれか?


 降下期とはいえ、ゆっくりだが再生が始まっている。


 おお、さすが獣人族。


 だけど出血が酷い?目眩がする。


 抜け出そうとしていると、もう一匹のワームが、地震と共にこちらへと向ってきている。


 ヤバい、ヤバい!


(ホルダー阿騎の救出を!)


(いや、ワームを仕留めよう!)


 混乱する現場。


 何か、近づいてくる?


 まて!ここで、魔力感知を使うと、また倒れそうだ。


(王都騎士団『翔』だ!)


(遅い!自慢の馬が泣くぞ!)


 足は折れているようだが、動けないことはない。

 再生も少しだが始まっているし。


 どうにか自力で這い上がり……!


 あ、触手が!


 ぬるり、と絡め取られる。


 うげっ!まずいっ!


 凄い速さで持ち上げられ、ワームの口に運ばれていく私。


 わっわっわつ!


 結局、私も大きな口の中を覗くことになった。

 先程の倍はある大きなお口。


 唯々、気持ち悪いとだけ記しておこう。


 ドンドン近づいてくる!


 こんなキスはごめんだ。


 などと、定らない思考を巡らしていると、何かが横切った。


 巨大な白い塊?雀エノンより遙かに巨大だ!


 分断される触手、落ちる私。


 先程と逆だ。


 空中で、誰かに抱き留められる。


「軽いな、もっとご飯食べないと」


 誰?


 赤い髪で長身。

 革のプロテクター?


 この人!?


 意識の焦点が合う。


「え?」


「騎士団見習いのニトだ」


 ぽー。


「元気だからと、無理をするとこうなる。駄目だぞ」


 ぽー。


「こうして逢うのは、初めてだな阿騎?」


 はっ!


 飛んでいる?

 お姫様抱っこ?

 リュートお母さんの婚約者ニトお父さん。


 あ、前世と現世が混じっている!


 純白の翼のある馬、ペガサスで駆けつけ、私を抱き留めるニトお父さん。


 うわぁお父さんだ!


 じっと、お顔を拝見する。


 ……。


 とんでもなく凜々しい横顔。


 ……。


 ぽっ。


 こりゃ惚れるわ、リュートお母さん。

 

 昔も今も、私のお父さんは格好よかった。

次回配達は2023/03/04 朝7時頃の予定です。

サブタイトルは 昔も今も です。

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