表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

224/406

【第14話】 決魂してください

朝刊です。

 私の周辺、クラスの皆は、見て見ぬふりをしている。


 目や耳が、私に集中していることが分かる。


 あれ?森の付近では、ミミお姉ちゃんが3班メンバーにスクワットの指導をしている!?

 え?王都に着いてからじゃなかったの?


 リュートさんはホッシーを、駄目でしょう!と怒りながらも、心配そうに視線を私に送っている。

 ホッシーはママ・リューにごめんなさい、もうしません、と言いながら、だんだんと顔色が青ざめていった。


 答えの選択を間違うと、エノンと私の関係にヒビが入ると思ったみたい。


 戸惑いと後悔の汗が、ホッシーの背中を流れているのが分かる。


『エノンとリュートは誰にも渡さない』


 この言葉はある意味、私の本音だ、当たっているのだ。

 絶対に否定してはいけない。


 だってエノンの魂は、私が誰か知っている。


 気にするな、と言ったら誰かに渡ってもいいのか?とならないか?


 ごめんよ、変な文章読ませて、と答えたら、誰にも渡さない、が変な文章なのか?

 ここで導いた私の答えは一つしかなかった。


「エノン、手、握っていい?」


「!?」


 あ、考えている?


「なに?やだ、なんで?うち、恥ずかしい」


 後ろ手に組、手を隠した。


 さっ、と両肩に手を置いた。


 逃がさない。さっきみたいに逃げてもらうと困るのだ。


「あっ」


 じっと私の顔、目を見るエノン。


「……」


「え?ど、どしたの!?」


 エノン、な、泣き出した!?


「ごめんね、痛かったでしょう?」


 ああ、右目のことか、忘れていたよ。

 今は髪を下ろして隠しているけど、アイパッチが必要だな。


「大丈夫だよ、心配してくれてありがとう」


 ……い、いくよ。ゆるせ!まどか!


「エノン!」


「ひっ、ひゃい!はい!」


「決魂してくださいっ!」


 いっ、言ったぞっ!


「ええええっ!?」


 カラン。


 誰かが、何かを落とした。


 ティーくんはお玉を落とし、剣の手入れをしていたドロトン君は軽く指を切り、「いてっ!」フーララさんはしっかり全、北のゴブリンさん達に実況中継している。


 ああ、皆聞いているんだ。


 横で狸寝入りをしていた負傷は飛び起きてこっちを見ているし、ミミお姉ちゃんの口が、おい、何言っている?と動いたのが見えた。

 ア・ダウ先生は、なんで私じゃないの?と呟いた。

 ジェイくんは、お、ニトに続いて二組目か?と意外と冷静。


「けっ、決……う、うち、まだは、早い、かな?」


「まだ早いの?なら、保留だよね?」


 こくこく。


「保留なら、今、決魂できないなら」


「できないなら?」


「代わりに文字と数字、教えてくださいっ!入学試験で零点なんて嫌だよぅ!」


 偽らざる本心。


 この件、エノン以外に頼れない。

 そして、これ以外、正しいと思える答えを見つけきれなかった。

 いや、正しい、正しくない、の問題ではないのだが。

 いいよ、教えるって言ってください、エノン!


「え?」


 ポカンとするエノン。


 あ、考えている?エノンの思考回路、何かが駆け巡っている!


 私の手に、握りしめられている手帳を見る。

 チラリとホッシーを見る。


「ごめんなさいエノン、もうしません!」


 とんでもなく悲しいお顔で謝るホッシー。


「明季くんって、本当に文字、読めないんだよね?」


 こくこく。


 あ、エノンの可愛い鼻が、ぴこぴこ動いた!


 匂い?フェロモンで判断?


 い、今、私、どんな匂いなんだろう!?


 う、嘘の気持ちはない!


 エノンはニッコリと笑った。


「いいよ!うちが教えてあげる!うち、教えるのうまいんよ。孤児院の皆にも、うち、教えているんよ!」


「あ、ありがとうエノン!」


「だ、だからその、け、決魂はまだ……その、ちょっと、ね」


「う、うん」


「それで試験はいつあるの?」


 ギロッとア・ダウ先生を見る。


「明日の、お昼からですが」


 お昼!?明日の!


 せめて名前だけでも!


「名前だけでも、エノン、お願い!」


「うちに任せて!」


 あれ?後ろから痛いほどの視線を感じる。


 チリチリ焼けそうな視線。


 ぎぎぎぎぎっ、と首を動かし、視線を辿ると……コロ叔父さんがいた。


(さて、明季、俺は一応エノンの保護者だが、なにか言うことあるだろう?王都に着いたら孤児院へこい。話が聞きたい)


(は、はいっ)


(中途半端な気持ちでの、言葉ではないだろうな?)


(はい、真剣です。保留になりましたけど)


(当たり前だ!明季!その前にお前、歳、いくつだっ!)


(え?ちゃんと成人の儀式、終えましたよ?)


(そこではないっ!まあいい、じゃ戦闘準備な、手強いぞ!何人生き残れるか……)


 え?


「どうしたの、明季くん?」


 さあ、勉強だ!って時に、何かが触れた。


 ここで悲鳴が響き渡る。


 ホッシーの悲鳴だ!


 な、何?なにごと!?


 !!!


 私の魔力感知にもそれが接触する!


「退避!緊急退避!み、みんな森へ!森へ逃げてぇええっ!」


 こいつはヤバい!


「ア・ダウ先生!王都に連絡を!」


「明季くん!もうしている!ふ、負傷者を!早く森へ!少しでも被害を少なくしないと!」


 油断した!念話ができるから、もうアタックはないだろうと思っていた!


 凄い速さで大地が盛り上がる。


 いったい、どんな移動をしているのだ?


 地中だぞ?


 水蒸気爆発魔法で……駄目だ!近すぎる!


 私のコントロールではクラスの皆が!


 大地を割り、目の前に巨大なワームが現れる。

次回配達は 2023/03/01 の予定です。

サブタイトルは 時間が無い です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ