【第13話】 王都まで、あと一日しかない
おはようございます。
朝刊です。
ステータス画面は日本語だ。
これは概念だ。
手伝ってくれたレイランお姉ちゃんには、この世界の言葉に見えたはず。
私は日本語を喋っているけど、何らかの補正が入っている……はず。
そうでしょう?
シルバーっち、ゴルちゃん。
《……》
意思の奥深くから、何かが響いた。
おそらくYESだろう。
この文字を、変換できるシステムがあるといいんだけど。
ん?シルバーっち?
《……基本を覚えれば、変換できます。入力がないと、出力もない……》
ああ、基本文字を覚えればいいのね?
間に合うかしら?
泣いてなんか、いられない!
「ホッシー!!あなた亜紀を!」
烈火のごとく、怒りを吹き出すリュートお母さん。
目が怖いです。
「うわ!お、怒らないでよ!ママ・リュー!ほ、本当に読めないか、試しただけだよ!ご、ごめんなさい!ご、ごめんよ?アッキー!」
「試した?いけないことよ!」
「ごめんなさい!ごめんなさいっ!」
「だ、大丈夫だよ!もう大丈夫!それより、これ、なんて書いてあるの?」
「あ、それは……」
「ん?見せてみろ」
心配したのか、シンお姉ちゃんが横に来ていた。
ぶっ、と吹き出すシンお姉ちゃん。
「ホッシー、これはないだろう?」
あ、シンお姉ちゃんもホッシーって言うんだ。
「え、あ、だってこう書かないと、ホントに読めないか、どうか、分からないし……」
「ホッシー、そこを見極めて、どうなる?」
「あ、ど、どうなる、と言われても……」
なんと書いてある?
これはどうしても、読みたい!
「あ、エノン!」
「なに?明季くん?うちに、ご用?」
突然、焦りだす、シンお姉ちゃんとホッシー。
「ばっ!ま、まて!」
「ごめん!アッキー!エノンちゃんはマズイ!」
「え?エノン、これ読める?」
「どれ?」
エノンは見せられた文字を見ると……真紅にそまり、私を見つめ、私を突き飛ばし、走り去った。
「ごめん!エノンちゃん!まってええええぇ!」
叫びながらエノンを追うホッシー。
「リュートおか……リュートさん、これ、なんて書いてあるの?」
「どれ?……ホッシーったら!帰ってきたらお仕置きよ!あの子!」
え?
リュートさんのお顔も赤い?
読んだのはシンお姉ちゃんだ。
「エノンとリュートは誰にも渡さない、シュート・明季、と書いてある」
ホ、ホッシイイイィ!あいつうううううううっ!とんでもないヤツだっ!
でも、悲しきかな、否定できないっ!
いや、リュートお母さんは、ニトお父さんがいるから、渡すも渡さないも、前世の両親で大好きだし。
ニトお父さん、早く帰ってきてよ!リュートお母さん、頑張っているんだから!
エノンは……エノンは……その、ごにょごにょ。
ん?視線を感じる?
キッ、と周りを見る。
さっと視線を外された。
え?今、クラスの全員、ア・ダウ先生も含めて、私を見ていた!?
「……今の、何かしら?」
「明季、知らないのか?」
「何をかな?シンお姉ちゃん?」
「エノンを自分の子供のように扱っている、リュートとニト。そこにエノンとリュートを同じくらい愛する明季が現れた。そしてニトが帰ってくる」
「は?」
「ラブラブの四角関係になるか、明季とニトがエノン、リュートを巡って戦うか、という噂がクラスで流れている」
「なななななっなにそれぇ!」
「私も先程聞いたのだが、こいつら、あの戦闘中に、とんでもないこと考えていたんだな?」
「ばっかじゃないの!なによそれ!」
いや、ラブラブの四角関係、当たっているか!?
クラス?学校!ここで、はっとする。
クラスの噂話、気になるけど!
だ、誰に習おうか?文字数字!
せめて、自分の名前は書きたい。覚えたい!
やはりここは先生か?ア・ダウ先生を捉える私の眼。
いや、それとも身内か?シンお姉ちゃん、ミンお兄ちゃんを捉える私の眼。
あれ?
ホッシーが?
ホッシーがエノンの手を引っ張って?
とことこ。
私の所へ……来た。
「ごめんなさい、明季。エノンにも謝った。だから……その」
「明季くん、うち……突き飛ばしてごめんなさい……」
……この二人、かわいいっ!
「ホッシー、もう怒っていないよ、エノンも……!」
ん?エノン?俯いて、目を合わせない!?
まて、ちょっと待て、待って、よく考えろ!
ここで、ごめんね、と謝ったら、あの言葉『エノンとリュートは誰にも渡さない』を否定することにならないか?気にしていないよ、とか言ったら、エノンを傷つけないか?
よく考えろ!
私は男子と女子の思考を持っている。
女子は気にしなくても、男子は気にすることがある。
逆に、女子にとっては、とても大切なことなのに、男子にとっては、気にもしないことがある。
どうする?
ここで謝ったらいけない、謝ったら、何かが終わる!そんな気がする。
ここはよく考えて、返事しなければ。
どう答えたら、エノンを傷つけない?
エノンだけは傷つけたくない。
いや、誰も傷つけたくない、が本音か?
八方美人?
前前世では散々人に踏みつけられた。
人を踏んではいけない、それが無意識でも。まあ、できるなら、だけど。
どうしよう?なんと答える?
エノンは赤面して、悲しそうに俯いている。
返事を待っている。
私には、そう見えた。
次回配達は 2023/02/29 朝7時頃の予定です。
サブタイトルは 決魂してください です。




