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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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222/406

【第12話】 王都まで1日

ちょっと遅い夕刊です。

 襲撃者達を撃退し、無事に森を抜けることができた。


 王都が辛うじて見える。


 あと一日、もう少しである。


 だけど、彼ら傭兵団の雇い主というか依頼主が、何処かにいるはず。

 これが何も解決していない。ああ、それから目的もだ。

 1班がターゲットだったから、やはり研究内容が原因かな?


 森を抜けた所で宿泊、キャンプとなった。


 さすがに満月期過ぎてのOVERKILLはしんどい。


 身体が重い。


 平然と振舞っているが、実は眠たい。


 ん?


 リュートさんと目が合う。


 くいくい。


 手招きしている?私か?


 こくこく。


 何だろう?


「どうかしたの?リュートさん?」


 リュートさんの周りには負傷者が集まっている。

 各々好きな形で寛いでいる?

 大半は寝ているのかな?


 ミンお兄ちゃんが、私の代わりに引っ張ってきた10人だ。


 でも?

 10人以上いるよね?


「疲れているでしょう?」


 そう言って、私は手を握られた。


 !


 過去を思い出した。

 それは前前世のお母さんの手。

 柔らかい、女性の優しい手。


 亜紀が望んで、得られなかった手だ。


 ん?揺れている?


 空間が揺れていると感じた。


「リュートさん?揺れています!周りが!?」


「そう感じるのなら、だいぶ疲れていますね」


「こ、これ?あ!おっぱい波動!」


「や、やめてくださいっ!その名前!いつの時代の言葉ですか!今は、癒やしの波です」


 付近の男子全員が、リュートさんの胸を見る(一部女子含む)。


 ばこん。

 どす。

 どげしっ。


「不届き者!ママ・リューに、変な視線を向けるなっ!」


 ホッシー、負傷者、蹴った?殴った?叩いた?


 ギロッ。


 あ、ホッシーの視線が痛い。ごめんなさい。


「あ、ご、ごめんなさい!今の言葉知らなくて、つい……」


 ごめんなさいは、大切だ。

 ちゃんと謝らなければいけない。


「アッキーいつの時代の住人だよ?今時、言わないよ?」


 ……アッキー?私のことか?

 ホッシー、ちょっと怒っている?


「いや、その、ホッ、星……影さん……」


「ホッシーでいいよ、言葉知らないって、試験大丈夫なの?」


 ?


 試験とは?


「入学試験!」


「入学試験?簡単実技少々と聞いたけど?」


「今年から、実技と筆記だよ」


 筆記!?


 光の速さでシンお姉ちゃんを、我が眼が捉える。


(おおおおおおおねええちゃんっ!!!ひ、ひっ、筆記試験があるぅ)


 眠たい気持ち、ぶっ飛んだ!


(え?実技だけじゃないの?やだなぁ)


 それだけ?


 え?待って、シンお姉ちゃん、書けるの?読めるの?そもそも文字が……あ、サイン欲しいとか誰か学生さんが言っていた!


 この世界、文字あるんだ!当たり前か?いや、今まで必要性、感じなかったぞ!?


 どうしよう?

 何で今年から?

 どうして?

 実技だけでいいじゃん!


(シ、シンお姉ちゃん、読み書きできるの?)


(ああ、ランお母さんとレイランに習った。そういえば明季は……どうする?)


(ど、どうするって、どうしよう?)


(名前だけでも、今から覚えるか?)


 いや、確かに学校は行きたくない。行きたくないと、言っていたけど、言っていたけどぉ!


 零点なんて嫌だ!前前世では数学だけが、心の柱、支え!拠所だったんだ!


 殺された絵の代わりに、私を守ってくれた数学!


 この世界に数学があるかどうか分からないけど、零点なんて嫌だ!数学に対して申し訳なさ過ぎではないかっ!


 どんなに虐められても、クラスの皆や先生に酷いことされても、孤児院で無視されても!数学だけは守り抜いたんだ!


 ……どうしよう?


  ホッシーがじっと、私を見る。


「もしかして、字、読めない?」


 こくこく。


「書けない?」


 こくこく。


 私、泣きそう。


 ?


 ホッシーがポーチから何やら取り出した。


 びっしりと文字らしきモノが書かれている。


 木炭のような、鉛筆のようなモノを取り出し、何か書いている。


 ?


 徐に、それを見せるホッシー。

 手に取って見てみる。


「?」


 もちろん、なんと書いてあるか私には分からない。

 流れるような文字が、一つずつ書いてある。象形文字?何かの形かしら?


「分からない?」ホッシーが尋ねる。


「……分からない」


 ポロリ。


 ……涙、でた。

次回配達は 2023/02/27 朝7時頃の予定です。

サブタイトルは 王都まで、あと1日しかない です。

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